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第三十三回ビジネス烈伝 / 日本航空株式会社 石田 和宏さん
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海外で働くお客様の支えとなりたい。
社内に根づく「DNA」

石田和宏さん

【プロフィール】
日本航空株式会社
マニラ支店長 石田和宏さん
1965年生まれ、名古屋出身。1988年にJALに入社し12年間国内勤務。2000年からは国際線事業に従事し、中国での駐在経験も。マニラに来るまでの2年はオリンピック招致委員会に出向。2013年10月より現職。マニラ支店長として、安全で安心な空の旅を提供する。
 
〈座右の銘〉
「意志あるところに道は開ける」です。強く想う」ことは重要だと思っています。「想い」を実現するために猛進するので、ブルドーザーなんて言われることもあります。部下には苦労を掛けています(笑)。

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2010年、一度は会社更生法を申請したJALだが、稲盛和夫氏による改革によって復活を果たした。マイナスからのスタート、それでも応援してくれる人たちにために力になりたい。そして日本だけでなくアジアを中心に人と物の交流に貢献し、お客さまへのサービス充実に努力する。そんな想いを持つ「日本航空株式会社」マニラ支店長の石田和宏さんにお話を伺いました。
 

 
編集部● JALに入社したきっかけは?
 
石田さん● 国際的な仕事をしたいと思って航空会社を志望しました。ただ、入社後の12年はずっと国内線の業務が中心で、「国際線の仕事出来ないのなら会社を辞めよう」と思ったこともあります。2000年からは国際線業務も手掛ける様になりました。フィリピン以外には中国での駐在も経験しました。
 
編集部● これまでの経歴について
 
石田さん● 1965年名古屋で生まれました。親が保険会社で働いていたので、東海道を転々としていました。小学校だけでも4回は変わりました。そして最終的には東京に。1988年に入社して最初の配属先は札幌の千歳空港、そこで6年間空港地上業務を経験してから札幌支店の営業、その後は帯広支店に4年。結局、北海道は計12年いました。1993年に関空(関西国際空港)が開港した後、大阪支店でやっと念願の国際線の仕事に携わることが出来、その後東京に移り、路線マーケティングを行うことになりました。担当は東京発の全ての中国線で、各路線をどのように販売するかを決めるのかが私の責任範囲でした。その縁もあり2006年からは中国の杭州に3年半駐在しました。中国駐在中の後半には会社が経営危機となり、杭州路線の撤退に伴い営業所を閉鎖してからの帰国となりました。本当に、中国駐在最後の半年は息つく暇もなく営業所の閉鎖業務に追われジェットコースターに乗っているような毎日でした。杭州ではとても優秀な現地スタッフに恵まれていたのですが、全員解雇せざるを得ませんでした、あの悔しさは今でも忘れません。ただ幸せなことに、今でも当時のスタッフとは交流があります。

日本に帰国して一週間後にJALは会社更生法の申請をしました。営業所を閉鎖してきた身としては厳しい状況は身に染みていたので、破たんという状況を受け入れる準備はできていました。そから日本国内でも事業規模縮小に伴う人員整理が始まりました。戻ってきた大阪の支店からも沢山の仲間が去っていき、事務所も1/3以下に縮小されました。
 
編集部● 稲盛さんが会長就任する前後でなにか変りましたか?
 
石田さん● 経営層と社員とのコミュニケーションが積極的に図られるようになりました。破たん前から本社の役員室がなくなり、大部屋の中に、会長、社長、副社長等役員が皆いるんです。それまでは各役員に部屋があって、秘書がいて、アポイントを取って…とやっていたのでずが、今はスッと役員室に入って話が出来るんです。風通しが本当によくなりましたね。役員の方たちとも立ち話が出来ますし、事前の根回しなど不要で、会議で説明をするとその場で即断即決、すぐに施策を実行できることが破綻以前に比べると増えました。役員の意識も大きく変わって、空港などの現場にトップが足を運ぶのも当たり前になりました。マニラに経営層が来る時も、まずは社員と話をする時間を持つことが普通になっています。支店長の私なんか僕がいなくてもミーティングが始まるので、スタッフに「石田はちゃんとやってるか」とかいう質問も(笑)
 
編集部● 稲盛さん流の経営方針に変えていくのに違和感はありましたか? 
 
石田さん● 最初、稲盛さんが会長として就任された時に抵抗がなかったといえば嘘になりますね。ただ稲盛さんがJALに持ってきた二つのもので大きく会社が変わりました。一つはいわゆるアメーバ経営と言われる「部門別採算制度」です。この仕組みを導入した事で、全社員が「収入と費用」を意識するようになりました。例えば、客室乗務員が所属する部門では、飛行機の運航を維持するために客室乗務員という労働力を提供しているのですが、かつては労働力提供に対しての「収入」という概念がありませんでした。ところが今は各部門が労働に対する労働対価を社内で設定して明確にし、収入と費用を各部門が管理し採算が取れているのか否かが判るようになりました。要は社内で疑似取引を行い、各部門で全社員が自部門の現在の収支状況を把握するのです。ただ、これをやる上で問題になるのは、各部門の利害関係が対立する場合があることで、部門間取引を決めるために白熱した議論がなされる時があります。これは収支に関して皆が真剣に取組んでいる表れだと思います。しかしながら、このような「仕組み」だけでは会社は良くなりません。何よりそこに集う社員の意識改革が必要なのです。そこで導入されたのが「JALフィロソフィ」です。これは現在の全JALグループ社員の行動指針です。このJALフィロソフィによってJALは会社や職種を超えて初めて「共通言語」を手にしたと思います。そういう意味では「JALフィロソフィ」は社内の潤滑油になっています。今は「部門別採算制度」と「JALフィロソフィ」の両輪で会社がすごくいい形で回っています。
 
編集部● ちなみに「JAL フィロソフィ」って?
 
石田さん● 有名なリッツカールトンの「クレド」に近い感じですね。JALは様々なグループ会社の集合体なのです。JALは航空機を運航する会社ですが、空港や営業はグループ会社が担っています。昔はそういうグループ会社の判断基準は様々で1つではありませんでした。だけど、これ(「JAL フィロソフィ」)が導入されたことで判断基準が一つになりましたね。私たち管理職も年に4回の「JALフィロソフィ教育」と日本に戻って年に2回の管理職向け教育を受けています。JALフィロソフィの導入時は6日間くらい缶詰めで管理職同士の考え方を共有しました。また、「JAL フィロソフィ」には英語版もあるので、フィリピン人のスタッフはこちらのオフィスで勉強します。書いてある内容は至極当たり前のことなので、スっと身体に入ってきます。ただ、最近私がスタッフに伝えていることは、「このフィロソフィはいい事書いてあるね、で終わってはいけない。実際に実践をしないと意味がない」ということです。どちからというとフィリピンの人は甘い言葉が好きで、他人と対立をしてまで何かを変えようという意識が少ないと思っています。従ってJALフィロソフィに書いてある両面(甘い言葉と厳しい言葉)をちゃんと実行しましょうというのが口癖です。しかしまだピンと来てない人もいます。ずっと前に導入されている京セラさんやKDDIさんに比べるとまだまだ未熟で課題もあります。しかし、職場では部下から「それはフィロソフィに反していませんか」という指摘がくることも増えてきました。共通の判断基準ができたことで、議論がそこから始められるのです。
 
編集部● 会社更生法が適用され上場して数年がたちますが、その間での努力はありましたか?
 
石田さん● 仲間がたくさん去って行ったっていうこともあり、なにを始めるにもマイナスからのスタートでした。振り返っても本当に大変な時期でしたね。でもそのような時でも応援してJALに乗ってくださるお客様が多くいらっしゃったことが本当にありがたく、ご恩にお応えするためにも絶対に再生させなければという気持ちになりました。空港でお客さまのお見送りをしていると「次も乗るから」など声をかけていただいき、励ましていただきました。
 
編集部● マニラに来るまではどんなことをされていたんですか?
 
石田さん● 2013年の11月からマニラへ着任しましたが、その前は、2年間2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会に出向していました。まず招致組織の土台を作るために東京都の職員だけではなく民間からも召集されたのです。実は招致委員会は双子組織なのです。1つは東京都、そしてNPO法人の招致委員会。この二つの組織が役割を分担しながら招致委員会という組織になっているのです。東京都では計画を練って具体化していく、そしてNPO法人の招致委員会はIOC委員の票を取るための活動をするのです。最終的にはこのNPO法人の招致委員会は60人くらいになったのですけども、最初は水野さん(MIZUNOの会長)をトップとする6人から始まりました。出向した当時は、まず何をやるかを誰も判っていない状況で、2016年招致活動の際の資料を片っ端から読み漁る毎日でした。また、最初は、備品やパソコンの購入、インターネット回線契約等も全部自分たちで行いました。まるで学園祭でしたね(笑)私の仕事の範囲には国際ロビー活動もありましたが、ロジスティックが大きなウェートを占めました。例えばIOC委員がスムースに移動できるよう空港導線の確保することなどです。そして最後の決戦の地ブエノスアイレスにはたくさんのVIPが来ましたので、現地で大使館と協力しVIP対応を行いました。招致最後の3か月は地球を5周分くらい移動しましたね(笑)。
 
編集部● 2020年招致が成功した理由ってどう考えていますか?
 
石田さん● 私が招致委員会に出向した時の日本国内のムードは「今回も絶対無理だ」という感じでした。しかしロンドンオリンピックで史上最多のメダルを獲得し、銀座のパレードに50万人の方が集まった時「潮目は変わったな」と思いました。招致の活動においては、ブエノスアイレスでのあの最後のプレゼンがもちろん重要ではあるのですが、実はそこに至るまでの積み上げが招致成功の理由だと考えています。オリンピック招致をする際にはIOCが定める招致活動細則に従う必要があります。招致活動が出来る期間や場所などですね。ロンドンのオリンピック会場では2020年オリンピック招致に立候補している東京・マドリード・イスタンブールがホスピタリティハウスと呼ばれる、お客さまをもてなす場所をオリンピックの会場の近くに作りました。日本はIOCの役員が泊まっているホテルの真横に作りました。IOCの方々は表彰式に列席するために会場に向かうですが、スケジュールがタイトで食事をとることが出来ないこともしばしばあります。そこで、日本のホスピタリティハウスに立ち寄られたら、お寿司を提供する様にしていました。寿司は大人気でした。ロンドンオリンピック開催時は、2016年のリオ五輪の工事進捗状況が遅れている報道がされていて、関係者の間では「2020年は先進国で開催がいいな」とのムードになっていた様に感じます。もともと東京の大会運営能力への国際評価は他都市に比べ段違いに高かったのです。でも国内の開催への支持率が40%台と低かった。そこへ銀座の50万人パレードが行われ、IOC委員にかなりのインパクトを与えました。この辺りから支持率も上昇していきました。弱点を1個1個つぶしていくというのが2020年に向けての東京の強みだったのです。また安倍総理の力も大きかったと思います。国を一つにまとめ上げました。オリンピック招致の時に財務保証を国がするのですが、2016年の招致活動の際はぎりぎりだったのです。でも今回は初めから力を入れ、かつスポンサー意向の企業も早い段階から期待できました。トヨタさんがプレゼンに出てきてくださったこともありました。そうなると日本は、オペレーションは大丈夫、財務保証もOK、しかも経済界のバックアップもある、「チームジャパン」の総合力が2020年のオリンピック・パラリンピック招致を成功させたのだと思います。これは我々が誇っていいことだと思います。
 
編集部● そのあとに、マニラに赴任
 
石田さん● オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まった後も、私たちは1週間ほど現地で残務処理をしていました。帰国して会社に結果報告に行ったら「お疲れさま。では次はマニラね」というような感じで内示をもらい、マニラに着任しました(笑)
 
編集部● マニラって聞いたときはどうでしたか?
 
石田さん● 縁を感じました。実はオリンピック開催都市決定の投票の結果をロケ会長に持って行ったIOCの名誉委員はフィリピン人のエリザルデさんという方だったのです。なにか運命みたいなものを感じました。元々JAL社内では私は中国畑の人間のように思われていたのですが、一度東南アジアでの仕事も経験をしたかったのです。やはり旺盛な成長が期待できる場所で働くのは面白いと思います。2006年当時の中国もそうだったのですが、誰もが、今日より明日の方がいいと確信してるところが魅力的です。
 
編集部● フィリピンの第一印象は?
 
石田さん● JALに限っていえば、変えないといけないところが非常に多いと課題を感じました。例えば、空港のラウンジである「サクララウンジ」の軽食についてです。ご提供しているのはサンドイッチだけでした。ラウンジご利用のお客さま一人ひとりにご意見を伺いしたところ、チェックインの時間が早朝であったりお昼であったりするため食事をとらずに飛行機に乗る方がとても多かったのです。それでは、カレーやパスタなど暖かい軽食を出そうと考えました。当社の空港所長のこだわりもあり良い流れが出来ています。現在は機内食も全社的に改善させ評価を頂ける様になっているのですが、年数回ある機内食プレゼンテーションには絶対に参加し、2日間とにかく自分で確かめるために試食し続けます。 また、マニラ発便では、提供期間中に味が変わっていないか抜き打ちで機内食を試食することもあります。機内食へのお叱りは今でも多くいただきますのでこの活動は続けていきます。支店長会議でも機内食やサービスの取組みは必ず話題に上ります。会社が再建再生途上にある今、コストカットばかりに偏重するのではなく、お客様さまにご提供するサービスは最高のものを提供しようと取組んでいるのが今のJALの姿勢です。座席や機内食も少しずつ改善をしてきました。例えばマニラ線で運航しているB767型機は、従来は237席仕様だったのですが、199席仕様に変更しました。ビジネスクラスの「JAL SKY SUITEⅡ」はフルフラットタイプになり、機内での専有スペースを多くとっています。更に、エコノミークラスの「JAL SKY WIDER」は従来の207席を175席に減らし、1席当たりの専有面積は格段に広くなりました。フィリピンと日本は距離も近いので、ビジネス利用のお客さまは、それぞれの会社の出張規定でエコノミークラスご利用の方が多いのです。そのためエコノミークラスを満足いただけるレベルにすることがとても重要なことだと思います。
 
編集部● 赴任してマニラの組織に入っていくときに違和感はありましたか?
 
石田さん● 最初に気になったのは”Sir”ですね。私はSirなのか、って(笑)また顔色を伺う人も意外と多いと思いました。そこは気を付けるようにしています。業務上のミスをした際にはもちろん注意をしますが、その後のフォローもしっかりとする様にしています。
 
編集部● 時代や経済環境が変化する中で、JALに求められる役割について教えていただけますか?
 
石田さん● いくらITが発達しても、人や物の流れが絶えることはありません。JALは日本だけでなくアジアや世界の 人や物の流れを今後も担っていきたいと考えています。さらに言えば、海外へ日本の様々な情報、特に海外では容易に入手出来ない地方の情報を発信する役割も担って行きたいと思います。そして忘れてはならないのは、海外で活躍する日本人をささえる役割を担い続ける、という決意です。「海外で鶴丸を見るとホッとするんだよ」、お客さまから言われるととっても嬉しい言葉ですが、今後もこの言葉を頂けるようにJALは皆さまのご期待に応えて行かなくてはいけないと思っています。
 
編集部● フィリピン国内で現在注力している事業についてお聞かせください。
 
石田さん● 日本にフィリピンからのお客さまをお運びすることです。日本への観光を促進するためにフィリピンのTV局の旅行番組へもJALとして協力をしています。また、北米へ行かれるOFWのお客さまに成田を経由する便に乗って頂くことも非常に重要です。成田は東南アジアと北米を移動される方にとってのハブ(基幹空港)になり得る地理的な位置にあります。従ってJALでは国際線が充実する成田空港を「国際線と国際線をつなぐハブ空港」として、一方、国内線が充実している羽田空港を「国内線と国際線をつなぐハブ空港」と位置付けています。そういう意味では世界の航空需要の受け皿として成田の役割が今後も重要になるとおもいます。現在、フィリピンの方がニューヨークに行くときはドバイ経由か成田経由が多いと思います。どちらも時間はそれほど変わらないですよね。ですからこれからは世界の空港間の競争需要の中でどう成田にお客さまに来て頂けるのか、皆で知恵を絞ることが重要だと考えます。先ほど挙げたフィリピンのTV局への協力は過去2回北海道旅行で実施しました。TV放映の後は北海道旅行のお問い合わせが増えましたので反響の多さに手応えを感じています。それから、観光客の皆さまに日本への旅行でメリットになることをどれだけご提供出来るか様々な事を、試行錯誤しています。例えば、フィリピンからの観光客が日本で感じる不満として多く耳にするのはマニラのように無料Wifiが整備されていないことです。その解決策の一つとしてJALではJALの海外地区ホームページにて、2週間日本で無料で使えるNTT東日本とKDDIグループ会社の無料wifiのパスワードをご提供するサービスを行っています。
 
編集部● NAIA1の改修で期待していること
 
石田さん● NAIA1の改修ではまだまだ手を加える必要がある箇所は多いと思います。 世界的に評価を得ているシンガポールのチャンギ国際空港のターミナル1はNAIA1と同時期の開港ですので、少しでも目指してもらいたいです。それから、SKYWAYの延長も期待しています。
 
編集部● NAIA1の改善に伴って、御社の戦略やサービスに変化はありますか?
 
石田さん● ラウンジ刷新を考えています。今後どういったラウンジがお客さまに必要とされているのか早急に回答を出したいと思っています。マニラに乗り入れている他の航空会社様のラウンジと比較するのではなく、JALとしてお客さまにどの様なラウンジをご提供するのがベストなのかがポイントだと思います。特にWiFiや、PC電源については機内のでもサービスが充実していますので、ラウンジに何を求められているのか、考えていかないといけません。
 
編集部● フィリピン国内で事業を行う上で、苦労している点は?
 
石田さん● 1つにはやはり交通インフラでしょうか。しかしこれはすぐに改善を期待出来るものではないでしょう。新空港建設の話が出ていますが、お声がかかればいつでも協力を検討していきたいと思っています。しかし、その前に現在の空港設備の改善が検討課題ですね。
 
編集部● 他のアジア諸外国に比べ、フィリピン市場に感じる魅力は?
 
石田さん● 旺盛な訪日需要は魅力です。訪日旅客の伸び率は1-3月で前年比89%増です。昨年2014年は2013年対比70%プラスだったので、今年の伸び率はそれを上回っています。2015年は訪日旅客のトップ10に入ってくるとみています。
 
編集部● フィリピンの国際線で路線を拡大する予定があれば教えてください。
 
石田さん● 現在のところはありません。JALは破綻した過去がありますが、原因の一つとして規模のみ追求していたことがあります。現在は路線毎の需要予測や収支を厳しく見極める体質に変化してきました。
 
編集部● 経営上の具体的な努力はありますか?
 
石田さん● お客さまの満足度と座席単価のバランスを如何に取るかということですね。お客さまの志向は多種多様です。出張とレジャーで航空会社を使い分ける方も多くいらっしゃいますが「払う価値がある」と納得頂けるサービスをご提供し続けていくことが重要と考えています。現在の中期経営計画では各年度の営業利益率を10%以上としています。単年で目標を達成することは偶然に出来るかもしれませんが、これを連続して続けるというのは非常に難しいことだと認識しています。中期経営計画では5年連続での目標達成を目指しています。この目標を達成することで「破綻前のJALとは変わった」と投資家の方や、お客さま、ご支援頂いた皆さまに少しは感じて頂けるのではないかと考えています。私は支店長室に、ある写真を飾っています。何かといいますと、中国の営業所を閉鎖した際のラストフライトの写真です。この写真を撮ったお別れ会をやって、本当に残念なことでしたが翌日全員を解雇しました。こういった形の写真は2度と撮影したくない、と常に反省をするために飾っています。もちろん今のマニラのスタッフの雇用を守ることは私の現在の最重要課題の一つです。そのためにはマニラ路線の収益を維持しなければいけないと気を引き締めています。
 
編集部● ローカルスタッフの獲得・人材育成はどのように行っていますか?
 
石田さん● ご承知の通りフィリピンの方の長所としてフレンドリーな国民性が挙げられます。したがって接客の基本姿勢についてはあまり時間をかけなくていいのかもしれません。その裏返しでもありますが改善を求める点としては、仕事のスピードをもう少し追求して欲しいですね。スタッフには「フィリピン人らしい明るい接客に香港人のような仕事のスピードを加えてね」というようにしています(笑)。私から見た現在の職場は、定年まで勤める方が多いことからも、いい雰囲気を保っていると思います。またワークライフバランスの観点からも、スタッフがプライベートを充実させることが出来る様に意識しています。

石田和宏さん


 
編集部● 海外で働く日本人に対して、思うことや感じることはありますか?
 
石田さん● 最近は海外旅行や海外勤務を嫌う若者が増えたという報道を目にすることがあります。海外で働いている我々としては少し寂しいですね。しかし、日本にずっといるだけでは日本の良さはわかりません。海外に出てこそ日本の良さを再確認することが出来ると実感しています。JALは海外を旅したり、海外で働く日本人のささえとなりたいと考えています。また我々は皆さまに助けて頂いた会社ですから、日本に限らず自然災害等で困っている方への救援チャーターも積極的に行っています。、これはJAL社員のDNAと言えるとも思います。ここフィリピンも2013年の台風30号によって甚大な被害を被りましたが、JALは災害救援支援として成田-マニラ間にチャーター便を2便運航し、多くの救援物資や支援スタッフの輸送にあたりました。また、支援スタッフへの無償航空券提供や義援金、チャリティー・マイル寄付、社員募金なども実施しました。会社が大変な時に変わらずJALに乗り続けていただいたお客さまの中には「以前海外で困った時にJALに世話になったから」って言ってくださる方も多くいらっしゃいました。そういったお客さまをはじめ、ご支援を頂いた全ての方へ少しずつでもご恩返しが出来たら、と思っています。


 
編集部● かなりアグレッシブ仕事をされていますね。
 
石田さん● 仕事が楽しいからだと思います。空港が大好きでほぼ毎日空港に顔をだします。朝昼晩と1日に3回行くときもあります。行くとやっぱり楽しいし飛行機にご搭乗される方とお話しをするのが好きなので、そういう面では楽しく仕事を続けられています。フィリピン人のスタッフに「なんでそんな楽しそうなんですか」と聞かれます(笑)  一応は。悩みもあるんですが。
 
編集部● 空港でオススメのスポットとかございますか?
 
石田さん● 第一ターミナルにもスタバが出来ました。ボラカイなどいろいろな地域のタンブラーが売っているので、日本から来た方にお土産として薦めています。
 
編集部● 今後の展望や夢についてお聞かせください。
 
石田さん● 新型の座席が装備された飛行機がマニラ線に投入されましたので、あとはラウンジをより良いものにリニューアルさせたいと思っています。成田と同等のラウンジとまではいかないまでもお客さまの満足度を高めるようなラウンジをご提供したいですね。個人的には、今は非常に楽しく仕事ができているので、この気持ちのまま仕事を続けたいと思っています。

 

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ビジネス烈伝
20代前半で環境問題を意識し、27歳で世界一の電気自動車メーカーを作ろうと起業。現在は大気汚染やさまざまな問題を抱えるフィリピンで、電動トライシクルを普及させるべく奮闘している中島さん。

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