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知的財産経営 in 東南アジア 「下町ロケット」のあのシーン、会社で起こったらどうしますか?【第4回】

第4回

「死蔵特許」と「有効特許」って何ですか?

 

皆さん、「下町ロケット」というドラマはもうご 覧になりましたか?TBS系列で放映されていたド ラマで、2015年の民放ドラマでは最高視聴率を記録 しました。本コラムでは、このドラマのシーンを織 り交ぜながら、東南アジア域内で中小企業でも起 こり得る知的財産権問題を紹介したいと思います。

 

下町ロケットの第一話で、融資の相談の際、白水銀行の柳井課長から「御社の特許はガラクタ特許ばかりだ!」と言われた佃製作所の社長が憤慨するシーンがあります。本当の銀行員がそんな失礼なことを言うかどうかはわかりませんが、融資の際には当然、その会社が保有している知的財産権の評価が行われています。最近では、銀行内に知的財産権に関わる部門を持つ日本の銀行もあります。欧米の銀行の場合は、外部の法律事務所と提携することで、融資先の企業が保有している知的財産権の価値評価を行っています。今や知的財産権は、銀行にとって融資先の企業の将来性を計るデータの一つになりつつあるということです。

 

例えば、融資先の企業が10件の特許権を保有している場合、その価値評価はどのように行われるのでしょうか。10件という数なのか、それともコア製品を的確に保護している権利の質なのか。

 

白水銀行の柳井課長が言った通り、ガラクタ特許ばかりだと、銀行も簡単にはお金を貸してはくれない、これが答えです。

 

日本はかつて、年間に44万件以上もの特許を出願する、世界ナンバーワンの特許出願国でした。これには、大企業の研究者や設計者の評価基準が、論文の発表や特許の出願件数に基づいて行われていたことが影響しています。つまり多くの大企業が、研究者や設計者のボーナスの査定などにおいて、何件の論文を出したか、あるいは、何件の特許出願を出したか、という質より量の判断をしてきたのです。日本は過去にこのような事情に基づいて、企業内部の知的財産部と特許事務所が大量生産を目的にシステムを作ってきました。故に「有効特許」でありながら、発明者や権利者である企業がその存在を管理し忘れる「死蔵特許」があり、この背景を思えば、白水銀行の柳井課長の暴言が出てくるのも仕方がないのかもしれません。

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知的財産経営 in 東南アジア 前回のコラム

中小企業でも良い特許があれば、 大企業と対等以上に戦えるって本当なの? 前回のコラムで、ビジネスが対象になる知的財産権の案件では、発生した損害の基礎となる対象がその売り上げ金額になるとお話しました。

新着コラム

東南アジアの今後の知的財産権制度は今後どうなるのですか。東南アジアは、知的財産権制度そのものを統合しようと話し合いをずっとしてきました。考えてみてください。もし、1つの手続で東南アジアのすべてで会社や製品の名前が登録できたり、ハイテク技術の特許が取得できたりしたら、楽で良いですよね!
日本の高い技術力はそう簡単には真似できません!今回もトレードシークレットについて話したいと思います。東南アジアで日本企業が知的財産権問題で深刻な被害を受けているのが、トレードシークレットです。トレードシークレットとは、会社の重要な秘密の情報を他の会社へ漏らしてしまうことを言います。
ここだけのはなしは、いけませんよ!今回もトレードシークレットについて話したいと思います。トレードシークレットとは、たとえば、会社の従業員が利益を得るために、いま働いている会社の新製品の設計情報をこっそり漏らしてしまうことなど、転職が多く現地人同士の情報交換が頻繁な東南アジアでは良く起こっています。
中国の会社が日本の新幹線をそっくり真似て良いの?今回から「トレードシークレット」について、複数回に分けてお話したいと思います。みなさん、トレードシークレットって聞いたことありますか? なかなか聞かないワードですよね。しかし、東南アジアの知的財産権問題で日本企業が遭遇する被害の多くはトレードシークレット違反なのです。
帝国重工への特許譲渡って何ですか?ドラマの第二話で、帝国重工の開発部長が佃社長に「佃製作所の特許を20億円で売却のうえ、譲渡してくれないか」と頼んでいたシーンがありました。他社の特許を買ったり、自社の特許を売ったりすることを「特許売買」と呼びます。
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