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第13回 フィリピン・ビジネスパーソンインタビュー / Ruel Amparo

お馴染みのフィリピンで活躍中のアノ人に直撃!日本人以外にもフィリピンには注目のキーパーソンが多く暮らしています。そこで、国籍問わず活躍中のビジネスパーソンにもフィリピンにおける「いろは」を語ってもらうコーナーがスタート!

Cropital 最高経営責任者/創始者
Ruel Amparo ルエル・アンパロウさん 

世界的に知られるクラウドファンディング、Cropital。世界中から投資を募り、地元農家が資金調達できるように手助けするのが彼らの主な目的だ。Cropitalの創業者はCEORuelAmparoさん。2015年11月、22歳でCropitalをスタートさせた。彼はフィリピン大学ディリマン校生産工学を卒業、現在、様々な社会的活動に傾注している。

 

編集部

 

CEOとして、どのような役割を担っていますか?

 

Ruel Amparoさん

 

他の企業のCEOと大体同じ役割ですが、異なる点はCropitalが取り組んでいる業務内容でしょう。我々は、長い間未解決だった課題に取り組んでいます。農家の方に聞いてみると分かりますが、農家においては資本の獲得が現在でも最も大きな問題の一つです。私はCEOとして、その問題を理解し農家の方々を支援し、彼らのニーズに応え、解決したい、と強く思っています。

 

 

編集部

 

では他社との違いは何ですか?

 

Ruel Amparoさん

 

融資そのものは他社もおこなっています。でも、生産性と融資をつなげる-この点が、我々が他社と違うところです。お金・資金は、人々の行動に大きな影響を与えます。我々が担当している農家はそのほとんどが高齢者で昔ながらの農業を続けていおり、新たな方法で、最新の技術を導入し、生産性を上げるのは彼らにとっては難しいのですが、我々は、融資がその変化のきっかけになると考えています。我々は、土地に関する様々なデータを集め、農家の方々と、何が可能で、何が不可能なのか分析し、収穫期から次の収穫期まで、農家の方々を注視していきます。そして予測できる影響に対峙し、農家の方々の生産性と融資をつなげて行くのです。

 

 

編集部

 

Cropitalを始めようと思ったきっかけは何ですか?

 

Ruel Amparoさん

 

Cropitalを始めた22歳の時は、色々なことがよく分かっていませんでした。きっかけは、それぞれの農家に直接影響を与えるためには、個々に異なった技術やツールが必要なことに気が付いたことです。そして徐々に、状況を理解するようになりました。もし今ある知識を22歳の時に持っていたら…Cropitalを始めるなんて、とんでもない、と思ったでしょうね。実際のところ、沢山の支援や便利なものはすでに存在しています。我々がしているのは、利用可能な解決策を結び付け、農家の方々がより利用しやすいようにすること。そうすることで、持続可能性を得ることが出来ると思っています。

 

 

編集部

 

Cropitalのシステムを教えてください。

 

Ruel Amparoさん

 

直接農家と対峙します。農家は、土地耕作のために融資を受け、耕作の責任を負います。ほとんどの農家は、土地を所有しておらず、収穫物で、地代を払うのが慣習です。地代は、安くて米7カバン(1カバンは約50kg)、高い場合は40カバン。地主は時として、収穫高に関係なく、決められた量を請求し、目標の収穫高に達しなかった場合、次の収穫に上乗せさせています。我々の農家は、通常、最低でも100カバンは毎年収穫していまが、それでも、生活の質を向上するには、十分とは言えないですね。

 

 

編集部

 

フィリピンの、どの地域をサポートしているのでしょうか。

 

Ruel Amparoさん

 

ルソン島中部、RegionIV(カラバルソン地方、ミマロパ地方)、レイテ島、ボホール島です。

 

 

編集部

 

今まで直面した最大の困難と、その対処法を教えてください?

 

Ruel Amparoさん

 

持続可能性が課題点の一つです。農家への融資はハイリスクだと多くの人が認識していますが、我々は調査を続け、なぜそうなのか理解を深めています。融資返済率の向上に効果的だったことの一つが、米の価値連鎖に焦点を当てることです。私たちは、我々の農家が生産した農産物を契約バイヤーが買うプログラムを保有しています。また、必要なデータを提供するサプライヤーもいます。ほとんどのケースで技術パートナーがいて、農家がデータを正しく使えるように指導することができます。原則として、資金はパートナーを通して、彼らが直接我々に支払います。これはある意味、我々が高い返済率を保つことの手助けとなります。どの農家がこのような介入を受け入れるか、その見極めの方法はまだ開発中です。もちろん全ての農家が、興味を持っているわけではありません。中には、我々からもう融資を受けられない農家もあります。それは土地がよくない場合です。他にも資金提供の妨げになる要因はたくさんあるため、我々はまず、低額で融資をスタートします。中には、ローンを払う必要はない、と言う考え方の人がいますが、その考え方が変わるまで、我々は、我々の介入を受け入れる人たちを対象にしていきます。

 

 

編集部

 

どのようにして、介入を受け入れる農家を見極めるのですか?

 

Ruel Amparoさん

 

自社で開発した、得点モデルを使います。また、農家の中にリーダーがいて、彼がまだ参加していないメンバーに接触します。これらを総合して、決まった金額を支払えるのか、また彼らが支払える最低額はいくらなのか、農家ごとのリスクを判断するのです。

 

 

編集部

 

これまでの最大の業績は何ですか?

 

Ruel Amparoさん

 

これまで3000万ペソの資金を集めフィリピン国内の農家へ融資しています。また、約90%という、非常に高い顧客定着率を保っています点です。我々とスタートした農家さんは、通常やめることはないですね。同時に、なぜやめていくのかも分かっています。ほとんどの場合、資金が間に合っている場合です。それは悪いことではないですね。また、自力では解決できない場合、例えば灌漑施設が閉鎖されてしまうとか、土地が別の人に相続されてしまう場合などもあります。これらを念頭に置き、サービスを改善していくのです。現在、投資家の数は3万5千人になりました。全ての投資家は、我々のプラットフォームに登録し、我々の農家に対する融資に関心を持ってくれています。

 

 

編集部

 

Cropitalの今後のプランは?

 

Ruel Amparoさん

 

価値連鎖への対応と、その強化に焦点を当てたいですね。基本的には、農家がどんな場所にいてもプログラムにアクセスできるようにしていきます。もし、契約栽培プログラムを行いたい場合は、買い手の確保、参考にできる技術、適切な融資プランの準備をし、そのあとアクセスしていきます。また、我々のプランをフィリピン全体に広めていきたいですね。別の地域へ進出するだけの力が我々にあるのかは、今後見極めていきます。

 

 

編集部

 

ご自身の経営スタイルを表現すると?

 

Ruel Amparoさん

 

Cropitalには約14名の従業員がいます。そのうち7人が社員です。事務管理をするチーム、現地チーム(従業員の大部分を占める)、そして技術・顧客サービスチームです。私は、社員の献身、優秀さ、情熱を重視します。Cropitalを始めた時、私自身がとても若く、会社運営の経験はほとんどない中で会社の成長と共に私も学んできました。私だったらこう扱われたい、それが私のマネジメントです。私はいつも、考えや最終目的を共有することから始めます。そして、場面、場面に合わせて、どのように最終目的に繋がってゆくのかを説明します。そして彼らの役割と責任を説明し、それが最終目的にどのような効果を与えるのかを明確にします。私は、役職者には、そのポジションにあった最も適切な人を雇用しようと努めています。彼らは、最低限の指導で済みますし、適度の情熱をもって仕事に取組み、仕事の質も保つことができます。働く環境に満足しているか、適切な対応を受けているか-これらを確認するのが私の責任だと思っています。当社のあり方、従業員の役割の改善も私の責任だと思います。

 

 

編集部

 

尊敬する人はいますか?

 

Ruel Amparoさん

 

二人います。Cropitalが現在の姿になったのもの彼らのおかげといえますね。一人目はムハマド・ユヌス氏です。彼は、バングラデシュの社会企業家、銀行家、経済学者、市民団体指導者、そしてマイクロファイナンス)の創始者でもあります。Cropitalがしていることは基本的に彼のアイディアと同じです。違いは環境だけですね。中小企業への資金提供と農家への資金提供では環境が違いますからね。ユヌス氏は、貧しい人への融資は思ったほどのリスクを伴わない-と言う考え方を持っています。つまり投資する価値がある、と理解しているのです。彼は何を言われても自分の考え方を貫きました。現在、彼の考えに従ったマイクロファイナンス機関のほとんどは、99%の返済率を実現しています。中小企業の問題を解決したいという彼の情熱-彼がやったことは私も出来る、そう思いました。もう一人はスティーブ・ジョブズ氏です。ジョブズ氏と言えば、イノベーションで知られていますが、私が彼を尊敬する一番の理由は、一般利用者向けにテクノロジーをデザインしたことです。彼のイノベーションは、単に技術の進歩のためだけではないのです。これは、農家や一般の人にも当てはまることです。農家向けの技術は沢山ありますが、その使い方を農家の方が理解しなければ、意味がなくなってしまうのです。

 

 

編集部

 

典型的な一日の流れをしえてください。

 

Ruel Amparoさん

 

会社にいるのは週二日です。残りは外出して、色々な人と会議をしたり、現場を見て回っています。一日のほとんどは、チームとの会話でに費やします。会社を離れて仕事をすることもありますが、定期的に全員、グループ、個人と直接対面し会議が出来るようにしています。それ以外の時間は外部の人と話をし、事業を見積もり、新しいパートナーに会い、我々の運営に協力してくれる人を探しています。

 

 

編集部

 

CEOとして、モチベーションになっていることを一つ上げてください。

 

Ruel Amparoさん

 

我々の影響力でしょうか。難しい問題に直面した時はいつも、農家の方々を思い浮かべるようにしています。我々のやっていることによって彼らは恩恵を受けるんだなぁ、と。“ありがとう。”この一言が本当に我々のやる気を起こさせますね。我々のやっていることは、必要性があることだと感じて、農家の方々がよりアクセスしやすいように行きたいと思いますね。

 

 

編集部

 

日本の読者の方々にメッセージをどうぞ。

 

Ruel Amparoさん

 

フィリピンでは、多くの人々が日本ほどよい環境にいるわけではありません。個人的には、私は日本人の自制心に感心しています。それが今日の日本を築きました。もし、フィリピン人がもっと日本の影響を受け、日本レベルの規律を持てたら-フィリピン人はもっと“我々の物“と呼べるものを育て作り上げることができると思います。

 

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家庭医療のプラットフォームを展開するAIDEを創業したPaolo Bugayong氏。自身の経験からフィリピンの医療システムに課題を感じ、スマートフォンを通じて自宅で医療サービスを受けられるシステムを開発した。「成功に近道はない」を信条に、目の前の患者と仕事に全力で向き合い、サービスの拡大を目指す。
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現在経営するAdMov Marketing Solutionsを含めて、これまでに3社のスタートアップを起業したCapiral氏。企業に勤めた経験や経営者としての視点をもとに、新たなテクノロジーを使った広告を考案。広告業界を大きく変えるチャレンジを続ける。
Ernani Omar Cruzさんは医療保険管理システムを運営する「S t a s h 」のCEOだ。国際的なIT企業や金融、航空業界など様々な業界の大企業で働いた経験を生かし「Stash」を創立。
Ryan K. Cruz氏はRamen Yushoken(優勝軒)、Mendokoro Ramenba(麺処ラーメンバー)、Kazunor(i 和徳)というメトロマニラで名高い3つの日本食レストランの経営者だ。
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