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プレビルドコンドの購入【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第五十八回】

『プレビルドコンドの購入』


今月の事例

Q.プレビルドのコンドミニアムを購入したのですが、引渡予定時期になってもまだ完成していません。何かできることはありますか?



  フィリピンでのコンドミニアムの購入に関するトラブルのご相談を受けることが少なからずありますため、今回はフィリピンでのプレビルドコンドミニアムの購入に関連するよくあるご相談につきお答えさせて頂きます。
プレビルドでコンドミニアムを建設する開発業者がその開発したコンドミニアムを販売するに当たっては、まず、その開発業者がHousing Land Use and Regulatory Board (HLURB)に登録されていなければならず、また、そのコンドミニアムの建設及び販売についてもHLURBへの登録が必要です。誰でも知っている有名な開発業者の場合はさておき、そうでない場合は、開発業者及びプロジェクト自体がHLURBへの登録がなされているかにつき、まず確認することが必要です。
一般的なプレビルドコンドの購入の際の書類ですが、最初に締結をする書類はContract to Sel(l 売買契約書)であり、この契約の締結を直接開発業者またはブローカーを通じて行うことになります。売買契約締結時に一時金(ダウンペイメント)を支払い、その後、契約したときの条件にしたがって、残金を支払うことになります。支払い条件に従って売買代金の全額が支払われた後にDeed of Absolute Saleが締結され、物件の引渡、また、支払われる税金についてもすべて支払われますと、Registry of Deedsが権原証書(コンドミニアムの場合、Condominium Certificate of Title(CCT))を発行するという流れになります。なお、フィリピンの場合、物件の引渡し後すぐにCCTが発行されることは稀であり、引渡しから数年経過してようやくCCTが発行されることもあります。もっとも、当初の予定通りに引渡しがなされるとは限らず、途中で建設が止まったり、遅延することがよくありますので、その場合、買主に何らかの方法がないのかが問題となります。


1.契約の解除ができるか?


  まず、引渡しの遅延を理由に契約を解除して返金を求めることができるかが問題となります。この点については契約書を検討することが必要となりますが、特段の規定がない限り、一般的には契約を解除することは法律的には可能であると思われます。もっとも、フィリピンにおいて納期遅延を理由に契約を解除して返金を求める買主はほとんどいないのが現実です。


2.コンドミニアムを他の人に譲渡できるか?

次に、引渡しを受ける前に第三者にそのコンドミニアムを譲渡するという方法も考えられます(いわゆるAssignment of Rightsという手法です)。もっとも、これが有効となるためには開発業者にかかる譲渡が登録されることが必要であり、実際には開発業者がこれを認めないケースが多いですので、この方法が一般的であるということはできません。以上のように、トラブルが起こった際に実際に買主ができることはフィリピンでは限られていると言わざるを得ませんので、フィリピンでプレビルドコンドミニアムを購入する際には十分気をつける必要があると言えます。


結論

A.契約の解除や第三者への売却などが考えられますが、実際にこれらを行うことは難しいでしょう。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



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