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第二十七回ビジネス烈伝 / パナソニックフィリピン 豊田 勝さん

「憧れの商品」でマーケット拡大
B to B強化で10兆円企業への一翼を

豊田 勝さん

パナソニックフィリピン 副社長
豊田 勝さん豊田 勝さん

>1960年、北海道生まれ。1983年松下電器産業(当時)入社。
本社、フランス、ロシアなどの勤務を経て、2014年4月より現職。
趣味は温泉旅行。
 
【好きな書籍】 
「剣豪将軍」宮本昌孝著
「戦争論1・2・3」小林よしのり著
(漫画ですが・・・)

〈座右の銘〉

「日はまた昇る」「朝の来ない夜はない」
「冬来たりなば春遠からじ」
とにかく、何があってもしょげずにポジティブに生きたいと思っています。

2018年に創業100周年を迎えるパナソニック。同年度には積年の目標としてきた売上高10兆円を目指している。B to B(企業間取引)事業を強化し、成長が続く海外新興国を10兆円企業実現に欠かせない重点戦略市場と位置づける。成長市場の一つであるフィリピンでは、地元企業との合弁会社設立からすでに47年という歴史を持つ。リーディングカンパニーとしてフィリピン国内家電業界を牽引してきた同社の販売部門を担うパナソニックフィリピンの、豊田勝副社長にお話をお聞きしました。

 

 

編集部

 

フィリピンでのパナソニックグループの構成は?

 

豊田さん

 

製造会社としてPanasonic Manufacturing Philippines Corporation(PMPC)があり、パナソニックフィリピンはPMPCの販売部門を担う部門会社です。松下電器産業(当時)がフィリピンに進出したのは1967年。フィリピンのプレシジョン・エレクトロニクスと合弁でPMPCを設立しました。47年という長い歴史があり、日系の家電メーカーとしては最古参です。

 

 

編集部

 

製造拠点の概要は?

 

豊田さん

 

リサール州タイタイとラグナ州サンタローサに工場があります。グループの従業員は合わせて 500人強。主に製造している商品は、金額ベースでエアコンが約 45%、冷蔵庫が35%、洗濯機が15%、扇風機が5%です。ほぼ全てフィリピン国内市場向けで、今のところターゲットはミドルクラスまでの所得層なので、シンプルで比較的安価な商品が主力です。

 

 

編集部

 

今後はどのような商品展開を?

 

豊田さん

 

更なる売上増のためには、今あるシェアを確保しながら、より上の層にリーチしていかなければならない。これまで弊社の商品は「丈夫で安心」というイメージで使ってもらっていますが、「憧れの商品」というイメージはまだありません。今後は、大型冷蔵庫、全自動洗濯機など高性能の白物商品に加え、テレビやオーディオといったAV機器の販売も拡充していきたい。若年層に「かっこいい」というイメージを持ってもらう仕込みを今から始めて、今後彼らが主たる購買層になったときに、パナソニックが商品選択の有力候補とならなければいけません。

 

 

編集部

 

現在取り組んでいる販売施策は?

 

豊田さん

 

5年ほど前まではモールで展示会などをしていましたが、現在はトラックバンに商品を積み込んで各地域をまわる、あるいは店頭でのデモを強化するといった地道な営業に力点を置いています。例えば、先般は女性のテニストーナメントの会場にドライヤー、ヘアアイロン、スチーマーといった美容機器を体験して頂けるブースを作りました。この国でテニス大会に参加する層は、いわゆるAB層と言われる上流層。その層にマッチする商品を直接アピールする狙いです。フィリピン人女性は美意識が高く、髪の長い女性も多い。でもドライヤーは店頭であまり見かけませんよね。洗髪後は自然乾燥したり、扇風機で乾かしたりしている。ドライヤーを使う事のメリットをもっと伝えていけば新たなニーズを掘り起こせるでしょう。そのときにパナソニックの製品を使ってもらえるようにしていきたい。

 

 

編集部

 

全社で注力されているB to B(企業間取引)は、フィリピン市場でも推し進める?

 

豊田さん

 

はい。ただB to Bはどんなパートナーと組むかで全然違ってきますから、今後慎重に模索していきたいですね。今のフィリピンはB to Bのネタはものすごく多いと思います。我々がイメージしているのはあくまでも家電製品をベースにしたもの。例えば、新たにホテルができたらエアコン等の空調設備、冷蔵庫、テレビといった設備が必要ですよね。そうした部分に商機を見出していきたい。いずれにしても、現在主力の一般消費者を対象としたいわゆるB to Cビジネスを担保しながらB to Bを育てる必要があります。

 

 

編集部

 

ご経歴について教えて下さい。

 

豊田さん

 

1983年に松下に入社しました。3年間半導体の国内営業に携わり、そのあと海外営業部に移ったのが海外との関わりの始まりです。94年に営業マーケティングのマネージャーとしてフランス松下電器に赴任したのが初の海外勤務。6年間フランスで過ごし、2004年からの5年間は、パナソニックロシアで副社長を務めました。2012年からはパナマ共和国で中南米地域のマーケティングを担当する新会社の設立に携わり、2年間駐在しました。そして今年の4月からフィリピンです。

 

 

編集部

 

語学は元々得意だった?

 

豊田さん

 

いいえ。決して得意ではなく、今でも四苦八苦しています。フランスでは商談はフランス語。営業ですからまずは数字がわからないとお話にならないので、そこからスタートしました。ほとんど独学でした。

 

 

編集部

 

世界各地で仕事をされたからこそ感じたことは?

 

豊田さん

 

欧州、ロシア、南米、そしてアジア。当然それぞれ気質は違います。ですが各地で仕事をしてきて共通すると感じるのは、人種に関わらずこちらが相手に飛び込んで心を開けば、受け入れてくれるという事。ロシアではいったん懐に入り込めたら、商談でお 客様に朝からウオッカを出されたりとか、結構ウエットなんですよ。それぞれの違いよりも、人として共通していることの方が印象に残っています。初の海外勤務地だったパリでは、毎晩遅くまで働いたものです。仲間との当時の合言葉は「エッフェル塔の灯が消えるまでには帰ろう」。あれは午前1時に消灯する んです。確かにしんどかったけれども、やがて3年もすると現地の人と一緒に仕事をする楽しみがわかってきました。同時に日本、そして日本人の良さを、外で働いてみて改めて強く自覚、認識することが出来る様になりました。

 

 

編集部

 

今後アフリカに赴任されたら文字通り世界中ですね。

 

豊田さん

 

アフリカまでは体力が(笑)。入社して日本で国内営業から海外営業に移ったとき、最初に担当したのがアジア地区でした。やがて実際に海外勤務が実現した時に、決まったのが意外にもフランス。その後、ロシア、中南米と担当したので、最後はアジアをやりたいなあと思っていました。ですから、ここフィリピンでの仕事をこれまでの海外経験の集大成にしたいと思っています。

 

 

編集部

 

来比して7ヶ月、フィリピン人スタッフの印象はどうですか?

 

豊田さん

 

指示した事はその通りにきっちりやってくれる。その反面、積極的な提案といったものは少ないように思います。常に指示待ちしている感じ。そこを何とかしたくて、最近スタッフに意識して「自分たちの手で会社を変えていこう」と言っています。成長を目指すなら今までやっていないことに取り組まないといけない。ただ簡単には理解してもらえません。そういうのは日本人のマネージャーが決める事、みたいな先入観があって、それをまず壊さないと。そのためにはスタッフに成功体験を積み上げる機会を作ってあげていきたいですね。

 

 

 

 

豊田 勝さん

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