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第六十九回ビジネス烈伝 / アジア開発銀行(ADB) 総裁首席補佐官 池田洋一郎さん
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経済成長の舵取りを担い、国の長期的な発展を目指す

アジア開発銀行(ADB)
総裁首席補佐官
池田洋一郎さん

1977年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、2001年に財務省に入省。予算管理の業務等に従事し、2003年に広島国税局に出向。ハーバード大学ケネディースクールへの留学を経て2011年に世界銀行に移籍。バングラデシュ事務所や本部駐在を経て、2017年にアジア開発銀行に移籍。同8月から現職。

心に残っている本
村上春樹の「走ることについて語る時に、僕が語ること」というエッセイです。「走ることで毒素が抜けていく」という一節に非常に共感しました。心の平静を保ちたい時に重宝するのは「今ここに意識を集中させる練習」です。こちらはマインドフルネスの本で、日々の所作に集中する重要性を説いています。

 

2017年にADBの総裁首席補佐官に就任した池田さん。新卒で財務省に入省後、活動の幅をバングラデシュやフィリピンなど海外にも広げてきた。平和な社会の実現に向け、働く組織や国籍を超えて団結する力の育成に邁進する。「経済の安定は国家の安定につながる」という考えをもとに、ミクロとマクロの両方の視点から国の成長の軌道を描く。

 

 

編集部

 

ご経歴を教えてください

 

池田さん

 

1977年にタイのバンコクで生まれ、東京の中高一貫校に入学しました。幼い頃から歴史や経済に関心があり、大学は早稲田大学の政治経済学部に進学。父親が海外の大使館に勤務していたり、祖父が元海軍の軍人だったりと、国に関わる仕事に魅力を感じ、2001年に財務省に入省しました。予算管理を行う主計局で2年間勤務した後、広島の国税局に出向しました。

 

 

編集部

 

広島でのご経験をお聞かせください

 

池田さん

 

税金の仕組みを理解し良い制度をつくるためには、実際に税金を徴収する現場での経験が欠かせないと感じました。仕事以外では英語学習に没頭。当時26歳だった私は英語で自己紹介ができないほどの語学力でしたが、英会話スクールでの会話が楽しく、みるみる英語にはまりました。文法や語彙力など基礎が身についていれば、とにかくアウトプットを続けると英語は上達すると思います。

 

 

編集部

 

その後東京に戻られたのですね

 

池田さん

 

東京の財務省に戻った後は2006年に国費留学生としてハーバードのケネディースクールに留学しました。好きな本の作者が同大学の教授だったことが、留学を後押しした理由のひとつです。利益を最大化するのでなく、社会的な価値を提供する組織の運営について学びました。ほかにもインドでマイクロファイナンスに携わるインターンを行ったり、ケニアのHIV孤児施設でボランティア活動に励んだりと、見聞を広めました。

 

 

編集部

 

留学で印象に残った出来事を教えてください

 

池田さん

 

自分がマイノリティーの立場に立った経験は忘れられません。クラスメイトの中では最も語学力が劣っていましたし、欧米の大学院で勉強したり、働いたことがない人は私以外にほとんどいませんでした。非常につらい時期もありましたが「授業で必ず1度は質問する」などと目標を決めて取り組むうちに、少しずつ心理的なバリアがなくなり自信もつきました。2年間の留学生活を経た後は2008年に財務省に戻り、国際関係の業務を扱う部署に配属になりました。

 

 

編集部

 

ちょうどリーマンショックが起きた年ですね

 

池田さん

 

1つの国で危機が起こると、瞬時に、更に拡大した形で世界に広がることを痛感しました。欧米市場を調査し、日本の財政に必要な提言をつくるチームに当時は在籍していたのですが本当に大変でしたね。その後2011年に世界銀行に移籍しました。

 

 

編集部

 

世界銀行での業務について教えてください

 

池田さん

 

世界銀行は債券を発行して、所得の低い国に低金利で貸し付け国を発展させる役割を担っています。私は昔から「現場で働きたい」という気持ちが強かったため、2011年にバングラデシュの現地事務所に出向しました。災害シェルターの運営について実践的なフィードバックを行うなど、市民参加型のプロジェクトを実施。現地の言葉であるベンガル語も学び、住民の意見を反映しながら課題解決に向けて取り組みました。本部でも1年ほど勤務しました。

 

 

編集部

 

その後はどうされたのでしょうか?

 

池田さん

 

財務省復職期間を経て、2017年8月に現職に就きました。ADB総裁とそれ以外のスタッフとの橋渡しの役割を担っています。経営の補佐や出張先の決定、書類のチェックなどが業務内容です。ADBの任務は資金と知恵の提供です。フィリピンではクラークとマロロス間の鉄道の敷設資金を融資しているほか、ミンダナオ紛争後の復興や教育分野にも投資をしています。2018年度は総額で1000億円を融資しましたが、今後は2倍程度に増やすことも視野に入れるほど、フィリピンには成長の可能性を感じています。インフラ投資以外にも、首都マニラとそれ以外都市の格差是正などが今後の重要テーマです。

 

 

編集部

 

ADBのような多国籍な組織を運営する上で、重視されていることを教えてください

 

池田さん

 

それぞれがもつ専門性の違いを理解することが大切だと思います。これは留学時にも感じたことなのですが、国籍や文化の違いよりも、職業の違いから発生する思考や言葉使いなどの違いの方が大変です。ADBでは部局間の異動をより活発に行っています。蛸壺化しやすい組織のなかで、人材の交流や異動を積極的に進めることが重要だと思います。

 

編集部

 

これまでの人生の教訓をお聞かせください

 

池田さん

 

自分中心の考え方をやめ、現状を受け入れて着実に実績を積み重ねることが大切だと感じています。バングラデシュ勤務時代に学びました。財務省にいた頃は能動的に動かなくても仕事が割り当てられましたが、出向先のバングラデシュでは自分に実績がなかったため、当初は仕事の依頼がほとんどきませんでした。自分の現状を受け入れ、どんなに小さな仕事でも真摯に向き合いながら学ぶ姿勢が大事だと思います。

 

編集部

 

今後の夢を教えてください

 

池田さん

 

争いのない世の中をつくるために、目の前の活動に真剣に取り組み続けていきたいです。日本の安定はアジアの安定なくして成り立ちません。現場としてのミクロと、国づくりに必要なマクロの視点を持ち続け、両者間の往復を重視していきたいですね。

 

 

編集部

 

座右の銘を教えてください

 

池田さん

 

「ニーベの祈り」という牧師の言葉です。変えることのできない事柄については、それをそのまま受け入れる平静さを。変えることのできるる事柄については、それを変える勇気を。そしてこの2つの違いを見定める叡智を、私にお与えください。仕事に取り組む上でも非常に大切にしている言葉です。

 

 

編集部

 

休日はどのように過ごされていますか?

 

池田さん

 

ランニングをしたり、青年海外協力隊の任地を訪問したりしています。日本で2001年から始めた「クロスオーバー」という活動を通じて、経済人や学生など様々な立場の人が社会課題の解決に向けて意見を交わす機会も作っています。

 

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ビジネス烈伝

2018年2月に富士ゼロックスフィリピンの社長に就任した加藤英明さん。顧客の業務効率化や業績の拡大をサポートするため、商品の提案だけでなく、印刷に付加価値をつけたサービスの提供に徹底したこだわりをもつ。これまで上海、シンガポール、ミャンマーなど海外に長く駐在した経験をいかし、国の発展や需要に応じた事業展開の舵取りを担う。
焼肉やしゃぶしゃぶが楽しめる和食ビュッフェ店を7月に開業したダイニングイノベーションの西山知義代表取締役会長。焼き肉レストラン牛角など、これまでに様々な業態の店舗を国内外で幅広く展開してきた。「お客様が喜んでくれることがモチベーションにつながる」と語る西山氏は、アジアで多くの人々の胃袋を掴み始めている。
2014年にジョイントベンチャーとして設立されたUCC上島コーヒーフィリピンのCEOを務めるHubert Young氏。三ツ矢堂製麺など多くの日本食事業をフィリピン展開する架け橋となり、飲食業界を30年以上率いてきた。
ラーメン業界の競争が激しいフィリピンにおいて、リーズナブルな価格で勝負をする「RAMEN KURODA」。店舗すべてを直営で展開し、本物の味と質の高いサービスを追求する。
いまではフィリピンを代表する産業に発展したBPO業界。その成長を牽引してきたのがDTSI(Diversified Technologies Solution International)グループだ。

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ビジネス烈伝
2016年にミライフィリピンの社長に就任した本永修さん。アパレル業界での仕入れや販売を経て、未来樹脂に転職。新規事業としてリサイクル材を使用した梱包、輸送用資材の開発に携わり、フィリピンで事業拡大を進める。

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