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第七十二回ビジネス烈伝 / UCC上島珈琲フィリピン CEO ヒューバット・ヤングさん

“現地目線の鋭いマーケティングで、日本食の真の美味しさを伝える”

UCC上島珈琲フィリピン
Hubert Young, CEO of UCC Ueshima Coffee Philippines, Inc.
ヒューバット・ヤングさん

米国Marquette University 卒、30年以上食品業界に携わり2014年にUCC上島珈琲との合弁会社として設立されたUCC Ueshima Coffee Philippines、Inc.のCEOに就任。UCC、CoCo壱番屋、しゃぶ里、KINTAN、大和ベーカリーカフェなどの人気ブランドをフィリピンで展開する立役者の一人。

 

2014年にジョイントベンチャーとして設立されたUCC上島コーヒーフィリピンのCEOを務めるHubert Young氏。三ツ矢堂製麺など多くの日本食事業をフィリピン展開する架け橋となり、飲食業界を30年以上率いてきた。フィリピンの外食産業を豊かにするために、様々な現場から新しい事業の種を探し続ける。

 

 

編集部

 

これまでのご経歴を教えてください。

 

ヒューバット・ヤングさん

 

フィリピンは人口が多く、経済成長が期待できる有望な国のひとつです。現地の人々も肉や日本食を好んで食べています。GDPの成長とともに市場が成長していく段階から店舗を展開することで、しっかりとした収益基盤を築けるのではないかと考えました。立地が良く人通りも多いマカティのグロリエッタに第一号を出店したので、知名度を短期間で上げていきたいと思います。

 

 

編集部

 

なぜUCCや上島コーヒーにご関心をもたれたのでしょうか??

 

ヒューバット・ヤングさん

 

アジアを旅行した際に香港の上島コーヒーに行ったり、スーパーでUCCの商品を買ったりするうちに、UCCや上島コーヒーに興味をもつようになりました。フィリピンにいる多くの人が、アメリカのブランドに対して憧れを抱いています。飲食店でいうとカリフォルニアピザキッチンやTGIフライデーズなどが一例です。私は「他の人と違う自分でありたい」という思いが強かったので、自然とアジアに対して興味が湧いたのかもしれません。「いつかはフィリピンにUCCを出店したい」という気持ちが大きくなり、次第に夢へと変わっていきました。しかし私が手に取ったUCCのパッケージに書かれていた言葉は、すべて日本語。どうやってフィリピンにUCCを出店するのが最善策か、そしてコストをどうやって下げたらよいのか非常に悩まされました。UCCのコーヒーはフィリピンの一般的な物価から考えると値段が高かったのです。フィリピンの多くの人に飲んでもらえるように、日々試行錯誤していました。

 

 

編集部

 

ホテルでコーヒーをゆっくりと楽しむことがあります。

 

ヒューバット・ヤングさん

 

フィリピン人は食べたりおしゃべりをしたりするのが大好きです。ビジネスシーンでも、コーヒータイムでホテルを訪れ、ティータイムをゆっくりと楽しむこともあります。私の理想とするコーヒーショップはホテルのようにリラックスしたムードでゆっくりとあじわいを楽しめるような空間でありたい。そこでエスプレッソではなくサイフォン式のコーヒーを提供するなど、細部にまでこだわりをもちました。

 

 

編集部

 

これまでに携わってきた日本食のフランチャイズ展開について教えてください。

 

ヒューバット・ヤングさん

 

2011年ごろからフィリピンではラーメンが流行し、三ツ矢堂製麺をマカティに出店しました。この店は普通のラーメンではなく、つけ麺に特化した点が特徴です。同業他社との違いを明確に打ち出しました。UCCとコーヒー製造ビジネスのジョイントベンチャーをはじめたのは2014年。800トンものコーヒーを製造するほど事業は軌道にのり、2015年には「CoCo壱番屋」と携わるきっかけもできました。その後「しゃぶ里」「KINTAN」やモスバーガー様と協業する話が進んでいきました。

 

 

編集部

 

日本に対してご関心が高いのはなぜでしょうか?

 

ヒューバット・ヤングさん

 

旅行などで何度も日本を訪れるうちに、日本の文化や食事に対して非常に興味をもつようになりました。今でも日本に行く度に様々なことを学ばせてもらっています。例えばコンビニエンスストアでは食のトレンドを掴んだり、誰がどの商品を購入するかを考察したりするのが好きです。

 

 

編集部

 

飲食店を経営するうえで大変なことを教えてください。

 

ヒューバット・ヤングさん

 

小売飲食は最も厳しいビジネスだといえます。これまで様々な課題に直面してきましたが、課題を通じて私たちも辛抱強く解決策を考え続けてきました。最も難しいのは、多くのお客さんや従業員とのコミュニケーションです。私たちは1000人以上もの従業員を雇用しており、全員がフルダイムで直接契約を結んでいます。会社を設立した当初からともに働いているメンバーは、まるで家族のような関係になってきていますね。

 

 

編集部

 

フィリピンの飲食業界をどのように分析されていらっしゃいますか?

 

ヒューバット・ヤングさん

 

今後大きく成長する市場だと思います。フィリピン人ひとりあたりの可処分所得は拡大していますし、人口も増えています。さらに様々な新しいビジネスチャンスが出てくるでしょう。私たちはこれまで高級層から中間層までをターゲットにしたビジネスを展開してきましたが、これからはもう少しターゲット層も広めていきたいと思います。

 

 

編集部

 

次はどのようなビジネスを考えているのでしょうか?

 

ヒューバット・ヤングさん

 

マーケッターとして最も重視しているのがブランディングです。フィリピンに日本食を広めることが私の使命であり、この先も関わっていきたいと思います。そしてフィリピンの多くの人に、日本食の本当の美味しさを知っていただきたいです。私は自社ブランドを所有してはいませんがブランドが大好きですし、自分でブランドを所有するようにビジネスを経営しています。新しいブランドを設立する必要はありません。私のブランドは「Hubert Young」という私自身だと思っています。常に現場感を大切にし、会社を大きく成長させるためには、一歩引いた場所から市場全体を見極め、経営方針を決めることが大事です。

 

 

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