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NRI 野村総合研究所 フィリピンビジネス通信 第7回

フィリピンビジネス通信 ~コンサルの視点から~

NO.7 インタビュー
どうなる? 電動車市場の動向~DTI-BPS電動車規格検討委員に聞く~

2020年9月にNRIマニラ支店のコンサルタント(Vic Mabutas)が貿易産業省製品規格局(DTI-BPS)の電動車規格検討委員会に選出されました。今回は、彼に委員会での活動内容や電動車市場の動向等についてインタビューした内容をご紹介します。

 

 


Vic Mabutas
NRI マニラ支店
シニアコンサルタント


土屋 和生
NRI マニラ支店
シニアビジネスアナリスト

 

 

Q1 NRIではどのような案件に携わってきましたか?


ODA(政府開発援助)、自動車、再生可能エネルギー、石油を含む様々な業界のプロジェクトを実施してきました。特に、自動車業界関連の案件を多く経験し、例えば、電動車に関する実証実験、パートナー企業選定、事業戦略立案支援等を行ってきました。

 

Q2 貿易産業省製品規格局(DTI-BPS)電動車規格検討委員会では何をするのですか?


2020年9月にDTI-BSPの「電動車規格検討委員会」のメンバーに選任されました。この委員会は電動車の国際標準(ISOやIEC)を参考にしながら、フィリピンにおける電動車(電動モーターで車を駆動させる輸送機器で二輪車、三輪車、四輪車を含む)のための規格決定を目的としています。ジープニーのようなフィリピン特有の乗り物については、国際標準規格がないため、フィリピン独自の規格を検討・策定します。

 

Q3 委員会で期待されるNRIマニラ支店の役割は何ですか?


NRIマニラ支店には、採用される規格が企業の事業活動を阻害することに繋がらないか等、ビジネス的側面からの提案・助言や今回の委員会メンバーには入っていない自動車産業関連企業に対して規格に関する情報を発信すること等が期待されています。加えて、NRIグループのグローバルネットワークを駆使することで、適宜他国の電動車規格に関する情報も提供できると考えています。

 

Q4 フィリピンの電動車市場の見通しについてはどのように考えていますか?


フィリピンでは、少しずつ電動車の存在が知られるようになりましたが、実際に導入されている台数や充電スポットの数は少ないです(2020年現在の充電スポットは、日本が約20,000ヵ所、タイが約600ヵ所、マレーシア300ヵ所以上に対してフィリピンは約20ヵ所)。今後は市民の環境意識の高まりや政府施策等により電動車市場は少しずつ拡大すると考えています。フィリピン電気自動車連盟(EVAP)によると2019年における電動車の登録台数は約4,800台で、NRIでは2022年末に約7,000台(新型コロナウイルスの影響を考慮しない値)にまで拡大する可能性があると推計しています。現在登録されている電動車の内訳は電動トライシクルが半数以上を占め、次いで電動二輪、電動ジープニーが続きます。ハイブリッド自動車の登録台数は100台以下と少なく、残念ながら自家用車としての普及はまだ進んでいません。

 電動車はガソリン車と比較して未だ高額であり、導入拡大には購入者へのインセンティブ付与など政府支援が重要な役割を果たします。フィリピンエネルギー省はアジア開発銀行と連携して電動トライシクルの導入を進め、マニラ首都圏や地方部でも電動トライシクルが利用されています。また、フィリピン運輸省がジープニーなどの公共交通機関(PUV)の安全性と機能性向上を目指し公共交通車両近代化プログラムを進めていることから、今後、PUV の電動化が拡大する可能性があります。

 フィリピンで電動車導入を拡大させるためには様々な課題を解決する必要があります。例えば、規格や規制を整備する、製造者やユーザーに対して電動車導入を促進させるための補助金を支給する、コンシューマーファイナンスをより充実させる、充電インフラを整備する、電動車の修理等アフターセールス体制を充実させること等が重要であると考えています。近年マカティなどの街中で見かけるようになった電動スクーターは主に中国からの輸入製品で、価格は3~5万ペソと安価ですが車両耐久性やバッテリー品質が低く、ユーザーが安全に車両を運転するためにも電動車の規制整備を迅速に進めることが必要だと考えています。

 

Q5 DTI-BPS での経験をどのように活かしていきたいと考えていますか?


規格化委員会での活動を通じてフィリピンの電動車規格を明確化することで企業が参入しやすい環境整備をしたいです。規格の検討状況や策定の方向性についても、可能な範囲で積極的に発信していきたいです。また、規格策定後は、電動車関連企業の新規参入や事業拡大の支援をすることで、フィリピンの電動車市場の発展に貢献したいと考えています。

 

 

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