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第6回 フィリピン・ビジネスパーソンインタビュー / David Leechiu

お馴染みのフィリピンで活躍中のアノ人に直撃!日本人以外にもフィリピンには注目のキーパーソンが多く暮らしています。そこで、国籍問わず活躍中のビジネスパーソンにもフィリピンにおける「いろは」を語ってもらうコーナーがスタート!

Leechiu Property Consultants 共同創設者/CEO
David Leechiu デイビッド・リチュウ さん 

David Leechiu(デイビッド・リチュウ)さん は、フィリピンの商業不動産ブローカーの第一人者です。20年以上にわたり、激動のフィリピン不動 産業界を駆け抜けてきました。100万平方メート ル以上のオフィスリース契約を成立させたり、20 億ドルに相当する不動産を売却するなどの功績を 残しています。彼は、Leechiu Property Consultants の共同創設者およびCEOである とともに、IT & Business Process Association PHILIPPINES(IBPAP)の理事2期目を 現在務めています。入社して間もない頃の話や今 後の不動産市場の見通しなどを伺います。

 

これからフィリピンで起業をしようとする人にアドバイスをお願いします。
私のモットーは、「優秀であることを追求すれば、成功は常にやってくる」というものです。常に、優秀でありたいと思っています。
 これは、フィリピンでは少し欠けている考え方だと思います。全力を出し切るよりも、8割の努力で済ませてしまう人のほうがむしろ多い。成功したいなら、自分がなすこと全てで優秀であることが必要だと私は思います。あなたが優秀なら、お金の方からあなたのところへやってくる。自ら持っている力の5割とか8割の努力しかしないライバルに勝てるからです。

 

 

編集部

 

不動産業界に入ったきっかけは何ですか?

 

David Leechiuさん

 

私は1994年に大学を卒業しました。その当時フィリピン経済は、久しぶりのバブル期を迎えていました。素早くお金儲けをする方法は、株式か不動産でした。不動産の方が継続性があり、リスクが少ないと判断し、不動産業界に入りました。

 

 

編集部

 

ご自身の会社を立ち上げる以前に、別の不動産会社に勤務していたとお聞きました。立上げまではどのような経緯でし たか?

 

David Leechiuさん

 

まず初めにCuervoファミリーの運営する Cuervo Appraisers, Inc. に就職しました。当 時、その会社はCB Richard Ellis (CBRE)と提 携していました。CBREは国際基準を持ち込んで ビジネスを行っていたのに対し、Cuervoファミリーは企業関係なども含め、フィリピン式でビジ ネスを行っていました。私は両者から良いところ を学びました。
 
その後、1998年から2003年までは、不動 産フランチャイズ、サヴィルズ・フィリピンに勤め ました。2001年には、GM(総責任者)となりまし た。この年は、アジア金融危機の真っただ中で大 変でしたね。2003年頃にはジョセフ・エストラ ーダ大統領が大統領任期を残して退陣し、グロリ ア・アロヨ政権が始まっていたのですが、私たち は彼女を告発するつもりでした。ペソが1ドル26 ペソから1ドル50ペソへと暴落。サヴィルズ・フ ィリピンは順調だったにもかかわらず、フィリピン から立ち退きを余儀なくされたのですから。
 
ただ幸いなことに、ザヴィルズは私の業績を認めてくれていました。彼らは去る時、引き続きフィリピン国内でフランチャイズを続けてほしい、と 私に依頼しました。そこで私は義父のFernando Camus 氏とAngela Padilla氏を迎え、 Leechiu Associates をスタートさせました。

私たちは、Leechiu & Associates を国際 スタンダードに成長させました。そして、当社を買 いたいという、3つの国際企業と話をしました。 2008年に、私たちはJones Lang LaSalle (JLL)と提携を結びました。彼らにLeechiu & Associatesを売り、彼らのもとで働くことにな りました。私はJLLフィリピンのマネージャーとな り、2008年から2015年の8年間務めました。 フィリピンで最大級の会社へと育て上げ、私はそ の会社を去りました。その後、Leechiu Property Consultantsを設立しました。

 

 

編集部

 

Leechiu Associatesを始めた当時、 何が課題でしたか?

 

David Leechiuさん

 

当時の不動産業界は、「植民支配的な」手法が 主流でした。つまり、外国人ブローカーがえこひ いきされていました。多くのフィリピン企業がフィ リピン人であるというだけで、真剣には取り合っ てもらえませんでした。外国人ブローカーはフィ リピン市場を知っていようがいまいが、自動的に 有利な立場にありました。それが当時の大きな課 題でしたね。

90年代からつい最近まで外国企業が市場を 占めていましたが、現在は、優秀なフィリピン企業 が数多くあります。外国人ブローカー同様、フィリ ピン人ブローカーも決まりを守り、透明性を高め ることを意識しています。

 

 

編集部

 

現在の不動産業界は、取り巻く環境がどのように変化していますか?

 

David Leechiuさん

 

私が不動産業界に入った頃は、政府や民間企業の借金が莫大でした。資産価値は人工的に膨らみ、それでバブルが起こっていました。それに対して、現在の経済成長は「現実的」です。安定しており、それが17年以上続いています。今後も続くでしょう。それから、安定した経済成長は人々の生活を変えることができます。90年代のブームは5、6年で短い期間でした。ですから、多くの人はこの恩恵を受けませんでした。

 

 

編集部

 

現政権により税制改革が実施されています。不動産市場への影響はどのようにお考えですか?

 

David Leechiuさん

 

今年から現政権が実施したTax Reform Package 1 という新しい税制は貧困者の生活水準を上げるものです。それまでは最低賃金労働者の所得税率は10~20%でしたが、Tax Reform Package 1では収入が2万ペソ以下の場合、非課税になります。これによって、多くの人の生活が変わるでしょう。
一方で、この税制は固定資産税が上がり、不動産業界への影響が懸念されています。しかし、影響を受けるのは、大富豪層のみです。それ以外の人たちにとっては、非常に小さな影響と言えるでしょう。さらに、Tax Reform Package 2では、法人税の引き下げがあり、多くの企業がフィリピン国内に投資するでしょう。フィリピン経済の成長はまだまだ続くとともに、不動産業界も伸びていくと考えています。

 

 

編集部

 

Ortigas & Co. と JP Morganの 取引が貴社を代表する大きな功績です。 大きな功績をあげた、貴社の強みは何 ですか?

 

David Leechiuさん

 

不透明な市場の中、私たちは透明性の高い取 引を提供しています。これが私たちの最大の強み です。私たちはクライアントが見えない部分を明 確に説明します。これによってクライアントは決断 できます。

 

 

編集部

 

大規模な取引を行う際に、心がけることは何ですか?

 

David Leechiuさん

 

仕事に対し、誠実であること。簡単に言えば、「いい加減ではダメ」ということです。私たちは、クライアントに対し、絶対にいい加減なことを言いません。常に誠実であり続けます。これは、私が社会人になり、すぐに学んだことです。

ただ、正直でいい人なだけでは不十分ですね。有能さも必要です。それが市場での評判に繋がり、徐々に関係を築いていきました。多くの友人やクライアントが協力してくれました。それが大規模な取引を可能にしています。

 

 

編集部

 

ターゲットはフィリピン企業ですか?国際企業ですか?

 

David Leechiuさん

 

両方ですね。フィリピン企業はビルを建設しますし、外国企業はそれをリースしますから。

 

 

編集部

 

貴社の大きな取引先はどこになりますか?

 

David Leechiuさん

 

当社は、フィリピン企業と外国企業、どちらも取引があります。フィリピン企業で言えば、SM、Ayala、Robinsons、Filinvest、DoubleDragonなどのコングロマリット(複合企業)です。彼らとは多くの取引があります。外国企業では、主にBPOの企業と取引があります。Citibank、HSBC、Alorica、Convergysなどが取引先です。

 

 

編集部

 

今後の不動産業界はどうなるとお考えですか?

 

David Leechiuさん

 

まず、フィリピン経済が今後も成長する、と確信しています。影響力のあるドゥテルテ大統領のもと、様々な開発が進むでしょう。これはマルコス政権の後では、初めてのことです。今後10年から15年の間に起こると予想されていることは、確定したようなものです。ですから私は、フィリピンおよび不動産業界の将来について、楽観視しています。

 

 

編集部

 

今後の展開は?

 

David Leechiuさん

 

現在、世界最大の不動産コンサルティング会社、CBREと私たちは提携しています。彼らの収益は140億ドルから160億ドルで、ダウ平均株価の構成企業の一つであります。また、昨年行われたLinkedInの“働きたい企業ランキング”では、18位にランクインしました。CBREと提携関係にあることを誇りに思っています。彼らの自信と信頼を、私たちは共有することができます。CBREとの関係を、今後も深めていきたいと思いますし、私たちはこの市場で最大の企業となることを望んでいます。

 

 

編集部

 

20年以上にわたる不動産業界でのキャリアで、成功の秘訣は何ですか?

 

David Leechiuさん

 

成功しているのは、他の人々がそうさせてくれたからです。人々は私たちにチャンスを与えてくれます。そして私たちはそれに対して、一生懸命働きます。私たちの成功があるのは、そのチャンスのおかげです。

 

 

編集部

 

Leechiu Property Consultantsでの1日を教えてください。

 

David Leechiuさん

 

精一杯働き、精一杯実行する。典型的な一日はこんな感じですね(笑)。

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現在経営するAdMov Marketing Solutionsを含めて、これまでに3社のスタートアップを起業したCapiral氏。企業に勤めた経験や経営者としての視点をもとに、新たなテクノロジーを使った広告を考案。広告業界を大きく変えるチャレンジを続ける。
Ernani Omar Cruzさんは医療保険管理システムを運営する「S t a s h 」のCEOだ。国際的なIT企業や金融、航空業界など様々な業界の大企業で働いた経験を生かし「Stash」を創立。
Ryan K. Cruz氏はRamen Yushoken(優勝軒)、Mendokoro Ramenba(麺処ラーメンバー)、Kazunor(i 和徳)というメトロマニラで名高い3つの日本食レストランの経営者だ。
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