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労使交渉に行き詰った場合【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第二三回】

『交渉が行き詰った場合の対処方法』

先月号では労使交渉に臨む姿勢についてお話させていただ いております(前回のフィリピンあらかると に掲載されていますので、見逃された方は是非ご覧ください)。。今回は労使交渉に行き 詰った場合についてお話しいたします。


今月の事例

Q.労働組合とCBA締結に向けての交渉を行っているのですが、一向に話がまとまらず、行き詰ってしまいました。この状況を打開するにはどうしたらよいでしょうか?また、労働組合がストライキをちらつかせている場合にはどうしたらよいですか?

 

 

<当事者のみで合意できない場合>


    CBAの締結に向けて経営陣と労働組合との間で誠実に 交渉が行われているにもかかわらず合意することができない場合、当事者のいずれかまたは双方からの依頼に基づき、もしくは職権で全国斡旋調停委員会(National Conciliation and Meditation Board; NCMB)が交渉に介入する調停手続を行うことができます。NCMBが調停を行う場合、双方に召喚状を送付し、両当事者はこれに応じて 誠実に期日に参加する義務を負うとともに、早期解決を妨 害するような行動を行うことが禁止されます。なお、この調停手続はあくまで両当事者の自発的な合意がなければ決着しませんので、調停手続を経てもなお合意に至らない場合には、依然としてデッドロック状態が継続することとなり ます。もっとも、NCMBはこのような場合には両当事者が任意的に仲裁人の判断を仰ぐよう、促すこととなります。
仮に両当事者が仲裁手続に入ることに同意した場合、両当事者は自らの立場を説明する書面を仲裁人に提出し、これらをもとに仲裁人は判断を下し、この判断が原則的には 最終のものとなり、両当事者を拘束することとなります。

 

<ストライキまたはロックアウトの手続>


   労働協約締結の話し合いがつかず、デッドロック状態に 陥った場合、会社側はロックアウトを、また、労働組合はストライキを行うことが可能となります。※ストライキとロック アウトの手続はほぼ同一であるため、以下ストライキを例 に説明します。ストライキを行うためには、その予定日の30 日前までにNCMBの地方事務所にストライキの通告を行 います。通告の日から予定日までの期間は冷却期間と呼ば れ、その間にNCMBは両者が合意に至るよう、サポートを 行います。両当事者はその間、合意に至るようにNCMBの 斡旋のもとで協議を続ける一方で、ストライキを行うかどう かについて投票を行い、過半数の投票の結果、ストライキを行うこととした場合には、その旨の報告をNCMBに対し て行います。そして、ストライキ実行日までに合意に至るこ とができなかった場合は、ストライキを行うことが可能となります。
もっとも、会社の側としては労働協約の締結に当たって デッドロックが生じた場合にロックアウトに出る必要性があ るとは言えませんので、注意すべきは労働組合がストライキを行うかどうかということになります。しかしながら、正当 なストライキとみなされない場合には不当労働行為に当 たり、その際には労働者は職を失うことにもなりかねません。 また、仮に正当なストライキであったとしても、その間は就 労していない以上、賃金を受け取ることができなくなります。 従いまして、会社としては仮にストライキをちらつかされた としても慌てずに対応すれば足りると思われます。
ちなみに、2015年度にストライキ通告(30日前の通告) は226件なされていますが、実際にストライキがなされた 件数は5件となっています(なお、ストライキの理由については明らかとされておりません)。

結論

A.会社側も労働組合側も誠実に協議を行うことが義務づけられています。先例に照らし、不誠実な交渉態度とされた行動は行わないようにしましょう。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



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フィリピン法律あらかると 前回のコラム

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