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フィリピンでの逮捕【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第三十回】

『フィリピンでの逮捕』

<フィリピンの逮捕>


    フィリピンでも刑事裁判のために逮捕されることがあります。もっとも、日本とはやや違った手続で逮捕されますので、注意が必要です。

1.通常逮捕(令状による逮捕)
日本では、警察が犯罪について捜査を行い、ある程度容疑が固まったところで逮捕状を裁判所に対して請求し、裁判所が記録を検討して逮捕状を発行しますと、警察官が逮捕状をもって被疑者を逮捕し、そこから警察や検察での取調べが行われ、必要に応じて勾留手続きが取られ、犯罪の嫌疑が固まったところで検察官が起訴をするという流れになっていますが、フィリピンではやや異なった手続を踏みます。
フィリピンでは軽微な犯罪(刑期が4年2ヶ月1日を越えない犯罪)の場合はさておき、それ以外の犯罪については予備審問手続(Preliminary Investigation)というものが行われ、そのあとに裁判所が逮捕状を発行するかどうかを決定します。予備審問手続は、犯罪の被害者などが犯罪が行われたことに関する供述書や証拠とともに告発状を検察官宛に提出することから始まります。これを受けて検察官が被疑者に対して告発のあった事実を伝えるとともに、反論がある場合には反論をするように要求します。双方から主張と証拠が提出されたあとに検察官は双方を呼び出しヒアリングを行い、被疑者を刑事事件として立件するために十分な根拠があると判断した場合には、裁判所に対して意見書及び起訴状を提出します。なお、起訴状には検察官が推奨する保釈金の金額も記載されます。裁判官が犯罪の嫌疑があると判断した場合には逮捕状が発行され、これを受けて警察官が被告人を逮捕します。逮捕状に保釈金が設定されている場合には、保釈金を納付することによって保釈されることが可能です。このように、フィリピンでは起訴前に被疑者の身柄を拘束することは原則的にありません。

2.現行犯逮捕(令状なしでの逮捕)
日本でも現行犯の場合には逮捕状の請求前に逮捕されることがありますが、フィリピンでも同様です。フィリピンでは令状なしで逮捕がなされた場合、先ほど触れました軽微な犯罪以外での逮捕のときは、インクエスト(Inquest)と呼ばれる手続きがなされます。これは、逮捕された人の権利が侵害されることのないよう、その者の拘束を続ける正当性があるだけの十分は証拠があるかどうかを検察官が検討する手続きであり、逮捕の起訴となった犯罪の重さにより、逮捕されたときから12時間から36時間以内に検察官は起訴状を裁判所に提出しなければなりません(この時間内に起訴状が提出されなかった場合、検察官は逮捕されている人を釈放しなけばなりません。)。もっとも、被疑者は検察官が起訴状を裁判所に提出する前に、予備審問を行うことを要求することができますし、起訴状が提出されたあとでも、それを知った日から5日以内であれば予備審問を求めることが可能です。

結論

A.現行犯逮捕されることがあるほか、予備審問手続を経てから逮捕状が発行されて逮捕される場合の2種類があります。なお、逮捕状には、保釈が可能な場合には保釈金の金額が記載されます。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。


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