ブログ
食べる
経済ニュース
コラム
求人情報

HOME >  フィリピンのコラム  >  株主総会のリモート開催【フィリピン法律あらかると第七十五回】

株主総会のリモート開催【フィリピン法律あらかると第七十五回】

『株主総会のリモート開催』


今月の事例

Q.現地法人の株主総会を開催する時期になりましたが、リモート開催することは可能ですか?
 
 
<現地法人の株主総会をリモート開催する方法>
改正された会社法は、付属定款において認められている場合には、リモートのコミュニケーション手段を通じて株主総会を開催することを可能としています(改正会社法第49条)。また、付属定款に規定がない場合であっても、取締役会で決議をすることにより、個別的に株主総会をリモート開催することは可能です(2020年SEC覚書回状第6号の第10条)。
 
 
もっとも、付属定款で株主総会についてのリモート開催の規定がない場合、毎回取締役会で決議を行う必要がありますので、今後もリモート開催を行う可能性がある場合、付属定款で規定を設けることが簡便です。 さらに、会社は株主総会をリモート開催するに当たっては、事前に内部手続について定めを行い、その内容について株主に通知を行うことが必要です。具体的には、株主や議決権を行使する者を確認する方法、議事の内容を確認する方法を含み、会議への参加を確保する方法、議決権行使を可能にする方策、議事の内容を文書化する方法および、録画または録音により議事を記録する方法等について、定めておく必要があります。
 
このような内部手続の通知に加え、実際に株主総会をリモート開催するに当たっては、通常の株主総会と同様に、株主に対して招集通知を送ることが必要です。定時株主総会の開催の場合、招集通知は全ての株主に対して電子メールまたはその他付属定款に定める方法により発信される必要があり、付属定款にて別段の定めがない限り、開催予定日の21日前までに行われる必要が あります。
 
特に、株主総会をリモート開催する場合には、招集通知においても、株主がリモート手段により参加できるための条件や手続、議決権行使の方法、株主がリモート手段により参加を希望する場合、その旨の連絡先となる秘書役またはその他会社の担当者の連絡先等について連絡する必要があります。このような株主総会のリモート開催の招集通知を受け、リモート手段により参加を希望する株主は、その旨を招集通知に定められた方法により議長および秘書役にあらかじめ伝える必要があります。
 
 
<リモート開催の株主総会の進行>
株主総会をリモート開催する場合、その株主総会は録画または録音されることが必要であり、秘書役はいずれかの方法による記録を行う義務があります。また、株主総会の開始にあたり、全ての出席者は(1)フルネームと役職、(2)参加している場所と使用しているデバイス(スマートフォンか、PCか等)、(3)議事の内容が明瞭に確認できているか、(4)招集通知を受け取ったかにつき表明することが求められ、この手続が終わることで初めて定足数を満たしたかどうかが確定します。なお、本稿では触れていませんが、取締役会もリモート開催が可能です。
 
 

結論

A.付属定款に規定があるか、ない場合も取締役会で決議することにより、可能です。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco
住所: Don Pablo Building 114 Amorsolo Street, 12290Makati City, MetroManila, Philippines
電話:02-8892-3011(代表)・02-8892-3020(日本語対応)・0917-851-2987
E-mail: [email protected]


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
(桃尾・松尾・難波法律事務所)
〒102-0083
東京都千代田区麹町4丁目1番地
麹町ダイヤモンドビル
電話:+81-3-3288-2080
FAX:+81-3-3288-2081
E-mail: [email protected]
E-mail: [email protected]
URL: http://www.mmn-law.gr.jp/

広告

フィリピン法律あらかると 前回のコラム

フィリピンの法律の専門知識を解説する「フィリピン法律あらかると」のコーナー。今回はフィリピンでの刑事告訴について、当て逃げ事件をベースにご紹介します。

新着コラム

フランチャイズ契約はフィリピンにおいては技術移転契約の一類型として分類されており、これに対する規制は知的財産法(共和国法第8293号)でなされていましたが、2022年5月12日に公布された大統領令第169号(中小企業の保護のためのフランチャイズ産業強化に関する大統領令)による規制も受けることとなりました。
『フィリピンの倒産法制』 今月の事例 Q.フィリピン法人の倒産に関する法律はどのようになっていますか?     フィリピンにおいて倒産について定めている法律は2...続きを読む
PEZA登録していないフィリピン子会社の社長が交代するにあたり、新たにビザ等を取得する必要があると思いますが、どのような手続が必要ですか?
事業の選択と集中の一環で、工場の閉鎖を検討しており、工場労働者の整理解雇も併せて行う予定です。その際、退職金を支給する必要はありますか
私は日本人父とフィリピン人母の子で、日本国籍のみを持っており、他に妹がいます。父は既に他界しており、このたび日本に住んでいる母が亡くなりました。母はフィリピンに不動産を持っていますが、どのような手続が必要ですか?
フィリピン不動産賃貸ポータルサイト  |   フィリピン求人 ジョブプライマー  |   BERENTA:Find the condo that suite you