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フィリピンの公証について【フィリピン法律あらかると第九十六回】

『フィリピンの公証について』


今月の事例

Q.フィリピンで契約書を締結するときに公証を受けるのはどうしてですか?
 
日本では契約を締結する際などに公証人により契約書に公証を受けることは一般的ではありませんが、フィリピンでは公証を受けることが一般的であると言えます。それでは、なぜフィリピンでは公証を受けることが多いのか、フィリピンの公証制度と併せて解説します。
 
 
<フィリピンの公証制度>
日本では、裁判官や検察官などが退職後に公証人となり、公証役場に所属することが一般的ですが、フィリピンでは、公証人の登録をした弁護士が公証業務を行うことができ、法律事務所において公証業務も併せて取り扱うことが一般的です。公証人の主な職務としては、書類や署名の真正性を認証することが挙げられます。公証人は、公証業務の対象となった文書についてはすべて帳簿に記録し、原本を保管する義務があり、1ヶ月ごとにその月に行った公証業務の内容及び公証した文書の写しを裁判所に提出することが求められています。
 
 
<公証が必要な書類>
書類を作成した場合、公証が求められることがフィリピンでは一般的ですが、法律上、公証を受けることが義務化されている場合は限られており、一例としますと、不動産を対象とする権利の設定、譲渡、修正又は消滅や不動産の譲渡に関連する契約等については公証人による公証を受けなければならないこととされています(民法1358条など)。上記以外の文書であったとしても、例えば官公庁に対する申請等を行う場合に書類を添付するときには、その書類には公証が付されていることを求められますので、やはり、公証を受けることが事実上強制されていると言えます。
 
 
<公証を受ける意味>
文書が公証を受けた場合、その文書は公的文書(public document)として取り扱われ、逆に公証を受けていない書類は私的文書(private document)として取り扱われます。私的文書は裁判が生じた場合に異なる取り扱いを受けることとなります。具体的には、私的文書を証拠として提出する場合、その文書が適式に締結された神聖な文書であることを証明することが必要であり、そのためには、その文書が署名又は作成されたことを目撃した者の証言や文書上の署名が本物であることをその他の証拠により証明することが必要となります。他方、公証を受けた文書は、その書類の真正性のみならず、その書面に記載されている内容についても真正であることが推定されます。そもそも契約書などは後々の紛争を防ぐために作成されるものですので、裁判において証拠として使用しやすくするために、フィリピンでは契約書に公証を受けることが実務上求められるということになります。
 
 

結論

A.争いが生じた場合、公証を受けた契約書はその真正性が推定されるためです。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



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