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コロナについて専門家に聞いてみました ~ジャパニーズヘルプデスク専門医インタビュー~

診療中のモディーナ先生

 

フィリピンでコロナになったらどうなるんだろう。治療は受けられるの?検査は?ワクチンは摂取するべき?多くの人が抱える疑問を、大病院の緊急外来で数多くのコロナ患者に接してきた、ジャパニーズヘルプデスククリニックの専属医師・モディーナ先生に聞いてみました!(2021年2月22日取材)

 

 

 

 

 

Q1. フロントライナーとして、コロナ禍の危機をどう乗り越えてきましたか?

コロナ禍の初期は多くの同僚が亡くなりました。特にPhilippine Heart Centerで働く同僚たちです。これを見て、私たちはフロントライナーとして命を落とすかもしれないという思いで士気が低下しました。それぞれの病院に所属する多くの看護師や医師はトラウマに苦しみ、仕事を辞めました。私自身も、喘息などコロナになりやすい病気を患っているためストレスを感じていました。N95マスクを一日8~12時間つけっぱなしにしていますが、これが喘息を起こす要因となるため、大変な思いをしています。そして、これだけ用心深く行動をしていても、仲間の多くが感染してしまいます。昨年(2020年)は家族に感染することを恐れて、何か月も家に帰るのを拒む看護師や医師もいました。私自身は家族が支えてくれたおかげで耐えることができました。定期的に休暇を取るようにもしています。おかげで、今は少しよくなってきたと感じています。

 

 

 

Q2. 新型コロナウイルスはどんな病気ですか?また、症状は?

新型コロナウイルスはインフルエンザによく似た病気です。最初は呼吸器疾患として現れます。卒中や心臓発作を起こした多くの患者さんが新型コロナウイルスに感染していました。呼吸困難、咳、風邪、のどの痛み、わずかな発熱、体の衰弱、まれに下痢、嘔吐、または嗅覚の喪失を患っている人は、すでに新型コロナウイルスの疑いがあります。風邪やインフルエンザに似た症状が出た場合、そうでないことが証明されるまでは新型コロナウイルスだと判断されます。パンデミック中は、救急治療室では「誰もが新型コロナウイルスを持っていると疑わなければならない」というルールがあります。デング熱の症状である発疹として現れることさえあるため、デング熱が新型コロナウイルス検査を陽性にすることもあります。ですから、それが新型コロナウイルスなのかデング熱なのか判断できない場合もあるのです。他にも脳卒中、心臓発作など、多くの病状を模倣することもできます。

 

 

 

Q3. 軽症、中程度、重篤の症状の違いは?

軽症の場合は、咳、風邪、熱などの軽い症状を伴いますが、呼吸困難はなく、レントゲンに肺炎の症例は現れません。中程度になると、軽症の同様の症状に加え、レントゲンに肺炎の症例が現れ、この場合は入院する必要があります。ただし、60歳以上の方や、基礎疾患、または肥満の方が新型コロナウイルスに感染すると、重篤になる可能性が高い。重篤患者は血液レベルが非常に低いため、入院が強制されます。

新型コロナウイルス患者の容態を監視する際には、7~10日目が最も重要な時期となり、この期間中に状態が悪化してしまった場合は最悪のカテゴリである重篤なケースに分類されます。健康な方の新型コロナウイルス死亡率は1%未満、60歳以上の方は10%、そして全体的な死亡率は2%未満。重篤であり、かつ人工呼吸器を使用している場合、死亡率は40%にも上ります。

 

 

 

Q4. フィリピンの新型コロナウイルス罹患者はどんな治療を受けていますか?

軽度の場合、自宅に自室と自分だけが利用できるトイレさえあれば自宅療養ができます。中等度であれば入院が必要となり、状態を監視するために多くの検査を受けることになります。新型コロナウイルスの医療費が高額になってくるのは、これらの検査のためなのです。重度である場合は集中治療室(ICU)に入れられ、厳重に監視されます。新型コロナウイルスの治療法はまだ発見されていないため、症状を和らげる薬の投与くらいしかできません。

 

 

 

Q5. フィリピンでは新型コロナウイルスの検査にはどんなものがありますか?

最も一般的な検査方法は、RT-PCR検査と呼ばれます。鼻孔と喉を綿棒で拭い、ウイルスをコピーするマシンに拭い液(スワブ)をサンプルとして投与し、30、40サイクルと増幅していきます。サンプルが30サイクルの増幅を超えても検出されなかった場合、患者が感染していないことを意味します。30サイクル以下で検出できれば感染していることになります。

次は抗原検査です。サンプルを鼻孔から採取する検査法で、多くの方に利用されていますが、実は医療ガイドラインに掲載されていない検査方法で、医師は皆使っていません。 新型コロナウイルスの検査法として世界中で唯一使用されているのはRT-PCR検査です。抗原検査は有望ですが、ウイルスを増幅しません。したがって、RT-PCR検査ほどの精度はなく、症状が軽い、または見られない患者さんであれば効果は期待できません。明らかに感染している人、または他に選択肢がない場合にのみ理想的です。我々のガイドラインによると、抗原検査の結果が陰性であっても、新型コロナウイルスの症状が見られる場合は、更にRT-PCRテストを受ける必要があります。

最後に紹介するのは迅速抗体検査ですが、多くの医師はこの検査法をあまりお勧めしていません。というのは、ウイルス自体ではなく体が作る抗体を検出する検査だからです。たとえば新型コロナウイルスに感染している場合、感染の2〜3週間後にようやく抗体が作られるので、最初のうちは検出されません。このため、信頼性の低い検査とされているわけです。

咳、風邪、のどの痛みなどの症状が現れた場合、まずは医者に相談して14日間の自宅隔離の許可をもらってください。期間後、症状が見られなくなり、医者にも問題なしと診断されれば仕事に戻っても大丈夫です。

 

 

 

Q6. 感染したと思ったら?

まず、自宅から出ないでください。自室がある場合はそこにとどまり、外出しないでください。そしてアプリなどを使用して医師との遠隔相談をスケジュールします。しかし、本当に気分が悪い、または体が弱い場合は、すぐに救急外来に行ってください。ちなみに、新型コロナウイルスの症状がみられる場合は診療所へ行くことを禁止されています。医者に相談していくつかの検査を受けた後は、家にいて、たくさんの水を飲み、たくさんの日光が当たるようにしてください。新鮮な空気が必要なため、部屋は十分に換気するようにします。咳や風邪の予防に最適なビタミンDも摂取してください。ビタミンDの摂取で上部呼吸道感染症になる確率が20%低下することが研究で明らかにされています。また、体と肺が強いと新型コロナウイルスの死亡率が大幅に低下することが研究で明らかにされているので、運動もおすすめします。肺が健康であれば、例え感染したとしても乗り切ることができます。健康的なライフスタイルを持つことはこれまで以上に重要になってくるわけです。

 

 

 

Q7. フィリピンでは様々なワクチンが供給されていますが、お勧めのメーカーは?

ModernaPhizer製のワクチンは有効率が95%と高く、最も効果があると思っています。Astra-Zenecaの場合、重度の感染であれば85%、中程度であれば60%の確率で予防します。Johnson & Johnsonの場合、重度の感染であれば85%、中程度はAstra-Zenecaと同様に60%です。一方で、重度の感染であればSinovacの有効率は65%、軽症であれば91%だと言われています(医療従事者を対象としたデータによると、軽症に対し50.4%、中程度に対し78%、重度に対し100%)。Novavaxも良いのですが、安全性を確認する検査はまだ終わっていません。個人的には、Moderna、Pfizer、Johnson & Johnson、Astra-Zenecaをお勧めします。特にModernaとPfizerはワクチンの安全性と有効性に関しては定評があります。これから使用する方に副作用が現れる可能性もあります。現在のところ、死亡者がまだ出ていないのが幸いといったところでしょうか。

(ワクチンに関するデータは常時更新されているため、接種前は必ず医者に相談してください。Astra Zenecaは南米亜種に対する効果はないという研究もあります。それぞれのワクチンのメリット・デメリットを医者と相談した上で決めてください。フィリピン保健省認可のワクチンであれば問題はありません。)

 

 

 

Q8. 感染を防ぐにはどんな方法をお勧めしますか?

最近は英国、ブラジル、南米亜種も出現し、外出を恐れている方もいると思いますが、どうしても外出される場合はエアコンの効いた施設やレストラン内での食事はお勧めしません。エアコンが部屋中に汚染された空気を循環させるからです。空気感染はこうして起こります。レストラン、教会、映画館などの室内は空気清浄機でも設置されていない限りは入るのを避けてください。どうしても外食をしたい場合は、他人から離れたオープンスペースで食事をとるようにしてください。

 

第二にマスクですが、使用しているマスクが有効なものであるかを確認する必要があります。マスクと顔の間に隙間があるものは役に立ちません。綿100%の2層マスクはウイルスのろ過率が50〜60%ですが、顔にきちんとフィットしていれば問題はありません。個人的には韓国のKF94マスクを着用しています。医者が使うN95マスクのようなものですが、とても快適です。顔にフィットして隙間がない限り、医療用のサージカルマスクを使用することもできます。もし隙間があるようでしたら、紐をきつくしてみてください。きちんとフィットするマスクは、ろ過率の高いマスクよりも予防に役立ちます。洗濯可能な布マスクもフィットしていれば十分使えます。

 

第三にマスクの他にフェイスシールドも必ず使用してください。誰かがそばで咳をした場合などに飛沫を防ぐ役割をします。ただし、シールドを使用する際でも、感染を防ぐにはマスクもきちんと着用する必要があります。 

 

第四に、体を大切にしてください。毎日欠かさずマルチビタミンとたくさんの水を飲むようにしてください。また、運動によって肺を強化することも効果的です。

 

第五に、インフルエンザのワクチンも接種してください。新型コロナウイルスの予防にはなりませんが、万が一感染した場合、合併症に対抗するのに役立ちます。

 

そして、最も重要なことは、常に周りの人々が感染していると想定することです。家族と一緒に過ごす際も警戒を怠らないでください。意外に聞こえるかもしれませんが、多くのフロントライナーは病院ではなく家族から感染しているのです。

 

 

 

Q9. クロロキンがコロナ治療に効果があると話題になりましたが、実際はどうなのでしょうか?

昨年はトランプ前米大統領をはじめ多くの人が新型コロナウイルスに対するクロロキンの有効性について説いていました。医学界でもクロロキンを用いて多くの研究や実験などが行われましたが、良い結果は出ませんでした。結局効果はなかったと、今は我々のガイドラインからも外されました。未だにクロロキンを使用している方がいれば、心臓の問題や色覚異常の原因となるため、即座に使用をやめてください。クロロキンは抗マラリア薬としてのみ使用されており、新型コロナウイルスに対し効果のあるものではないということを強調したいです。コロナの治療に向けて、我々は今懸命に取り組んでいます。

 

 

 

 

 

 

Dr. Kathleen Ann Modina  キャスリン・アン・モディーナ先生

日本人の父と、フィリピン人の母を持つモディーナ先生。大病院の緊急外来で4年間勤務。その後、BLS、ACLSなど高度救急救命の資格を取得。フィリピンでは貴重な日本語で受診ができる医師。緊急外来では前線に立ち、多くのコロナ患者と接してきた。

 

 

ジャパニーズヘルプデスク公式サイト:トップページ | JapaneseHelpDesk (j-helpdesk.jp)

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