2022年1月11日
貿易産業省(DTI)付属機関である投資委員会(BOI)は、フィリピンの有力製薬企業ロイド ラボラトリーズ(ロイド社)による、米国製薬大手メルクが開発した新型コロナウイルス感染症の経口薬(飲み薬)モルヌピラビルの現地生産に関する投資優遇措置申請を承認した。
フィリピン食品医薬品局(FDA)は、2021年12月23日、モルヌピラビルの18歳以上の成人に対する緊急使用許可(EUA)を発出した。モルヌピラビルは、抗インフルエンザ薬として開発された経口活性を有する抗ウイルス薬であり、ウイルスのRNA複製時に複製エラーを生じさせることで抗ウイルス作用を発揮する。
ロイド社は、2021年12月22日、FDAに対し、モルヌピラビルの現地製造製品登録証明書の発行を申請した。そして、メルクの提携先であるインドのオプティマス ファーマからモルヌピラビル製造に関する技術移転を受けるとのことである。
ロイド社は2008年にISO9001を取得し、医薬品適正製造基準(cGMP)を満たす製造施設(所在地:ブラカン州マロロス市、ファースト ブラカン インダストリーシティー)で、先駆的に高品質な医薬品の製造に取り組んでおり、モルヌピラビルの製造準備も進めている。
これらの動きに関して、貿易産業省(DTI)のラモン・ロペス大臣は、「フィリピン医薬品企業がモルヌピラビルの現地生産を計画している。モルヌピラビルが当地で生産される場合は、ジェネリック(後発薬)医薬品のようになるため、手頃な価格で供給されることになろう。現地生産が実現すれば、国民にとって大きな朗報になる」と歓迎した。
実際、現地生産されるモルヌピラビルの希望小売価格は1錠当り65ペソ程度となり、同100ペソ~150ペソの輸入品に比べ非常に割安となるとのことである。
なお、ロイド社は、2018年1月に、ジェネリック薬メーカーの世界トップ10を目指す日医工(本社:富山県富山市)と業務提携の覚書を締結している。