フィリピンの金属加工企業紹介
フィリピンの金属業界では、近年、金属加工技術の向上や、高付加価値製品の製造に注力し、グローバル市場での競争力を高める取り組みが進められています。板金加工、金型制作、表面処理、曲げ加工や溶接加工など、フィリピンの金属関連企業を紹介します。
千石フィリピン/Sengoku Philippines, Inc.
2015年にフィリピン進出。日本本社操業70年のノウハウで、板金塗装/樹脂塗装/プレス/スポット溶接/組立のご要望にお応えいたします。
ENOMOTO PHILIPPINE MANUFACTURING, INC.(EPMI)
エノモトフィリピンマニュファクチャリング
コネクタ用部品およびパワー半導体用リードフレームのプレス加工/めっき加工/インサート成形/プレス金型製作/金型パーツ加工・販売をしております。
HYS Metal Plastic and Electronics (Philippines), Inc.
エイチワイエス メタルプラスティックアンドエレクトロニクス
HYSは2004年に設立され、金属プレスの金型やプレス加工、板金加工を手がける専門会社です。10年以上にわたって、中国や日本、アメリカ、韓国などの有名メーカーに製品を提供して...
ISHIDA PHILIPPINES GRATING CO.,INC.
イシダフィリピングレーチング
各種ステンレス、アルミ製品加工や販売、樹脂成形品製造や販売、各種グレーチング製造や販売を手がけ、信頼ある技術で皆様のご要望にお応えします
PHILIPPINE NISHIYAMA PIPE MFG. INC.
フィリピンニシヤマパイプマニュファクチュアリング
優れた寸法精度により高精密引抜鋼管をフィリピン工場でも実現。熱処理も日本と同様に無酸化焼鈍炉を使用しているため、 ピッティングも無く肌質の良い製品に仕上がります。
SAMPO MOLDING AND ASSEMBLY INDUSTRY CORP
サンポモルディングアンドアセンブリインダストリ
フィリピンへは2001年に進出。精密部品から大型パネルまで、幅広い製品に対応しております。
金型製作から一貫した受注が可能ですので、ワンストップにて高品質な製品の...
Parts Seiko Philippines, Inc.(PSPI)
パーツ精工フィリピン
光学産業、医療機器産業、FAロボット産業や航空産業の部品を製造。切削加工技術力、徹底した検査力、そして高性能マシニングセンター、NC旋盤、三次元測定器を中心に、高性能機器の所...
CASTEM Philippines Corporation
キャステムフィリピンコーポレーション
薄肉形状や複雑形状、異形内部構造を得意とし、他製法に比べ自由な設計が可能。
鉄、ステンレス、アルミ、銅合金など、幅広い材質の中から選...
T&S GLOBAL SOLUTIONS INC.
ティーアンドエスグローバルソリューションズ
お客様のご要望を短納期に形にするために、曲げ加工や溶接加工、その他板金加工全般を一貫して自社の工場で実施。増設した3台のレーザー加工機により量産体制も可能です。
ARKTECH PHILIPPINES INC.
アークテックフィリピン
弊社はお客様のラインに合わせ、設計から試作、運用テスト、改良、量産対応までを短納期でお客様のご要望に合わせた「完全オーダーメイド」で対応し、お客様の要望を実現いたします。
これでわかる!フィリピンの金属業界
今回のビジネス特集はフィリピンの製造業 ・金属加工について取り上げます。実際にフィリピン国内で活躍している日系金属加工企業に金属加工業の現状や、フィリピンでの事業展開の展望などをお伺いしました。
フィリピンの製造業は経済の成長において重要な役割を果たしており、その中でも金属加工業は重要な分野の一つです。フィリピンは、ASEAN地域の中で戦略的な位置にあり、安価な労働力を背景に製造業が発展しています。
フィリピンの製造業における金属加工業の割合
フィリピンの製造業全体における金属加工業の割合は、約10%~15%を占めているとされています(統計により異なる)。この分野は、鉄鋼製品、アルミ製品、精密部品などの加工が含まれ、建設、インフラ、自動車、電機・電子機器といった産業と密接に関連しています。特に、近年のインフラ整備や自動車産業の拡大に伴い、金属加工業の需要は着実に伸びています。
フィリピンの金属加工業の市場規模
フィリピンの金属加工業の市場規模は、2023年時点で約10億米ドル規模に達しているとされています。この市場は今後も拡大が予測されており、年平均成長率(CAGR)は約5%と見込まれています。インフラプロジェクトの増加や輸出向けの精密部品製造の拡大が市場成長を支える要因となっています。
フィリピンの金属加工業の特徴と変遷
フィリピンの金属加工業は、主に中小企業によって支えられており、国内市場に向けた製品が中心です。過去数十年にわたり、フィリピンの金属加工業は手工業的な要素が強いものでしたが、近年では技術革新や自動化が進んでおり、精密加工や高品質な製品の製造が可能となってきました。また、政府の支援により、輸出向けの高付加価値製品の生産能力も向上しています。
フィリピンの金属加工業の製品分類と割合
フィリピンの金属加工業は多様な製品を取り扱っており、主な分類として以下のものが挙げられます。鉄鋼製品(建設資材やインフラ向けに需要が高い)、アルミ製品(自動車や航空機部品としての利用が拡大)、精密部品(電子機器や家電向けの小型部品の生産が増加している)、鍛造・鋳造製品( 重工業や機械産業向けが多い)、などがあり、このうち、鉄鋼製品と精密部品が大部分を占めており、それぞれ市場全体の40%と30%を占めているとされています。
フィリピンの金属加工業の課題と政府の対策
フィリピンの金属加工業は成長しているものの、いくつかの課題にも直面しています。まず、技術力の不足や自動化の遅れ、熟練労働者の不足が挙げられます。また、輸入資材への依存度が高いため、価格変動の影響を受けやすい状況にあります。これに対して、フィリピン政府は技術訓練プログラムで労働者のスキル向上を目指し、技術訓練の拡充を進めたり、インセンティブ制度を導入し金属加工業への投資促進のため、税制優遇措置や補助金を提供、またインフラ整備の強化: 運輸や物流の改善により、製品の輸出入コストの削減を図っています。
AI導入の背景は?
フィリピンの金属加工業におけるAI導入が進んでいる背景には、以下の要因があります。
人件費の上昇:フィリピンでは、近年、人件費が上昇しており、企業はコスト削減を目指して自動化を進めています。AI導入によって、労働集約型の工程が効率化され、コスト削減が可能になります
人材不足:金属加工業においては、特定のスキルを持った熟練労働者の不足が課題となっています。AIを活用することで、業務の自動化と効率化が進み、人材不足の影響を緩和できると期待されています。
政府の支援: フィリピン政府は、製造業のデジタル化と自動化を促進するための政策を推進しており、AI導入を積極的に支援しています。特に、経済特区でのAI関連技術の導入には税制優遇措置が適用されることもあり、企業がAIを導入しやすい環境が整いつつあります。
フィリピンの金属加工業で徐々に進むAI導入
フィリピンの金属加工業で、どのような分野でAI化進んでいるのか調べてみました。
品質管理:AIによる画像認識技術を活用し、製品の不良品検出や品質管理の自動化が進められています。金属加工における精度の高い検査がAIで自動化されることで、人的エラーが減少し、製品の信頼性が向上します。
生産管理:AIを活用した生産計画の最適化や在庫管理の効率化が進められています。さらに、設備の予知保全にAIを利用し、機械の故障を未然に防ぐことによって、ダウンタイムを最小限に抑える取り組みも進んでいます。
サプライチェーン管理:金属加工業では、AIによる需要予測や物流の最適化が進められており、サプライチェーンの効率化が図られています。AIを活用することで、材料の適切供給と効率的な配送が可能になります。
今後の展望
フィリピンの金属加工業におけるAI活用は、今後ますます加速すると予想されます。現在は大手企業を中心にAI導入が進んでいますが、今後は中小企業にもAIソリューションが広がると期待されています。フィリピン国内でのAI関連人材の育成が進むことで、AIを活用したプロジェクトが増え、技術導入が加速します。政府や大学が主導する教育プログラムにより、AIエンジニアの供給が増加し、企業がより高度な技術を導入しやすくなるでしょう。さらにGの普及により、AI技術を支える大容量データの迅速な転送が可能となり、リアルタイムのデータ分析や自動化の幅が広がり、AIを使った生産ラインの最適化や設備の予知保全がさらに進化します。
フィリピンの金属加工業におけるAI活用は、まだ発展途上ですが、AI技術を導入することで、生産性向上やコスト削減、サプライチェーンの効率化といったさまざまなメリットが期待され、金属加工業全体の競争力が一層強化されると考えられます。
20234年10月号(vol.198)、11月号(vol.199)より
モノづくりの原点を大切に パーフェクトプラントを目指す
フィリピンに進出した石田フィリピングレーチング。屋外の排水溝等に使われる格子状の蓋・グレーチングで高い独自の技術を持つ石田鉄工(本社・三重県)のフィリピン現地法人として30年の歴史を誇る。社長の川村卓也氏にフィリピンで操業する金属加工メーカーとしての現状と課題、今後の展望などを伺った。
Q. フィリピンに進出した背景は?
弊社は丸紅さんが開発に関わっ たFCI(First Cavite Industrial Estate) の募集に参画し、日系工場第1号として創業を開始しました。鉄という硬いモノだけを扱って行こうという創業者の石田社長の信念のもと、主に家具用鉄パイプの製造をする石田フィリピンチューブ、他にKOHWA PHILIPPINES(精密プレス加工品製造)の3社石田鉄工株式会社の子会社として創業してきました。
Q. フィリピンの金属加工業の現状は?
課税や為替の変動、運送費の高騰、競合国との競争など、取り巻く環境は厳しい状況ですね。そしてそもそも、フィリピンは鉄資源を算出しておらず、金属加工を行うためには鉄を輸入する必要があります。PEZA企業である弊社でも工場で使用する原材料の95%は日本からJIS規格の原材料を仕入れています。フィリピンの国内企業からも調達はできるのですが、フィリピンは米国規格で、規格が異なり、クライアントである日本企業には受け入れられないことも多いです。また、その他にも不良品の混在などの品質管理、納期の遅れなど、海外では日本のスタンダードが通用しないことは頻繁に起こります。しかし、スタンダードに合わないからダメということではなく、それを見込んだ上で、歩み寄ることも、今後の日本企業に重要な点ではないかと感じています。
さらに、製造業分野では今労働力の確保が課題になっています。いぜんであれば10名の募集があれば100名の応募があった企業でも、現在は一人も応募して来ないということもあります。現在のフィリピンでは海外への労働力の流出に加えて製造業ではいわゆる3Kにあたる業務を嫌う傾向が、特に若い層にあるようです。
Q. 人材育成面での取組は?
私は、人事にあたるローカルスタッフがキーだと考えています。そのスタッフがいかに、工場の従業員と同じ目線でコミュニケーションが取れるかですね。
その実現のために、私は事務員含む全ての従業員に作業服を支給し、まず全員が工場内を掃除することから取り組みました。また、従業員の備品等の調達も、事務スタッフが自ら工場に出向いて聞いてくるように指示しました。最初は不満も多かったようですが、いまでは事務スタッフが当たり前のように工場に出入りするようになりました。工場で手が足りなければ、ほかの社員も手伝います。弊社はベネフィットの面で社員のメリットが高いことも功を総じて従業員の定着率は高いですが、全員が同じ目線で取り組むことで、より仕事に対する意欲が生まれ、モノづくり本来の楽しさや喜びを味わうことができてきたようです。それが製造業の原点だと考えています。
Q. 今後の抱負は?
パーフェクトプラントを目指します。誰が欠けても正常に稼働できる工場ですね。
また、フィリピンは現在、下水道の整備がはじまった段階で弊社のグレーチングは公共施設や新しいモールなど、用途が限られていますが、今後の発展に合わせて需要も拡大するでしょうし、また系列会社の家具用パイプなど国内オフィスの増加や輸出によって需要拡大を図ることができるでしょう。取り巻く環境は厳しい中ですが、社員が一丸となって、フィリピンでのモノづくりに貢献できたらと考えています。
ISHIDA PHILIPPINES GRATING Co., INC (石田フィリピングレーチング)
President 川村 卓也氏
石田フィリピングレーチングは、石田鉄工株式会社グレーチングメーカーの子会社で、1992年から操業を開始いたしました。フィリピン国内では、製缶品の設計製造もしており、タンク/歩廊/手摺/クレーン設備など設計製造・取り付けまでを一貫して取り扱っております。材料の信憑性確保とアフターケアを重視し業務を進めております。ぜひお問い合わせください。
石田フィリピングレーチングの詳細はこちら。
(写真は、川村卓也さん(右から2番目)。石田鉄工株式会社・石田昭三代表取締役社長(左から3番め)。専務取締役石田真弓さん(右から3番め)。石田鉄工株式会社、ISHIDA PHILIPPINES GRATING CO.,INC.の皆さんとともに。)
技術力と信頼関係、そして+αのサービス提供が今後の成長のカギ!
2011年にフィリピンで創業、金属精密切削加工の分野ではトップクラスの工作機械を有し、さらに今年50台を追加したパーツ精工フ ィリピン。 創業当時とは大きく変わる環境下でも、 常に邁進する同社の望月社長に、 今の製造業の状況、 そして今後どのような姿勢がフ ィリピンビジネスに期待されるかなどを伺った。
Q. 現在の景況感は?
コロナ禍を抜けつ つある今、 国境を超えた移動が楽になり、日本からフィリピンへの出張者も増えてきました。 弊社でもこれまで止まっ ていた案件が動いたり、 新規案件の相談が増えつ つあり、 フィリピンでのビジネスが活発になりつつあると感じています 。
また、 弊社の主力製品の半導体関連製品を例にとると、 世界的な半導体市場は需要の周期があり設備投資のあと1〜2年の製品需要が続きそのあとは、 半年くらい需要が停止、 そのあとまた大きくのびるという浮き沈みを繰り返しており、 現在は半導体の製造は下降期に、 そして設備投資は上昇期入 っ ています 。 弊社の場合、 半導体製造装置の部品を製造していますので受注が増加しています 。
今年の売上推移は、弊社の場合当初は、チャイナロックダウンや電子部品の不足の影響もありダウンしましたが、 5月、6月になって昨年並みに回復、 ここに来て徐々に上昇傾向になっています。
Q. 世界情勢の影響は ?
コロナ禍でのチャイナロックダウン によりシッピングが停止し、 部品が入らなくったことで、一端生産がストップした顧客があり弊社の製品納入も止まったことはありました。他の製造業メーカーさんでも同様の状況だったのですが、ここに来てようやく動き始めていると聞いています 。
直近の大きな課題は、ロシアのウクライナへの侵攻の影響もあり、 電気代が高騰していることです 。 実際、弊社のあるロザリオ工業団地では昨年の1月時点の3倍にな っ ており、頭が痛いところです。石油輸出国機構 (ОPEC) とロシアなど非加盟産油国で構成されるОPECプラスの閣僚会議で11月から石油を減産するとの話も聞きますので、 予断を許さない状況です。 物流コストも昨年比10〜20%は値上がりしており、エアライン輸送を海上輸送に変えたり、 島内の移動もなるべ く合理的にできるように試行錯誤して対応しています 。
Q. フィリピンで業務展開するメリットは?
エネルギー代の高騰に加え、フィリピンでは今年、最低賃金が引き上げられ、今後上昇傾向にあります。人件費が安いというメリットは徐々に失っていくでしょう。またVATの問題、円安の影響も懸念されます。さらに中国系、韓国系などの外国製造業メーカーとの競争もあります。 今までと同じことをやっていては、企業運営は難しいと感じています 。
その半面、フィリピンには豊富な労働力があります。東南アジアとの貿易協定をうまく利用して人手が必要なところをフィリピンで製造するなど、 HUB的に利用し、 その地の利を活かした明確な計画方針をもってビジネスを展開すれば、フィリピンは大きな力にな っ てくれるでし ょ う。
日系企業は終身雇用の伝統があり、 働いている人の安心感と教育制度によるスキルアップが、 フィリピンの労働者にとっては魅力だと聞きます。弊社でも日本での研修などは引き続き行っ ていきます 。 ただ、 後のミスマッチをなくすために、 どの職種のどの採用なのかを明確にした上での雇用が重要だとだと感じています。
Q. 今後の展望をお話ください
厳しい環境下ではありますが、その半面、フィリピンでの操業年数を重ねることでお客様の近いところで即座に対応できる関係性が出来たことが弊社の財産です 。 弊社では今年になって50台近くの製造機器を導入しました。 これは成長するフィリピンのワイヤーハーネス産業の受注に対応するものです。フィリピンはこの分野で世界的に大きなシェアをもっており、今後も国として力を入れていく分野の 一 つですが、 このワイヤーハーネスに使う金属部品の受注に対応できる体制が整いました。 これまでは多品種小ロットの、 いわばニッチな市場を狙って展開を行ってきたのですが、お客様の希望があれば大量生産にも対応できる体制が整いました。 今後もお客様のニーズに応じて、 弊社でなくては生産できない製品を作りだし、 さらに+αのサービスを行うことで、成長し続ける企業であるよう邁進して参ります。
Parts Seiko Philippines,Inc. (パーツ精工フィリピン)
社長 望月 資朗氏
マシン台数は350台超え!圧倒的キャパシティと安心の日本品質で対応します。
各種機械加工部品の製造、及び、アルマイト(白/黒)処理事業
当社は2011年12月にフィリピン(Cavite EPZA)に工場を構え、2021年には今後10年、20年と皆さまのご支援を受け共に飛躍していきたい思いを込め社名を“Parts Seiko Philippines,Inc.(PSP)”と変更しました。フィリピンではトップクラス350台以上のマシン台数を所持し、圧倒的なキャパシティが強みの一つです。多品種少量生産もまた強みであり、表面処理からアッセンブリーまで一貫生産体制で完成品対応致します。3次元測定器など高性能な測定器で安心の日本品質をお届け致します。日本人スタッフも5名おります。技術面、品質面など些細なこと何でもご相談ください。
パーツ精工フィリピンの詳細はこちら。