フィリピンの樹脂加工企業紹介
フィリピンの樹脂加工業界では、建築材料、電子部品、医療用品、自動車部品など、プラスチックや樹脂を加工して多岐にわたる分野の製品がつくられています。ゴム製品やゴム部品、樹脂成型品の製造、また、プラスチック梱包資材の製造など、フィリピンの樹脂加工関連企業を紹介します。
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これでわかる!フィリピンの樹脂加工業界
ここでは、フィリピンの樹脂加工業界の話題をピックアップしてお届けします。
フィリピンの樹脂産業(合成樹脂・プラスチック原料)は、依然として多くを輸入に依存していますが、近年はEPR法(拡大生産者責任)の段階的施行に伴い、再生材需要が急速に拡大しています。特に食品接触グレードのrPETは国内大手リサイクル設備稼働により供給が安定化し、飲料・日用品メーカーによる「ボトルtoボトル」採用が進んでいます。
国内生産は、D&L Industries、Mabuhay Vinyl Corp. などの主要ローカルメーカーに加えて外資系も参入し、最新の押出・射出成形ラインやモノマテリアル化技術など、環境配慮型の生産体制を整えています。
フィリピンの樹脂産業は、ASEAN域内で比較的低コストの労働力と英語による商取引のしやすさを武器に、外資の委託生産や再生材輸出で一定の競争力を確保しています。一方で、石化原料の多くを輸入に頼る構造は依然として価格変動リスクを抱え、エネルギーコストの上昇も製造コストを圧迫。さらに、国内の高機能樹脂やエンジニアリングプラスチック分野は技術基盤が弱く、研究開発投資や人材育成の不足が長期的な課題となっています。加えて、港湾・物流の混雑や通関の遅延がサプライチェーン全体の効率性を損なう要因となっており、今後の持続的成長にはインフラ整備と規制緩和が大きなカギとなっています。
プライマー2025年9月号(vol.209)より
実際にフィリピン国内で活躍している日系企業の中から昭和ポリマープロセス株式会社の押見社長にフィリピンでビジネスを展開する背景やフィリピンならではの特長、 課題などをお伺いしました。
“ 伝手 ” を駆使し、円滑な業務推進を図る
弊社の親会社は(株)昭和ゴム化学工業所(現(株)昭和ゴム化学)であり、 創業当時、 工場は東京都葛飾区と茨城県下妻市にありました。 1990 年代、 バブル崩壊の余波を受け、 東京工場の移転が余儀なくされた時、先代の押見睦雄社長が東南アジアを視察しフィリピンへの工場進出を決めました。 当時は海外進出する中小企業はまだ少なく、 周囲の反対も多かったと聞いていますが、 日本と比較的近く、 英語が通じる点が決定の要因となりました。 進出にあたってはサンコウビジネス様(コンサルタント会社)に大変お世話になり、 1996 年にフィリピン ・ ラグーナ にて事業を開始しました。
フィリピンでは英語が通じることで比較的意思の疎通が図りやすく、 また弊社では欧米との取引もあるため、 従業員が英語ができるのは非常に助かります。 また弊社は PEZA(経済特別地区)企業であり免税等の優遇措置を享受できる、 また労働賃金が比較的安価なのも魅力です。 樹脂材料でいえばミンダナオで生ゴムの生産をしており、 原材料を購買しやすいというメリットもあります。
弊社はゴムの生地を練るところから自社で行っており、 若くて力のある従業員が不可欠です。 その点フィリピンは日本と比べ力のある若い従業員が雇用しやすく、 日本人が嫌がると言われる3K 業務や、 検査の細かい作業もすすんで行ってくれます。 また明るくおおらかな性格の人が多く親日家が多いのも日本人には働きやすい点ですね。
フィリピンでの課題を言えば、 文化の違いをどう埋めるということでしょうか。 いわゆる “フィリピン時間” はビジネスに馴染みませんし 「一袋に 100 個」 が規定でも 101個でも 99 個でも大して変わらないといった認識はお客様からの不信感を買い、 会社に損失を与えかねません。 そのことを従業員全員に理解してもらう必要があります。
弊社では ISO を取得しておりますので、 ISO の基準を従業員に遵守してもらうように教育しております。 また今後の課題としては、 クリエイト法や移転価格法などの新たな法律とどう向き合うかもあるでしょう。 弊社では新たにCPA を 2 名雇い経理部門にも力を入れております。
コロナ禍の影響を受け、 従業員の出社が困難な状況が続いています。 しかし弊社はシャトルバスを増やし、 石鹸やアルコール、 危険手当などを出し、 作業場も一人一人がケースの中に入って作業できるよう、 従業員の安全を確保しました。それが功を奏し、ECQ 期間も 1 日も工場を閉めずに業務を遂行できました。 厳しい環境下で働いている従業員には非常に感謝しております。
また現在は原材料価格や輸出コストの沸騰が著しい状況です。そのため日系のサプライヤーにこだわらず様々な伝手(人と人とのつながり)を駆使し、安くて良品な材料の入手を心掛け、複数の供給会社を常に確保するようにしました。また、輸出費を抑えるため、フォーワーダーとも密に連絡を取り合っています。 フィリピンでは伝手は円滑な業務を行う上で、 とても大切だと実感しています。

弊社では本年度より新しい試みをしております。その一つが今まで親会社に任せていた営業活動です。現在は親会社が弊社のメイン顧客ではありますが、 外部顧客の獲得に向けて動き始めました。 その一環がプライマー誌と WEB の広告です(笑)、 おかげ様で、 いろいろな出会いも経験させて頂きました。
もう一つの試みは弊社に技術部門を作ることです。 これも親会社に頼りっぱなしでしたが、 今後はフィリピンでもゴムの開発に傾注しようと、 現在は弊社の日本人スタッフ がゴムの配合を勉強しております。
ゴムはまだまだ可能性のある素材だと思います。 これからも精進して会社を発展し、 更にはフィリピンの発展に貢献していきたいと考えております。


昭和ポリマープロセス株式会社
代表取締役社長 押見 浩次氏
プライマー2022年11月号(vol.176)より



















