これでわかる！フィリピンのゴム製造業界

近年、ゴム製品の製造量は世界的に増加しており、自動車産業や建設業界、電子機器産業などの発展により、タイヤやホース、シーリング材、電子部品などの需要も増加しています。また、消費者製品分野でも、スポーツ用品や日用品などの分野で、ゴム素材が広く使われています。フィリピンではどうか？ゴム製造業の概要を調べてみました。

ゴム製造業はフィリピンの農業と密接に関わる産業であり、天然ゴムの生産と加工が中心です。市場規模は電子機器製造に比べると小さいものの、自動車部品やタイヤ、工業用ゴム製品が主な製品として成長を続けています。

フィリピンは天然ゴム生産国ですが、国内生産だけでなく、マレーシアやタイからの輸入依存度が高いのが現状です。特に合成ゴムや加工素材は国内生産が限られており、日本や中国からの輸入が増加しています。　一方で、国内産ゴムの輸出も行われており、アジア諸国や欧州市場への供給が続いています。

昨今、環境負荷低減への対応が求められる中、バイオゴムやリサイクルゴムの開発が進んでおり、環境対応型のゴム製品が注目されています。

今後の展開としては、フィリピン政府が進める産業振興策の一環として、ゴム製品の付加価値向上を目指した研究開発支援が強化される見込みです。また、ASEAN地域内の自由貿易協定を活用し、周辺国への輸出拡大が期待されています。

（プライマー2025年3月号（vol. 203）より）

フィリピンのゴム製造分野の製造品目は、広範囲にわたりますが、上位10品目は表１の通りです。特に自転車用タイヤや医療用ゴム製品など、需要が安定しているといわれる分野の製品が多くなっています。

ゴム製造は、COVID-19の影響による需要の低迷など、一部の国々ではで生産量の減少が見られています。また、環境保護意識の高まりにより、天然ゴムやリサイクル素材を使用した製品の需要が増加していることも、今後の動向に影響を与えると予測されています。

表１　フィリピンで製造されるゴム製品

出展、資料：International Rubber Study Group (IRSG) 2020年度統計. Statista. (2021). など