病気と予防
フィリピンで常に気を付けたいのが自分自身の健康管理フィリピンに限らず、海外では日本と異なる気候や食生活で、思っていた以上に体調が崩れやすくなっているものです。普段から予防の知識を深め、健康に充分気を配り、快適なフィリピン生活を送りましょう。
フィリピンへ行く前に受けておきたい予防接種
- A型肝炎、B型肝炎、破傷風、(狂犬病*1)、(日本脳炎*2)
*1 犬や野生動物と接触する可能性がある場合推奨
*2 農村部に長期滞在する場合推奨
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- 予防接種の種類によっては、数回(2~3回)接種する必要があるものもあります
- 渡航前は、なるべく早く(出発3か月以上前)に医療機関や検疫所で、 接種する
ワクチンの種類と接種日程の相談をしましょう
>> 日本国内の検疫所
>> フィリピン現地のワクチン接種可能機関
体調が悪いと感じたら早めに病院に行きましょう
暮らしのガイド【 フィリピンの病院 】へ
フィリピンでかかりやすい病気
食中毒 (Food Poisoning) |
- 湿気や気温の高い雨期(5月~9月)は、食中毒にも注意が必要。
- 水害が発生後は、衛生状態が悪化し汚染された飲食物により食中毒の流行の恐れがある。
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感染ルート |
- 食中毒の70~80%は、細菌性食中毒である。
- 細菌に汚染された食品を口にすることで、生きた菌自らが食中毒を引き起こす。腸管にたどり着いた菌が腸管内でさらに増殖し、腸管組織に侵入して組織を壊し、炎症を起こす。
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症状 |
- 潜伏期間は原因となる細菌により異なり、30分~8日。食べた量によっても異なる。
- 腹痛や嘔吐、下痢が主な症状で、下痢は水のようなものや血液が混じったものなどがある。
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対策 |
- 食中毒予防の基本は、食中毒菌を「付けない・増やさない・殺す」です。新鮮な食材を使い、きれいな調理器具ときれいな手で調理しましょう。生ものには充分火を通し、熱いものは熱いうちに食べてください。
- 食事の前には手を洗うようにこころがけてください。
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コレラ (Cholera) |
- 現在のコレラはエルトールコレラと呼ばれるもので、1961年頃からアジア地域で発生。1960年頃まで流行したクラシカルコレラに比べ病原性が弱く、死亡率も2%程度といわれている。
- 栄養状態の良い日本人の場合は胃腸の弱い人、老人、乳幼児を除けば死亡することはほとんどない。
- 感染力は強いため油断はできない。
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感染ルート |
- コレラ菌に汚染された水・氷・食品などを摂取することにより感染する。
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症状 |
- 潜伏期間は1~3日。その後、下痢や嘔吐などが起こる。
- クラシカルコレラでは米のとぎ汁様の水様便と表現されていたが、現在流行しているエルトールコレラでは、これを見ることは極めてまれで、症状は比較的軽く、軟便程度から水様便まで幅広い下痢が主。嘔吐を伴うこともあるが、腹痛や発熱を伴うことはほとんどない。
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対策 |
- 生水/氷/生の魚介類(刺身・エビなど)は避ける。ジュースなどに入れてある氷や氷の上に飾られていたカットフルーツで感染した例やプールの水を誤って飲んで感染した例も報告されています。
- 無理な旅行日程などによって体調を崩すことがないよう心掛ける。健康であれば人間には基礎的な抵抗力があります。少々病原体が体内に侵入しても発病することは少ないです。
- 予防接種もありますが、効果は比較的低く50%程度であるといわれています。
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デング熱 (Dengue Fever) |
- アジアや太平洋諸島など熱帯・亜熱帯地域に広く分布するウィルスによって引き起こされる感染症。
- 3年周期で大流行があるといわれ、大流行の翌年には、患者数が大きく減ると知られている。
- マラリアと異なり、デング熱を媒介する蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)は空き缶などに溜まった水でも発生するため、都会で流行することも多くなっている。
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感染ルート |
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症状 |
- 潜伏期間は5~6日。その後、38℃~40℃の高熱、激しい頭痛、関節痛、発疹が1週間ほど続く。この発疹は風疹と同じように小さい紅斑で、痒みや痛みはない。また、軽い皮下出血が足腿部や手のひらに発熱期の最後や解熱後に現れる。
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対策 |
- 蚊に刺されるのを防ぐことが唯一の予防策です。(防虫スプレーや防虫クリームの使用 / 肌をあまり露出しない)
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マラリア (Malaria) |
- 雨季のパラワン島や、ミンダナオ島でよく見られる病気。マニラ首都圏、セブ島、ボホール島ではない。
- マラリアには4種類あり、フィリピンで見られるものは、熱帯熱マラリアと三日熱マラリアである。
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感染ルート |
- ハマダラカに吸血されることによって感染する。
- マラリア原虫を持つ蚊に吸血され、ヒトの体内にマラリア原虫が侵入する。
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症状 |
- 一定の潜伏期間の後、突然、40℃近い高熱にみまわれ、悪寒、震えとともに体がぶるぶる震えだし2時間くらい続く。その後悪寒は消えるが、体温はさらに上昇し、顔面紅潮、呼吸切迫、結膜充血、嘔吐、頭痛、筋肉痛が起こり、これが4~5時間続くと発汗し解熱する。
- 三日熱マラリア(Malaria Vivax):潜伏期間は14日程度。発作熱の間隔は48時間ごと。
- 熱帯熱マラリア(Malaria Falciparum):潜伏期間は12日程度。別名「悪性マラリア」と呼ばれ、治療が遅れると高率に死亡する大変怖い病気。他のマラリアとは異なり高熱が持続する傾向にあり、平熱まで下がる事は殆ど無い。症状も重く治療が遅れると意識障害、腎不全などを起こし、死亡する事もまれではない。
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対策 |
- 蚊に刺されるのを防ぐ。(防虫スプレーや防虫クリームの使用 / 肌をあまり露出しないようにする)
- マラリアを媒介する蚊は日没から日の出に活動する為、夜間は避けましょう。
- 内服薬による予防という方法もあります。
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A型肝炎 (Hepatitis A) |
- A型肝炎ウイルス感染によって肝臓に炎症が生じ、肝細胞の破壊、肝機能の低下を示す病気。
- 通常1~2ヶ月で治癒するが、まれに重症化 / 劇症化し入院が必要になることもある。
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感染ルート |
- 汚染された飲食物(野菜,水,貝類,ミルク等)を経口摂取することによって感染する。
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症状 |
- 潜伏期間は約4週間。初期症状として発熱、倦怠感、嘔吐など風邪と似た症状とが現れる。その後、肝機能の低下に伴い尿、皮膚が黄色に変化する「黄疸」が出現する。
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対策 |
- 予防接種が有効です。発症してしまってからは自然治癒を待ちます。
- 手洗い / うがいをしましょう。
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風邪・インフルエンザ (Influenza) |
- 風邪などの呼吸器感染症は、雨期に多くなる。
- 呼吸器感染症の1つであるインフルエンザは、7月から9月にかけて多くみられる。
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感染ルート |
- 飛沫感染:咳やくしゃみをした際に移る。
- 接触感染:ウイルスが付着したドアノブや手すりなどに触れた手で、鼻を触ったり、握手やキスなどで直接触れる事によって感染。
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症状 |
- 風邪は経度の発熱、くしゃみや鼻水/鼻づまり、のどの痛みなどの症状が現れる。
- インフルエンザの潜伏期間は1~3日。その後、突然の38度以上の高熱や関節痛、筋肉痛、全身倦怠感、食欲不振などの全身症状が強く現れるのが特徴。
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対策 |
- 手洗い / うがいが予防の基本。手洗いには、石鹸を使ってください。
- インフルエンザは、予防接種である程度妨げる病気です。フィリピンでの予防接種の時期は5月、6月です。
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狂犬病 (Rabies) |
- 狂犬病ウイルスは、神経細胞を伝って脳細胞まで届くと死に至ります。咬まれたらすぐに傷口を石けんと水でよく洗い、一刻も早く最初のワクチン接種を受けることが大切です。以後、3日、7日、14日、30日及び90日の計6回皮下に接種します。咬まれてから2週間以上その動物が狂犬病の症状を示さない場合には、咬まれた時に狂犬病に感染した可能性を否定できるので、ワクチンの連続接種を中止できます。
- 脳に近い部位を咬まれた場合は、特に急がなくてはなりません。
- 発症するとほぼ100%、死亡する。
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感染ルート |
- 主に噛まれることから感染するが、ほかにも舐められたり、動物のくしゃみなどからも感染する。コウモリが空から飛散して感染するケースもあるため、動物に接しないからといっても安心はできない。
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症状 |
- 潜伏期間は1~2ヶ月と、とても長いが、この間に治療を始めなくてはならない。
- 前駆症状としては、悪寒、熱、疲れなど。急性期では、水を飲もうとしたり冷たい空気にさらされると異常なケイレンをおこす発作がおこる恐水病(hydrophobia)になる。また音に敏感に反応したり、唾液が口からたれるといった症状がみられ、やがて呼吸が止まる。
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対策 |
- 予防接種が最も大切です。発症してしまってからの治療は全く期待できません。
- 動物に近づかないようにしましょう。
- 万が一噛まれた場合は、すぐに病院に行きましょう。
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フィリピンの医科・歯科・医療サポートについて
まず、医科から。フィリピンと日本は医療システムに大きな違いがありますので知っておきましょう。
保険制度: 日本では全ての居住者が健康保険に加入することが義務付けられており、診療費の自己負担は一定範囲内に抑えられています。一方、フィリピンでは健康保険の普及率が日本ほど高くなく、保険未加入者は自費で医療を受けるケースが多いです。
医療機関の質: フィリピンは地域による医療格差が大きいですが、日本人が多く住むマニラには高品質な医療サービスを提供する病院が存在します。ただ医療水準には未だばらつきがあるようです。
専門医のアクセス: 日本では比較的容易に専門医の診察を受けられますが、フィリピンでは特に地方では専門医が不足しており、必要な治療を受けるためにはマニラなどに行く必要が生じます。
実際に日本人が医療サービスを受ける場合、いったいどのクリニックがいいのか、また保険は適用できるのかなど、戸惑うことも多いでしょう。そんな時に利用したいのが、日本人医師在籍の医院・クリニックや医療サポ
ート、そしてオンラインクリニックです。現在メトロマニラには日本の有名医院・クリニックの指導を受けたクリ
ニックが誕生しています。また地元病院の治療を受ける時には医療サポートが強い味方になってくれます。
普段私たちになじみのない医療専門用語に長けたスタッフがおり、言語の壁を感じないで医師と対面できるほか、信頼できる医療機関も紹介してくれます。加えて保険手続きなど煩雑なプロセスもサポートしてくれますので、ストレスなく受診することができます。オンラインクリニックでは、日本在住のドクターがオンライン診療をしてくれるほか、薬も日本から直送してくれる便利なシステムです。
ではフィリピンの歯科医療はどうでしょうか。フィリピンと日本の歯科医療には、医療システム、治療コスト、技術水準、アクセス性に大きな違いがあります。日本では健康保険の適用により、患者は全国どこでも比較的低コストで高品質な歯科治療を受けることが可能です。一方、フィリピンでは質の高いサービスは都市部に集中し、多くの治療が自費となります。技術面では、日本は予防歯科や審美歯科治療で進歩していますが、フィリピンでは地方では設備や技術が日本ほど先進的ではありません。また、フィリピンでは高品質な治療を求める患者は大都市のクリニックへのアクセスが必要で、これが課題となっています。それでも、フィリピンでは質の高い歯科治療を提供するクリニックが増え、医療技術の向上が期待されています。マニラには日本の歯科大学、大学院を修了した優秀な歯科医がクリニックを開業しています。マニラの口腔ケアの強い味方になりそうです。
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