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フィリピン基礎知識

フィリピンの概要

東洋と西洋の文化が融合され、他の東南アジアに比べユニークな文化、生活様式を持つ国、フィリピン。東南アジアのちょうど中心に1,840キロメートル以上に渡って7,641の島で構成されています。主要なエリアは、3つ。
メトロマニラ都市圏のあるルソン島、セブ島を含むビザヤ地方、そしてダバオ市のあるミンダナオ島です。
気候は、雨季と乾季がありますが、基本的には1年中高温多湿です。日本との時差は、-1時間。


フィリピン位置図


正式国名
フィリピン共和国 Republic of the Philippines
面積
298,170平方キロメートル  
人口
1億903万5,343人(2020年フィリピン国勢調査)
政治体制
共和制
言語
公用語はフィリピン語と英語。180以上の言語があります。

出所:外務省WEBサイトより


地理

フィリピンは、大小7,641の島から成る群島国家です。広さは約30万平方キロメートル、日本の本州と北海道を合わせたくらいの大きさで、北緯4.23度から21.25度、東経112から127度に位置しています。南シナ海、フィリピン海、スールー海、セレベス海、ルソン海峡といった東南アジア主要海域の多数に接する好条件にあります。
環太平洋造山帯に属し、山がちな地勢で活火山が多く地震も発生します。海岸には、サンゴ礁が発達し、群島の東側にはフィリピン海溝が南北に走っています。
一般的にルソン諸島、ビザヤス諸島、およびミンダナオ島の3つの島のグループに分かれます。

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民族

  フィリピンの民族は、マレー系が主体ですが、マレー系の中も、100近い民族グループに分かれ、独自の言語が使用されています。そのため、地域や島によって違った文化、民俗があります。ほかに中国系、スペイン系および少数民族がいます。


政治

  政治体制は立憲共和制で、国家元首は大統領です。三権分立制度が確立し、革命期と大戦中の第1、2共和国を経て現在は戦後の第3共和国です。現在の憲法はマルコス独裁崩壊後の87年に制定されました。
立法府は上院と下院の二院制議会です。司法は最高裁を筆頭に下級審には様々なシステムがあり、行政の長は直接選挙で選ばれる大統領です。2022年5月に行われた大統領選において、フェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア元上院議員(当時)は、史上最多得票率で圧勝し、第17代大統領に就任しました。(通称:ボンボン・マルコス)

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経済

フィリピン国家統計局の2021年のデータによると、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業を含むサービス業がGDPの約6割、鉱工業が約3割、農林水産業が約1割を占め、主要な産業とされています。

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言語

  フィリピンの公用語は、フィリピン(タガログ)語と、英語です。国語はフィリピン(タガログ)語です。英語も広く使用され、高等教育では必須となっています。500以上の方言があり、78の言語グループに分かれ、8つの主要方言があります。

タガログ(Tagalog)・セブアーノ(Cebuano)・イロカーノ(Ilocano)・ヒリガイノン(Hiligaynon)・ビコラーノ(Bicolano)・ワライ(Waray)・カパンパーガン(Kapampangan)・パンガラトク(Pangalatoc)


宗教

  フィリピンは主にキリスト教とイスラム教が信仰されています。

キリスト教:
全体の93%以上を占めます。1521年フェルディナンド・マゼランの到達意向、16世紀にキリスト教に広まりました。カソリック信者が多くを占めています。最近は、1902年に設立したイグレシア・ニ・クリスト教、そしてフィリピン独立系教会(アグリパイ派)が信者を増やしています。

内訳:
ローマカトリック - 82.9%
プロテスタント - 5.4%
フィリピン独立系教会 - 2.6%
イグレシア・ニ・クリスト教- 2.3%

イスラム教:
全体の4.6%を占めます。
東南アジアでのアラブの貿易拡大が著しかった14世紀後にイスラム教が広まりました。 現在は、フィリピン南部、ミンダナオ地方のイスラム教徒ミンダナオ自治地域に多く居住しています。

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教育

  フィリピンの教育制度は教育改革“K-12”が行われた結果、幼稚園1年、小学校6年、中学校4年、高等学校2年の13年間の基礎教育制度をとっています。ほとんどが2学期制です。2019年国連教育科学文化機関によると、識字率は96.3%となっています。また、フィリピンは女性の地位や教育水準の高さでも東南アジア随一といわれ、女性は教員数でも男性を上回り、国家公務員にも女性が多く、女性管理職も多いのが特徴です。


気候と服装

  フィリピンは1年を通して気温・湿度の高い熱帯モンスーン型気候です。寒いのが苦手な人には、1年を通して過ごしやすい気候です。年間の平均気温は26~27℃と暖かいトロピカルな亜熱帯気候です。
雨季は6~11月、乾季は12~5月ですが、近頃は雨季と乾季の境目があいまいという声も。
 
雨季の間、毎年熱帯性低気圧や台風の被害があります。
 
服装は基本的に夏物でOK。とはいえ、ショッピングモールやホテル内は冷房がきいているため、半袖では寒いと感じることもあるかもしれません。カーディガンやストールなど羽織るものを用意しておくとよいでしょう。また、11・12月頃は肌寒く感じる日もあります。

 

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歴史と文化

  フィリピンは、7000年ほど前に大陸から分離し、フィリピンの島々が形成されました。紀元前15000年から500年頃にかけて新しく人類が島々に移り住み、青銅器の道具を使い高度な水田技術を広めていき、紀元前300年から16世紀にかけてマレー人が移り住むようになります。マレー人は様々な技術を持ち込み、海上貿易も始め、14世紀頃、ブルネイ王国を統治していたサウジ・アラビア系スルタンがスールー王国、マギンダナオ王国などを設立、現イスラム教徒ミンダナオ自治地域の礎となりました。

1521年、マゼランが世界一周探検の途上、マクタン島に上陸してスペインの領土であることを宣言し、それまでバランガイという無数の親族集団がちらばっていた7,000以上の島々をフィリピンという群島国家にまとめていき、スペイン統治下に入りました。

1860年代に入ると、スペインからの独立を目指す運動が活発になり、その解放運動の先頭に立ったのがホセ・リサールです。リサールは逮捕され1896年12月30日、銃殺刑に処せられますが、これが運動に火をつけることになり、1898年6月12日にスペインから独立。これがフィリピン第一共和国で、エミリオ・アギナルドが初代大統領に就任します。
しかし、フィリピンの独立を支援していたはずのアメリカが、スペインとパリ条約を結びフィリピンを購入。アギナルドを反乱軍の将とし、アメリカ寄りの政権を別に置きます。アメリカと独立戦線は1902年迄戦闘を行いますが終結し、アメリカが実効支配します。太平洋戦争時の日本寄りの政権の第二共和国を経て、真の独立は第二次世界大戦後の1946年に第三共和国まで待つことになります。

主な出来事

1521年 マジェランのフィリピン到着
1571年 スペインの統治開始
1898年 米西戦争中の6月12日、アギナルド将軍が独立を宣言
米西パリ講話条約調印により、米の統治開始
1935年 独立準備政府(コモンウェルス)発足
1942年 日本軍政開始
1946年 7月4日、フィリピン共和国独立
1965年 マルコス大統領就任(1972年戒厳令布告)
1986年 2月革命によりコラゾン・アキノ大統領就任、マルコス大統領亡命
1992年 フィデル・ラモス大統領就任
1998年 ジョセフ・エストラーダ大統領就任
2001年 第二EDSA革命、 ジョセフ・エストラーダ大統領失脚、グロリア・アロヨ大統領就任
2004年 グロリア・アロヨ大統領再就任
2010年 ベニグノ・アキノ大統領就任
2016年 ロドリゴ・ドゥテルテ大統領就任
2022年 マルコス第17代大統領就任

国のシンボル

フィリピンにはNational Commission for Culture and the Arts(文化芸術委員会、以下NCCA)によって指定された様々な公式シンボルがあります。

▼フィリピンの国旗

フィリピンの国旗は、4色で構成されています。白は平等への希望、青は平和・真実・正義、赤は勇気・愛国心、黄色い太陽は自由を意味しています。3つの星は、主要なアイランドグループであるルソン、ビサヤ、ミンダナオを意味し、太陽から出る8本の光線は、フィリピン独立の際に、スペインに対して最初に武器をとった8つの州を意味しています。

▼フィリピンの国歌:“Lupang Hinirang”(最愛の地)

ジュリアン・フェリペが作曲したもので、1898年6月12日、フィリピン独立宣言の際に初めて公に演奏されました。歌詞は、ホセ・パルマが書いたスペイン語の詩「Filipinas」から採用されました。

▼フィリピンの国花:Sampaguita(サンパギータ)

一般的にはアラビアンジャスミンとして知られています。サンパギータの白色は、純粋さ、シンプルさ、謙虚さ、強さを象徴しています。

▼フィリピンの国樹:Narra(ナラ)

一般的にはローズウッドとして知られています。2013年2月5日に発令された条例により、ナラの伐採にはDENR Central Officeの承認を得ることが義務付けられています。

▼フィリピンの国鳥:Philippine Eagle(フィリピンワシ)

マカクザルなどの小動物を捕食することに由来して、サルクイワシという別名を持ちます。全長1mを超える巨大な体が特徴で、世界最大級のワシとされており、フィリピン固有の鳥で、 ルソン島・サマール島・ミンダナオ島・レイテ島の4つの島の熱帯雨林にのみ生息しています。絶滅危惧種に指定されており、保全が急がれています。千ペソ札にも描かれています。

▼フィリピンの国石:Philippine Pearl(フィリピンパール)

1996年に国の宝石として指定されたPhilippine Pearl(フィリピンパール)。こちらも千ペソ札に描かれています。世界最大の真珠は、1934年にフィリピン人ダイバーがパラワン海中の巨大なトリダクナ(軟体動物)の中から発見したものであるとされています。

▼フィリピンの国技:Arnis(アーニス)

Arnis(アーニス)は、フィリピン人にとって武道でもあり、スポーツでもある存在。その起源は、資料に残っていないため、確認がされていないそう。また、別名でKali(カリ)やEskrima(エスクリマ)と呼ばれることがあります。竹やラタンでできたスティックや素手などを使います。地方では、学校で習うこともあるそう。2009年に国技として指定されました。

※画像出典、NCAAより

 

その他、非公式シンボル

NCCAによって指定されているわけではありませんが、フィリピン国民が広く認識している国民的シンボルについて、ご紹介します。

▼国民的英雄:Dr. Jose Rizal(ホセ・リサール)

約350年間スペインの統治下にあったフィリピンの独立運動において、中心的な役割を果たしたことから、国民的英雄とされ、命日である12月30日は祝日になっています。

▼ナショナルリーフ:Anahaw(アナホウ)

地方では屋根の材料として使われることが多く、首都圏では装飾品や植物として鑑賞されます。

▼ナショナルフルーツ:Mango(マンゴー)

昔からマーケットでよく見かけられてきたマンゴー。国民的な果物として認識されているものの、それを宣言する法律はありません。

▼ナショナルアニマル:Carabao(カラバオ)

フィリピンの水牛。昔から農家の生活と密接な関わりがあり、田作で必要な作業や荷物の運搬などにも一役買ってきました。

▼国魚:Bangus(バンガス)

脂身の多いBangusは、フィリピンの食卓では争いを起こすほどの人気だとか。イロコス地方にあるダグパンでは、バンガス祭りがおこなわれるほど、フィリピン人にとって重要な魚であり、養殖も盛んに行われています。

▼ナショナルハウス:Bahay Kubo(バハイ・クボ)

フィリピンの地方都市を中心に、いまだ一部で見られる質素な高床式の伝統住居。

 

 

便利なリンク

▼WOW Philippines Homepage (フィリピン観光省サイト/英語)
http://www.tourism.gov.ph/

▼プレミアム アイランド フィリピン (フィリピン観光省サイト)
http://www.premium-philippines.com/

▼Embassy of Japan in the Philippines (在比日本大使館)
http://www.ph.emb-japan.go.jp/index_japanese_version.htm

▼INQUIRE net (INQUIRE新聞サイト)
http://www.inquirer.net/

▼The Philippine Star Online (The Philippine STAR新聞サイト)
http://www.philstar.com/

▼マニラ日本人会のホームページ
https://jami.ph/

▼セブ日本人会のホームページ
http://www.ja-cebu.com/

▼フィリピン日本人商工会議所のホームページ
http://www.jccipi.com.ph/

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