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第四十四回ビジネス烈伝 / CCK CITY NETWORK, INC. 齊藤 雅壽さん

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BPOからKPOへ データ入力サービスの未来を見据える

CCK CITY NETWORK, INC.
ゼネラルマネージャー 齊藤 雅壽さん

1964年大阪生まれ。大阪の専門学校を卒業後、ソフトウェアのプログラマーとして働くも、激務のため体調を崩して退社。その後好きだった映画の世界へ転身。数年後、更に転職した先で、海外での立ち上げ業務に携わり、その手腕を見込まれて現在の会社に至る。フィリピン在住10年目。。

好きな言葉、心に残っている本
Facebookにも書いたりしていますが、「明るく楽しく元気よく」ですね。とても簡単な言葉で、すいません(笑)。でも全てのことに当てはまりますし、当社のスタッフにもよく言っています。心に残っているというよりは映画にしてみたい本として、西村寿行の『荒涼山河風ありて』。ハードバイオレンスロマンスです。

来比10年目になる齊藤さん。女性ばかり400人のオフィスを束ね、今年は新たにパンガシナンに350人規模のオフィスを立ち上げました。日本の企業文化を浸透させるためにフィリピン人に寄り添って繰り返しぶれずに意思を伝えてきました。今度はその精神を受け継いだフィリピン人スタッフが教育にあたります。

 

 

編集部

 

これまでの経歴についてお聞かせください。

 

齊藤さん

 

最初に就職したソフトウェアの会社ではプログラマーとして働きましたが、激務のため体調を崩して退社しました。そのとき自分の人生を見直して、自分のやりたいことは何だったのか、何が好きなのかを考える時期がありました。カメラが好き、映画も好きということで、京都の太秦近くにある東映系の会社に就職する事となりカメラマンを目指しました。もちろん最初からカメラマンで食べていくのは難しいことで、照明技師の補佐をするなど修行の始まりでした。照明技師は映画を撮るのに必要な専門職であり、映画の撮影は照明の良し悪しで決まるといっても過言ではなく様々なシーンを演出する要であり、例えば能のように陰影で表現を生み出すなどその奥深さに面白みを感じ本格的に照明技師の世界に入りました。 照明の仕事では海外撮影もあり、そこでは日本での撮影と大きな違いを感じました。それは、海外の現場では俳優さんとクルーとの距離が無いという事です。日本では俳優さんが特別扱いされている感じがありますよね。また、日本国内の撮影では、松田優作と一緒に仕事させていただいたこともありました。松田さんが亡くなる少し前でして、彼の最後の撮影となりました。様々な俳優さんたちに出会えたことは嬉しかったですね。 仕事には満足していたのですが、あることがきっかけでその仕事も辞めることになりました。それは、モンゴルの秘境で一年間撮影する機会があったのですが、その時期、母の体調が悪くて参加できませんでした。一度断ると再度仕事をいただくことは難しく、この業界を去ることになりました。 その後、ある出会いから女性用の補正下着を扱う中小企業に就職しこで多くの海外経験を積むこととなりました。これは35歳くらいのときでした。仕事の内容は事業の立ち上げが多くリサーチして、良ければ会社を作り、オペレーションを行うという流れです。一連の仕事はやりがいがあり、自分に向いていると感じていました。

 

 

編集部

 

 CCK CITY NETWORK, INC. に入社されたきっかけは?

 

齊藤さん

 

たまたま妻がシティコンピュータ(CCKの親会社)にパートタイムで働いていた時の事でした。雑談中にフィリピンに事務所があるという話題になり、何気なく「主人もセブに1年ほど行っていたことがあります。」という話をしたそうです。それがきっかけでご縁を頂きました。 フィリピンの事務所は2006年よりオペレーションをスタートしており、スタートしてから未だ1年ほどのタイミングでしたので、チャンスと思いました。私たちの会社は基本的にはデータ入力が主力です。多くのオペレータがPCに向かい作業する環境など、前職の知識が活かせたことはラッキーでした。本社でのトレーニングは3か月間に渡り、みっちり仕込まれました。データ入力という初めての業界に戸惑いはあったものの、フィリピン人スタッフのマネジメントやITインフラ周りの経験が過去にあったことは大きかったですね。 これが2007年9月のことです。そのときの条件でフィリピンに行くのであれば家族も一緒ということになっていましたので、3ヶ月ほど経って家族も合流しました。子供たちは海外での生活にすぐに慣れていました。特に長男はニューヨークに1年連れて行っていたので違和感は無かったようでした。妻に関しては結婚するときに「いつかは海外で暮らそう」と言っていたのですぐに受け入れてもらえました。息子たちは今、ローカルの学校の4回生と2回生です。英語もそれなりですが、自分の身を守るのはタガログ語だ、ということでタガログ語を先に覚えたようです。電話越しでは、フィリピン人が息子たちのことをフィリピン人と間違えるくらいに上手く話しますよ。

 

 

編集部

 

その当時、まだフィリピンに注目する企業は少なかったと思いますが、なぜ進出を決断されたのでしょうか?

 

齊藤さん

 

本社は和歌山でして、フィリピンに進出する前は日本国内でオペレータを探しておりました。ですが、オペレータの確保に苦労した時期があり、そのときに海外への進出が必要だと思い、どこの国が良いか探したとき、関連の開発系の会社が先にフィリピンに進出していたこともあり、フィリピンで仕事ができるかきちんと調べたそうです。その結果、進出できるという判断になり、2006年から1年くらいかけて社長がこちらで立ち上げに関わっておりました。 BPO事業でその時期フィリピンに進出している会社は少なかったです。この業界では「BPO=大連」というイメージでしたからね。「なぜ大連に行かないの?」と言われたそうですが、うちの社長は二番手が嫌いなんです(笑)。 フィリピンは英語が公用語で、いずれアメリカを狙っていくのにあたり英語は必要になってくるということからここを選択したそうです。過去にいろいろありましたが日本人に対して友好的であることも理由の一つです。

 

 

編集部

 

貴社サービスについて、フィリピンでは何がメインになるのでしょうか?

 

齊藤さん

 

メインはデータ入力サービスになります。英語教育ビジネス、翻訳、テープ起こし、ビジネスサポート、コールセンターもやっています。人材派遣にはこれから着手します。

 

 

編集部

 

人材派遣サービスというのはフィリピン人を日本へ送るのでしょうか?

 

齊藤さん

 

はい。今は企業内転勤ということで、当社の社員を日本のセンターへ送っています。現在ライセンスを申請中で、取得した後は派遣業の人たちとタッグを組みながら年内に200人、来年は3,000人くらいを送る予定でいます。人材派遣でもフィリピンでトップを取りたいですね。私たちはデータ入力に特化した人材派遣業を20年以上やっていますので、農業や介護の分野でもチャンスはあると考えております。当社の代表は和歌山で米を作っておりまして、話を聞くと荒れ放題の農地がたくさんあるようです。放っておくと周りの田んぼも荒れてきてしまいます。そういうところに海外の人材を入れて、農業実習をしながら農業をもっと活性化させたいです。それからメディカル・トランスクリプションという分野がありまして、看護師の免許を持っているスタッフが、アメリカの医療現場での音声データをテープ起こししています。医療の知識と英語と両方いるので、この分野でもフィリピンの人材が活躍しています。

 

 

編集部

 

現在、世界中にいくつの拠点がありますでしょうか?各地に拠点を置く中でフィリピンの位置づけは?

 

齊藤さん

 

フィリピンの他に、バングラデシュのチッタゴンという、ダッカから200キロ程南にある港町に拠点があります。マニラに着任後、2012年に立ち上げを行いました。フィリピンと大体同じくらいの規模です。それからロサンゼルスには営業の拠点だけおいています。フィリピン国内ではパンガシナンに拠点があり今年の9月からオペレーションがスタートしています。年内には350名ほどまでもっていきたいですね。 データ入力サービスの最大拠点がフィリピンになります。データ入力には、アルファベットや数字、漢字などの入力作業と、画像処理を行っています。フィリピンでは、アルファベット、数字、カタカナ、ひらがなの入力作業を行っております。漢字に関しては、同じ漢字文化の中国に依頼すると思われがちですが、中国であっても微妙な入力の間違いなどが起きてしまい、お客さまからの満足を得られるわけではないということで、当社では日本でやっております。 フィリピン人スタッフは会話は出来ないのですが、ひらがなやカタカナを見て入力することは可能です。ただ、手書きの場合ですと、例えばカタカナの『シ』と『ツ』など書き方の癖によっては判断が難しい場合があるのですが、そこは経験値がものをいいますね。それから、疑わしい部分が分かるように印を入れ、最終判断を日本に委ねることによってエラーを回避し品質を保持しています。

 

 

編集部

 

データ入力サービスを利用しているのはどういった業種が多いのですか?

 

齊藤さん

 

災害へのリスクヘッジを考慮して紙媒体の電子化が急がれていることや、ビッグデータの活用などから多岐にわたる業種のデータベース化を行っています。ステップとしては、まずスキャニングして電子化されたデータが送られてきます。電話番号やメールアドレスなどはフィリピン側でデータベース化して、住所は日本側でデータ化します。それらを一つのデータベースとしてお客さまに納めます。さらに、納めるだけでなく、KPO(knowledge process outsourcing)という、作ったデータベースを元に解析して、お客さまが求めているものを提案することも行っております。本来ならマーケティング部門が作り上げるようなデータを当社が作成するわけです。データの解析はプログラミングを駆使しております。日本のエンジニアが解析を行ったりするだけでなく、ロジックにのせてプログラミングで計算して答えを導き出しております。

 

 

編集部

 

フィリピンで事業を行う魅力やメリットは?

 

齊藤さん

 

トレーニングの仕方にもよりますが、フィリピン人の方はよく働いてくれます。それから、長く働いてくれるスタッフが多いです。会社設立当初からのパイオニアが数十人おります。私より先輩で、10年選手ですね。それなのでスキルが上がっていきやすく、ステップアップした仕事でもどんどんこなしてくれます。

 

 

編集部

 

フィリピンで事業を行う上で苦労している点は?

 

齊藤さん

 

今でこそ全員が日本文化を理解していますが、当時は「なんで?」と思われることがたくさんありました。例えば土足厳禁です。お客さまからお預かりした書類を土足で歩いているところに落とすようなことがあってはなりませんので、最善の状態を保つためにオフィスは土足厳禁としています。 日本では塵ひとつ無いところで作業していますので、それをフィリピンでも同じことをやろうとしました。そのときにスタッフから「意味が分からない」と言われました。大切なものを扱っているという心構えを持ち、真剣に取り組むということを納得してもらうのが難しかったです。今でこそ、CSと言われますけれども、その当時は浸透しておりませんでした。「データの先にあるお客さまの顔を思い浮かべながら仕事をしましょう」と言いましたが、「そんな人知らないし」と言われたこともありました(笑)。 誇りですとか、自分がやることに対する責任を持つということが、長い目で見ると大きな結果につながります。それを教育するのですが、これを浸透させるのは本当に苦労しましたね。今はそれをフィリピンのスタッフが新人に教えています。ここまで来るのに10年かかりましたよ。この成果は代表の川原がフィリピンに来るたびに、同じスタンスで同じことを繰り返し伝えていたことによります。ぶれませんね。 それから10年前と比べて交通事情が悪いですね。年々、渋滞がひどくなってきています。本当はもっと仕事に労力を使ってほしいのに、出勤する事で既に疲れてしまうなんてもったいない事ですね。

 

 

編集部

 

今年、新しくパンガシナンにオフィスをオープンされましたね。

 

齊藤さん

 

フィリピン国内のリスクヘッジはどうなっているのか、ということをお客さまから聞かれることがあります。フィリピン国内でも第二の拠点がないといけないというイメージは以前からありました。ただ、海外の拠点の方が忙しくなってしまって、なかなか作れなかったのですが、最近マニラの賃金も高騰してきましたし、出来るだけコストは抑えたいところでしたので、パンガシナンに新しくオフィスをオープンしました。 色々と国内を模索する中で、たまたま家族旅行で行って気に入ったラワグという都市が北部にありまして、その辺りを調べ出しました。フィリピン国内の賃金相場等で絞り込んだ結果、パンガシナンのダグパンとオルダネータという二つの拠点が候補に挙がりました。ダグパンは雨が降ると街の中心部が水没してしまいます。どんな天候であっても従業員がちゃんと出勤できる場所ということを考え、オルダネータになりました。そこでは、マニラではコスト高になってしまっているBPOサービスをすることにしており、従業員を350人ほど雇う予定です。マニラではもう少し付加価値をつけたサービスをしていきます。 オルダネータは30万人都市でして、大手はそのような人材の少ないところには進出しません。ですが、当社のように400人いれば十分ということであれば30万人都市が進出先候補となります。競争相手が入ってきませんので、一人勝ち状態です。当初、そのような小さい都市では人材確保は難しいと言われましたが、ふたを開けてみたら一日に60枚くらいレジュメが届きました。400人くらい面接をして5人ほど採用します。門戸は広げて、どんどん絞っていきます。トレーニングは3ヶ月間行います。その中で選りすぐられた人だけが残っていきます。 現在、オペレーションを開始し、スタートダッシュしております。

 

 

編集部

 

パンガシナンでも一からのスタートになるわけですね。

 

齊藤さん

 

そうです。ただ、10年前に私が1人で教えてきたことを、今度はフィリピン人が教えています。パンガシナンで出来上がる組織はマニラと同じになります。

 

 

編集部

 

フィリピン国内で今後どのような事業やサービスを進めていくかお聞かせください。

 

齊藤さん

 

BPOからKPOへと付加価値をつけたサービスを展開して行く予定です。それからMLD(Multi Language Department)というチームがありまして、そこではフィリピン人の英語の力を活用して日本の中高生に英語教育をしています。ライティングの添削をはじめ、生徒さんが話した英語の発音や言い回しなどをルールに則って採点します。あまり厳しく採点すると英語に対するモチベーションが下がってしまうので、あくまでももっとやりたいという意識を持てるような採点の仕方を心がけています。

 

 

編集部

 

フィリピン人スタッフの優秀なところ、苦労しているところは?

 

齊藤さん

 

優秀なところはよく働いてくれるところですね。大変なところは放っておいてもスキルが上がらないというところです。 自己学習でスキルを上げていくという事は難しくて、能力を引き出すためにある程度労力を使ってあげないと伸びないですね。きっと能力の使い方が分かっていないのです。小・中学校で能力開発や物事のロジックの考え方を教えてもらうことはありません。それから時間を守るという感覚も学校では身につきません。学校の先生が週のうち3回ほど遅刻します。そして2回ほど無断欠勤します(笑)。それを見て育ったら、それが普通になってしますよね。 彼女たちはもっと勉強したいし、スキルアップはしたいのです。ただその反面あくせく仕事をするのは嫌います。そこをどうやって導くかということですよね。今、彼女たちと言いましたが実は私たちの会社は400人全員女性です。データ入力の業界というのは女性しかいないのです。適性なんでしょう。早い人だと1時間に26,000タッチして、間違いは1~2個だけです。1秒間に約7タッチしている計算になります。それを朝から8時間行います。もちろん彼女たちはキーボードを見ていません。それでも自分がどこをどう入力しているのか分かっています。オフィスでは私語はなく、全員ひたすら入力していますね。

 

 

編集部

 

海外で働こうとする日本人、海外で働いている日本人に思うことや感じることはありますか?何かアドバイスがあれば教えて下さい。

 

齊藤さん

 

私は何も言える立場ではないですが、積極的に海外に出てきてほしいと思いますね。例えば日本で不平不満を言って仕事に集中できないような方は、一度海外に出て、自分でしっかり考えてプロセスをこなさないと生きていけないという環境に身を置いてみると、気づくことが多いのではと思います。 また、フィリピンで働いている人の中にはあまりフィリピンのスタッフを良く思わない人がいますよね。私はその考え方にあまり賛成できません。まず私たちはフィリピンでありがたく仕事をさせていただいている立場です。そして何より、その人たちの能力を引き出せていないのは私たち日本人の問題であると思います。少しやり方変えたらもっと良くなるのに残念だな、と思うことは多々ありますね。

 

 

編集部

 

プライベートな時間の過ごし方は?

 

齊藤さん

 

カメラが好きなので休みの日は写真を撮ります。それだけだともったいないので運動不足を解消するために歩いてます。ワクワクをスタートしてグリーンヒルズからキアポに行って、元気があったらタフトまで行って帰って来る。汗だくになりながら8〜10時間かけて歩いてます(笑)。写真はインスタグラムに上げてます。路地に入って低いところから写真を撮ると、「スペイン統治時代はこんな感じだったのでは?」と思わせるような写真が撮れたりしますよ。食べ歩きとは良く聞きますが私の場合、撮り歩きですね。 あとお誘いがあればゴルフですね。なかなかうまくなりません(笑)。私のおすすめはアンティポロにあるサンバレーです。パブリックですのでメンバーシップも要りません。私は昼から行って1人で2打ずつ打って練習してます。そのときもカメラを持っていきます。 それから、最近子供が忙しくなってきたのでなかなか時間がないのですが、子供と一緒に音楽を聞いたり演奏したりするのが好きです。

 

 

編集部

 

齊藤さんご自身の今後の展望や夢は?

 

齊藤さん

 

そろそろ定年を考える歳にさしかかってきましたが、定年まで全力で仕事をします。それ以降は、フィリピンの片田舎で妻とゆっくり過ごせたら幸せかなと思っていますね。野菜を作って、好きなお酒を飲んでまったりしたいですね。今までずっとバタバタし通しでしたので、何しろゆっくりしたいです。フィリピンタイムを感じながら余生を暮らしたいですね(笑)。

 

 

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