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フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると 第十二回
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『フィリピンで交通事故にあったらどうするの?』

 前回はフィリピン人との結婚と離婚についてお話させていただきました(前回のフィリピンあらかると に掲載されていますので、見逃された方は是非ご覧ください)。今回はフィリピンで車に乗っていて事故にあったときの手続等についてお話しさせていただきます。

  フィリピンで車に乗っていて事故に遭う場合としては、①ドライバーが運転する社用車に乗っていて事故にあった場合、②ドライバーが運転する個人所有の車に乗っていて事故にあった場合、③自分で車を運転していて事故にあった場合の3つのケースが考えられます。ここでは一番皆さんへの精神的ダメージが大きいと思われる③のケースを中心にお話ししたいと思います。

まず行うべきこと

    車に乗っていて交通事故(物損/人損を問いません)が発生した場合に行
うべきことは以下のとおりとなります。

① 負傷者がいる場合は救護を行う (救急車を呼ぶ)
② 警察を呼ぶ
③ 事故現場の写真を撮る
④ 現場付近にCCTV(監視カメラ)がないかを確認する
⑤ 相手の確認を行う(運転免許証、車の登録証、自動車保険証書の確認)
⑥ (社用車の場合)会社に連絡する

   交通事故が発生して賠償等のために自動車保険を利用しようとする場合には必ず警察の発行した事故報告書が必要になります。また、仮に示談交渉がこじれて裁判になった場合にも事故の態様を証明するものとして利用されることになります。この警察の報告書の作成のためにも現場に警察を呼ぶことが必要であり、警察が来るまでは車を動かさないでください。


   なお、警察の報告書は現場では作成されません。警察は現場の状況を記録したあと、後日事故の当事者等から話を聞いた上で報告書を作成します。日本の実況見分調書とは異なり、フィリピンの事故報告書においては、事故の態様だけでなく、事故に責任のある当事者が特定されます。しかも、双方に過失を認めるという考え方はなく、いずれかの当事者に100%の責任があるという記載をしますので、報告書の記載が極めて重要であるといえます。そのため、報告書の作成段階において事実と異なり、自分に不利な記載がなされないよう、内容を確認することが重要です。他方、軽微な物損事故などの場合で、現場で当事者間にて示談が成立しているときには、誰が事故に責任があるかを明らかにせず、単に事故の事実だけを報告する内容の事故報告書が作られること
もあります。

賠償について

(1) 誰が賠償責任を負うのか?

   フィリピンでは、ドライバーを雇って車を運転してもらうことが一般的だと思います。皆さんが同乗中にドライバーが事故を起こした場合、ドライバーが賠償責任を負うことはもちろんですが、フィリピンでは車の所有者も賠償責任を負うことが原則であることに注意が必要です。したがって、会社が所有する自動車を利用している場合には会社が、個人で所有する自動車を利用している場合にはその個人も賠償責任を負うことになりますので、ドライバーには事故を起こさぬよう、しっかりと指導することが必要です。ちなみに自動車をリースしている場合は、リース会社も賠償責任を負うことになります。

 

(2) 賠償責任の範囲及び金額

   次に、フィリピンで交通事故により被害者をけがさせた、または死なせてしまった場合の賠償についてお話しいたします。日本で事故が起こった場合は、治療にかかった費用などの直接損害に加え、休業損害と慰謝料を加えた金額、もし後遺症が残った場合には、その分の逸失利益の金額を加えた金額を賠償すること、もし亡くなった場合には逸失利益と慰謝料を加えた金額を賠償することが一般的であるといえます。フィリピンでも基本的な考え方は同様であり、治療費や弁護士費用などの直接損害に加え、裁判の場での立証ができた場合には慰謝料や懲罰的損害賠償を請求することもできます。もっとも、これらが立証できなかった場合には最大で10万ペソ程度の賠償命令が出るにすぎないようです。


    なお、フィリピンで入ることのできる自動車保険の場合、人損に対する保険金額は最大50万ペソ*となっていますので、これを超える金額を支払う必要がある場合には、自己負担することになります。示談交渉においては外国人が加害者ということになれば賠償金額を釣り上げてくる可能性が高く、また示談交渉に失敗して裁判となっても、一般的には外国人に対して厳しい判決となる可能性が高いといえますので、くれぐれも事故には巻き込まれないように注意してください。

 

*日系の自動車保険の場合。但し、加入できる車には条件がありま
すので、詳しくは保険代理店などに確認してください。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



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