【イントラムロス】1993年に世界遺産に登録され、幾多の地震や、第2次世界大戦の爆撃にも耐え抜き、当初からの姿を残しているため、奇跡の教会とも言われている。

バロック風デザインの教会内部
正式名称をChurch of Saint Augustine and the Immaculate Conceptionとするサン・アグスティン教会は、城壁都市イントラムロス内に位置し、国内最古の石造教会とされている。1993年に「フィリピンのバロック様式教会群」の一つとしてユネスコ世界遺産に登録され、国家歴史的ランドマークにも指定されている。堅牢なアドビ石と石灰モルタルで築かれたこの教会は、その壁に植民地時代から続く数世紀の宗教的・歴史的遺産を刻んでいる。


その歴史は1571年、竹とニパで作られた建物から始まった。その後木造教会が建てられたが、二度にわたり火災で焼失。1586年、アウグスチノ会はJuan Maciasの下で壮大かつ恒久的な石造建築の建設を決定した。資金や職人不足に悩まされながらも、1604年に修道院が完成し、1607年に全複合施設が竣工した。1863年の大地震では唯一倒壊を免れ、その後も1762年の英軍による略奪や1880年の地震など数々の災害を乗り越えてきた。1880年の地震では北側の鐘楼が修復不可能となり、撤去されている。


内部はラテン十字型の平面、高いバロック様式のレタブロ(祭壇)、トロンプ・ルイユ(だまし絵)天井、パイプオルガン、そしてバロック様式の説教壇といった建築的見どころが並ぶ。厚い壁や控え壁付き礼拝堂、石造のバレルヴォールトとドームによって耐震性を備えており、創建者であるマニラの建設者ミゲル・ロペス・デ・レガスピをはじめ、植民地初期の指導者や聖職者の墓所も併設されている。
驚くべきことに、サン・アグスティン教会は1945年の第二次世界大戦でイントラムロスの建物の中で唯一生き残った。周囲の修道院や大聖堂が廃墟と化す中、日本占領期には収容所や機関銃の拠点として使用された。戦後、隣接する修道院は1970年代に美術館として再建され、植民地期の長い歴史を物語る美術品や工芸品を収蔵している。

現在、サン・アグスティン教会は信者や歴史愛好家をはじめ幅広い人々を惹きつける文化的・精神的な名所である。精巧な木彫の扉を眺め、静謐な回廊庭園を歩き、AlberoniやDibellaといったイタリアの巨匠による美術作品を鑑賞することができる。
画像出典:Intramuros Administration
詳細情報
住所:General Luna St, Intramuros, Manila City
TEL:(02) 8527 2746
営業時間:8:00~17:00




























