Manila Cathedral(正式名称:Minor Basilica of the Immaculate Conception and Metropolitan Cathedral of Manila)は、フィリピン初の独立した教区・大司教区の中心として知られ、イントラムロスのPlaza de Romaに位置している。1571年にFray Juan de Viveroにより教区教会として創建され、1579年に大聖堂へ昇格して以来、宗教・文化の中枢として機能してきた。地震や火災、戦禍によって再建を繰り返し、現在のネオ・ロマネスク様式の建築は1954年から1958年にかけてフィリピン人建築家Fernando H. Ocampoにより設計されたものである。内部にはイタリア産のカッラーラ大理石を使用した床や祭壇、Galo Ocampoによるステンドグラス、イタリア人彫刻家Vincenzo Assenza作の「Immaculate Conception」の像などが配されている。2012年から2014年にかけて耐震補強などの大規模改修が行われ、2014年に再開。
建築の美しさに加え、この大聖堂は国の歴史とも深く結びついている。地下聖堂には歴代のマニラ大司教に加え、エミリオ・アギナルド、カルロス・ガルシア、コラソン・アキノといった元大統領たちの遺体が安置されており、彼らは皆このドームの下で静かに眠っている。毎年12月には、「無原罪の御宿りの祝日」を記念する「Intramuros Grand Marian Procession」がこの大聖堂の正面から厳かに始まる。
さらに、1958年にオランダのPels & Zoon社によって設置されたパイプオルガンは、東南アジア最大級の規模を誇る。2006年にはDiego Cera Organ Buildersによる全面修復が行われ、現在も祭儀や音楽祭でその美しい音色を響かせている。