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三菱造船、比沿岸警備隊向け大型巡視船受注

2020年2月10日

三菱重工の100%子会社である三菱造船(本社:横浜市西区)が、日本のODAによって調達されるフィリピン沿岸警備隊(PCG)向け大型巡視船(94メートル級)2隻を受注した。この2隻は、2022年までにPGCに納入される予定である。

2月7日に、フィリピン政府と三菱造船との契約調印式が開催され、フィリピン運輸省(DOTr)のアーサー・トゥガデ長官と三菱造船の大倉浩治取締役社長との間で大型巡視船2隻納入に関する契約調印が行われた。このほか、PCGのジョエル・ガルシア長官、国際協力機構(JICA)フィリピン事務所の和田義郎所長らが立ち会った。

DOTrのトゥガデ長官は「PCGの近代化は急速かつ迅速に行われている。日本政府が多大な貢献をしてきている」、PCGのガルシア長官は「94メートル級巡視船獲得は、フィリピンの海上安全保障にとって画期的な成果である」とコメントした。JICAの和田所長も、「海運分野における両国間のパートナーシップは経済・貿易促進のために重要である。JICAとPCGのパートナーシップは日本とフィリピンの友好関係の証である」と述べた。

PGCに納入される94メートル級巡視船は、日本の海上保安庁が保有する「くにさき型(くにがみ型との称される)巡視船(1,700トン、96メートル)」をベースにした改良仕様となるとのことである。「くにさき型」と同様なヘリコプターの発着可能な甲板や格納庫も備えたPCGにとって最大の船舶となる。最高速度24ノット以上、航続距離4,000海里以上という高性能を誇る。フィリピンの領海内や排他的経済水域(EEZ)内でのテロなど海上犯罪防止、違法操業取り締まり、海難事故救助などに利用される予定。

この94メートル級巡視船建造資金は、2016年10月に調印された「フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化計画(フェーズ2)」での円借款供与(供与限度額:164億5,500万円、金利:年0.1%、償還{据置}期間:40年{10年の据置期間を含む} 、調達条件:日本タイド)のもとで調達される。同計画は、PCGにおいて使用する大型巡視船2隻を建造し、PCGの沖合及び沿岸域内での海難救助や海上法執行等の業務を迅速かつ適切に実施するための能力向上を図り、もってフィリピンの海上安全の向上に寄与するものであるとされている。

なお、日本は、フィリピンの海洋安全対応能力強化を多面的かつ継続的に継続支援してきている。2013年12月に調印された「フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化計画(供与限度額:187億3,200万円」で、PCGに巡視船(全長44メートル)10隻供与を決定、2016年8月に引き渡しが開始され、2018年8月に10隻目の引き渡しが完了した。また、「経済社会開発計画」のもとで、13隻の15メートル級高速ゴムボートもPCGへ無償供与されている。また、2017年から2018年にかけては、海上自衛隊練習機「TC-90」5機のフィリピン海軍への引き渡し(移転)も行われた。さらに、航行安全の向上のため、沿岸無線通信整備、灯台・浮標等の修復・増設、航路標識施設船供与なども行ってきている。

技術協力プロジェクトでは、「海上保安人材育成プロジェクト」、「海上保安教育・人材育成管理システム開発プロジェクト」、「海上法執行実務能力強化プロジェクト」などを通じ、PCG職員の教育システムの構築や法執行・船舶運航に関する教育訓練プログラムの開発・強化に取り組んできている。また、日本国内においては、JICAと海上保安庁などの協力によるフィリピンを含む各国の海上保安機関向けに、海上犯罪対処能力、海難事故・油流出事故への対応能力向上などのための各種研修が継続的に実施されている。

 

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