2020年5月4日
フィリピンの代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)の2020年4月末終値は5,700.71ポイントとなり、3月末と比べて7.13%の大幅反発となった。新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴うルソン全域などでの地域隔離策による3月の21.6%急落後の押し目買いの動きが活発化した。新型コロナ感染拡大ピッチは衰えていないが、世界各国での新型コロナ対策としての大規模な景気対策や大幅金融緩和、さらには、地域閉鎖・隔離策緩和や経済再開の動きなどを背景にした主要国市場の急反発の動きに連動した。
フィリピンでも4月16日決定の0.5%の緊急利下げを含む年初からの合計1.25%の利下げ、3月23日の預金準備率2%の引き下げ決定、中央銀行による国債3,000億ペソの買い入れ決定など、金融面からも景気対策を活発化させていることなどから、短期的市場センチメントがやや強気となったようだ。
しかし、1月から3月まで急落が続いたことで、年初4カ月間では27.06%の大幅下落となった。3月19日には前営業日から711.95ポイント、率にして13.3%急落、4,623.42ポイントへと落ち込み、2012年1月26日の4,611.68ポイント以来、約8年2カ月ぶりの安値を記録した。この日の下落幅、下落率ともに、一日として過去最大となった。
年初4カ月間において大分類セクター別指数は全て下落した。下落率の大きい順に、鉱業・石油株(-41.81%)、金融株(-36.22%)、不動産株(-29.67%)、持株会社株(-26.97%)、工業株指数(-22.42%)、サービス業株(-10.27%)。
4カ月間の1日当たり平均売買額は64億3,700万ペソで、前年同期の約77億ペソから減少した。外国人は480億ペソの売り越しで、前年同期の430億ペソの買い越しから激変した。特に、3月12日から4月末まで、32営業日連続での売り越しが続いた。4カ月間の外国人の売買額シェアは54%で前年末の55%から小幅縮小した。4月末のPSE時価総額は12兆5,727億ペソ、そのうち国内企業時価総額が10兆3,745億ペソであった。PSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は11.79倍となり、前年同月末19.28倍、前年末の16.52倍から大幅低下した。
4月は、上記のように、新型コロナ感染拡大が続くなかで予想外の反発ぶりを見せた。しかし、今後経済や企業業績の悪化が本格顕在化しそうである。4月末には、米国トランプ米大統領が新型コロナウイルスの感染拡大に関して激しく中国の責任を追求し、中国も反論したことで、米中対立が再燃、そのことが世界経済を更に悪化させるとの懸念が強まった。4月のような株価上昇ピッチ持続は難しいとの見方が多い。