国際協力機構(JICA)は、そのホームページに、特集{ASEAN設立50周年−「質の高い成長」を支える日本の経験と技術}を掲載している。その内容は次のとおり。
2017年8月8日、東南アジア諸国連合(ASEAN)は設立50周年を迎えた。現在、加盟する10カ国が抱える総人口は約6億3000万人、GDPは2兆4320億米ドル。巨大市場としても世界を牽引する役割が期待されている。
地理的にも近い日本とのつながりは緊密である。1973年の友好関係開始から40年以上の長きにわたり、互いに支え合い、信頼関係を築いてきた。現に、日本からASEANの直接投資は、約20年間で5.1倍に急増、日系現地法人の数は10,000社を超えている。また、2015年時点で31,000人以上もの留学生がASEAN各国から訪日している。
今や日本の重要なパートナーであるASEAN。2015年末には「政治・安全保障」、「経済」、「社会・文化」の3本柱から成る「ASEAN共同体」が発足し、域内の関係深化に向けて大きく動き出した。
JICAは、ASEANが一つの地域として発展し、日本と共に成長するために、「連結性」を重視した支援をASEAN共同体発足以前より継続して実施中である。例えば、各国地域をつなぐ道路や橋などのインフラ整備に加え、物流円滑化を図る通関制度支援、災害発生時における連携体制の構築などがある。
さらに、ASEAN各国が連結性向上による恩恵を享受して潜在成長能力を高め、経済が停滞することなく持続的な成長を実現するためには、国家や産業を支える高レベルな人材育成や都市問題の解決、時代の変化に応じた社会のルール作りなどへの支援が不可欠である。
日本の経験と技術を生かし、ASEANの「質の高い成長」をより強力に支え続けるべく、JICAは以下に例示されているような多面的な支援を行ってきている。
1.発展の基礎となる「都市の未来図を描く>
<フィリピン:「メガ・セブ・ビジョン2050」実現への道、横浜市との連携で>
美しい海などの観光資源が豊富で、人口増加も著しいフィリピン第2の都市圏メトロ・セブ。しかし、脆弱な都市基盤と度重なる洪水被害が発展の阻害要因となっている。JICAは、同じく港湾都市として多くの示唆に富む経験を持つ横浜市と連携し、都市開発ビジョン「メガ・セブ・ビジョン2050」の策定と、ビジョン実現のためのロードマップ作成を支援した。自治体と連携して海外の都市計画全体を支援する初の事例でる。
「メガ・セブ・ビジョン2050」は「競争力」「住みやすさ」「交通」「都市圏マネジメント」の4つの戦略で構成。メトロ・セブ都市圏を構成する13市町・中央政府機関・民間セクター・市民社会が一体となって進める“未来図の実現”をJICAと横浜市が支援