2020年7月14日
フィリピン証券取引委員会は、7月10日、アヤラランドグループのフィリピン初のREITの新規公募(IPO)、フィリピン証券取引所(PSE)への新規上場を承認した。
アヤラランドは当初、2019年中のREIT発行を計画、既に子会社デラロサ・プロパティ・デベロップメントをアヤラランドREIT社(AREIT)へと改組した。新型コロナ感染拡大による混乱などで、発行計画スケジュールは当初予定より遅れているが、SECの承認により、ついに、フィリピンでREITが初登場することになる。
アヤラランドは、2020年2月7日、フィリピン証券取引委員会(SEC)へREIT売り出し(IPO)の申請を行った。具体的には、アヤラランドREIT社(AREIT)株式約4億7,864万株(うち新株約4,786万株)を1株当たり30.05ペソで売り出す。最大約2,393万株の追加オプションが付せられており、この追加オプションがフル行使された場合の総発行額は約150億ペソとなる。ただし、新株発行は4,786万株に過ぎず、大半は既存株式の売り出しであることから、アヤラランドが獲得する新規資本は約14億4千万ペソである。今回REITの対象となる不動産は、マカティ市の24階建てのソラリス・ワン、アヤラ・ノースエクスチェンジとマッキンリー・エクスチェンジの3つの商業ビルであるが、今後ポートフォリオを拡大させる方針である。
このAREITのIPO期間は、現時点で2020年7月27日~31日、PSE上場日は8月7日と予定されている。
なお、フィリピンでは、2010年2月9日に不動産投資信託(REIT)法が発効となった。しかし、その後、税制や公開比率を巡っての意見対立が続き、REIT法成立10年後の現在も未だREIT発足に至っていない。このような状況を打破しREITを発足させるべく、証券取引委員会(SEC)は、2019年10月に、REITに関する最終ガイドライン草案を発表した。その最終ガイドラインには、REIT創出不動産企業の初年度の最低放出率を33%に緩和することなどが盛り込まれている。PSEもREIT発行企業の最低払い込み資本金規制を引き下げた。そして、2020年1月20日、SEC、BIR、財務省、PSEという関係機関によって、REIT最終ガイドライン承認署名が行われた。REIT法成立後10年間の未発足状況に終止符が打たれつつある。