2019年7月4日
丸紅・中電・関電とメラルコのニュークラーク事業
丸紅、関西電力、中部電力、およびフィリピン最大の配電事業会社であるマニラ電力(メラルコ)は共同で、フィリピン・ニュークラークシティ(NCC)におけるスマートグリッド事業に参画する。この事業は、フィリピン基地転換開発公社(BCDA)が、マニラ首都圏の北西約120キロメートルにあるクラーク米空軍基地跡地に、環境に配慮したスマートシティーの開発を行う事業の第一弾として、フィリピンにおいて初のスマートグリッド設備の設計、建設、保守、運営を行うものである。
スマートグリッド事業とは、配電事業に加え、家庭、オフィス、工場等に設置するスマートメーターによって詳細な電力消費量をリアルタイムで把握し、集積したデータを活用することにより効率的な電力供給システムを構築するものである。また、ニュークラークシティ(NCC)とは、BCDAがクラーク米空軍基地の跡地(9,450ヘクタール)で開発を計画している大規模新都市のことである。 首都マニラが抱える交通渋滞や人口密集などの課題解決を目指し、政府施設移転、高速鉄道等 の建設等により2065年までに120万人の居住人口と80万人の雇用を創出する国家プロジェクトである。
今後は、丸紅が18%、関西電力が9%、中部電力が9%、メラルコが54%、BCDAが10%を出資する事業会社を通じて、電力供給を行う。その後、NCCの拡大に合わせてスマートグリッド設備を順次拡張し、NCCの持続的な発展に寄与していく方針である。
丸紅は、世界22カ国で持分発電容量1万2,000MWを超える規模の発電資産を保有している。フィリピンにおいては、1960年代より50余年に亘り電力事業を行っており、1990年代初頭からは発電事業に参入、現在は6つの発電所で計1,466MWの持分発電容量を保有し、発電事業に関する知見を蓄積してきた。上記事業では、丸紅が保有する海外電力事業の知見に加え、関西電力、中部電力が日本国内で培ってきた効率的かつ安定的な電力供給に関する知見、およびスマートグリッド事業に関する知識、メラルコのフィリピンにおける配電事業の豊富な経験を活かし、地域密着型の電力サービス事業の拡大を目指していく。
フィリピン競争委員会(PCC)は、上記案件に関して、6月25日付けのPCC判断事例016-2019号において「深刻な競争制限的なものではない」として承認した。