2023年6月5日
日清URCが34%増収68%増益、サンミゲルビールは38%増益
フィリピン証券取引所(PSE)上場の食品・飲料企業の2023年第1四半期(1月~3月)の事業報告書発表が出揃った。上場7社やその傘下の主要企業の動向は表1のとおり。会計期末が4月のデルモンテ パシフィック(証券コード:DELM)は今回の集計から除外している。
新型コロナ感染の更なる減少にともなう経済の本格再開や外出・移動制限の緩和、マーケティング強化などで、総じて増収となった。しかし、コスト増、投資などに関する減損処理などで一時的な経費で減益、あるいは赤字転落企業もあり、集計10社(上場8社、非上場2社)のうち増益は7社であった。
サンミゲルグループの食品と飲料事業を2018年に大統合して発足した最大手のサンミゲルフード&ビバレッジ(証券コード:FB)の売上高は前年同期比12%増の932億ペソに達した。各製品の販売数量増加や値上げなどが寄与した、純利益(帰属ベースではない総純利益、以下同様)は8%増の99億ペソとなった。食品部門(サンミゲルフーズ)の売上高は3%増の419億ペソであった。
ビール製造子会社サンミゲル ブリュワリー(SMB、サンミゲルビール)の売上高は29%増の383億ペソ、純利益は38%増の68億ペソへと二桁増加した。国内ビール販売数量は26.1%増加した。サンミゲルビールには、キリン ホールディングス(キリン)が約48%出資している。一方、洋酒のヒネブラサンミゲル(証券コード:GSMI)の売上高は3%増の129億ペソ、純利益は81%増の25億ペソと好調であった。
ゴコンウェイ財閥傘下のユニバーサル ロビーナ(証券コード(URC)の売上高は11%増の398億ペソ、純利益は36億ペソと前年同期からほぼ横ばいであったが、一時的な損益を除いたコア純利益は11%増と二桁増益となった。全てのブランドで販売が堅調だった。日清食品との合弁即席麺メーカーであるニッシンURCの売上高は34%増の30億7,600万ペソ、純利益は65%増の3億1,700万ペソと非常に好調であった。即席麺市場がやや伸び悩むなかで、ニッシンURCの主力のカップ麺需要は旺盛であった。
即席麺最大手であり国際的に代替肉事業を手掛けるモンデニッシン(証券コード:MONDE)の収入は10%増の200億ペソ。APAC BFB(アジア・パシフィックフード&ビバレッジ)が堅調であった。一方、代替肉部門は厳しい小売市場環境によりQuorn(クオーン)US及びUKは共にマイナス成長だった。クオーンUSの組織再編費用が利益を圧迫したことで、純利益は17%減の19億ペソと二桁の減益になった。
このほか、ツナ缶大手であり各種食品を手掛けるセンチュリー パシフィックフーズ(CNPF)はブランド事業の好調で、売上高6%増156億ペソ、純利益は6%増の15億ペソと増収増益を継続した。一方、ココナッツ製品大手のアクセリューム リソーシズ(AXLM)の収入は18%減の14億ペソと二桁の減収になった。ココナッツウォーター事業が27%増収となったが、乾燥ココナッツは、主要顧客の在庫量の増加などで減収となった。最終損益は6,900万ペソの赤字に転落した。