2023年6月9日
GDP寄与度6.2%(コロナ直前は12.9%)、依然回復途上
フィリピン統計庁(PSA)は6月15日、2022年のフィリピン旅行・観光産業の動向を発表した。それによると、2022年の旅行・観光直接粗付加価値額(TDGVA:名目ベース、以下同様)は前年比36.9%増の1兆3,758億ペソとなった。しかし、直近のピークの2019年の2兆5,086億ペソの54.8%にとどまっている。
成長率は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック発生で非常に不振であった2020年のマイナス63.4%からは大きく改善した。現行基準での集計開始以降の23年間で最高の伸び率となった。しかし、名目GDP(国内総生産)に対する寄与度は6.2%で、2021年から1.0%ポイント上昇したが、2019年の12.9%の半分以下にとどまっている。上記のように、規模も約半分強に過ぎず、依然回復途上といえよう。
2022年の国内観光消費(フィリピン国民・居住者による国内旅行支出で、海外旅行に付随して国内で支出するものも含まれる)は前年比(以下同様)92.3%増の1兆5,046億ペソで、インバウンド観光消費(訪比外国人・在外フィリピン人の国内旅行支出)は前年の276億ペソから1234.2%増(13.3倍)の3,687億ペソと最も高い伸びを記録した。一方で、アウトバウンド観光消費(フィリピン人の海外旅行支出)は88.6%増の1,893億万ペソだった。国内観光消費とインバウンド観光消費で構成される国内旅行者の消費(Internal Tourism expenditure)は131.2%増加した。
2022年のインバウンド観光消費(3,687億ペソ)のフィリピン輸出総額(6兆2,517億ペソ)に占めるシェアは5.9%に拡大した(前年のシェアは0.6%)。一方、国内観光消費(1兆5,046億ペソ)の家計最終消費支出(16兆7,248億ペソ)に占めるシェアは9.0%だった(前年のシェア5.4%)。
2022年の旅行・観光産業における雇用者数は推定535万人で、前年(489万人)から9.3%増加し、国内の総雇用者数の11.4%(2020年11.9%、2021年11.1%)を占めた。
以上の数値は国際基準に沿ったものであり、フィリピン観光サテライト勘定(PTSA)の最新データに基づいて見直しされている。PTSAはフィリピン統計庁(PSA)が観光省(DOT)、PSA観光統計省庁間委員会の協力を得て作成されている。