2023年7月31日
純利益6.5億ペソ、売上7%増の51億ペソ、カップヌードル堅調
日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル ロビーナ(証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月、本社:マニラ首都圏ケソン市)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。
8月4日に発表されたURCの2023年上半期(1月~6月)事業報告書によると、表1のように、ニッシンURCの2023年上半期の売上高は前年同期比(以下同様)7%増の51億2,600万ペソに達した。EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は23%増の10億1,100万ペソ、純利益は17%増の6億5,300万ペソと増収増益決算となった。巣篭り需要稀薄化、コス上昇という環境下でも、収益拡大基調が続いている。
表2のように、年間ベースでも上昇基調が続いている。特に、新型コロナパンデミック発生の2020年の売上高は前年比(以下同様)17%増の74億0,600万ペソ、純利益は25%増の8億9,300万ペソと非常に好調であった。フィリピンにおけるカップ麺需要の拡大を背景に近年は増収増益が続いてきているが、新型コロナ禍でも外出・移動制限措置や外食事業規制のもとでの家庭内食事(内食)需要や保存食需要、すなわち巣籠り需要が加わったことで、業績向上に拍車がかかった。新型コロナ感染減少の2022年以降も需要拡大や値上げ効果などで収益は更に拡大している。
特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「カップヌードル」の販売は堅調に推移している。ニッシンURCはカップ麺ではトップシェアを誇り、フィリピン即席麺全体の需要の伸びを上回る成長を続けている。表3のように、フィリピンの即席麺全体の市場は2021年以降伸び悩んでいるが、ニッシンURCの売上高は順調に拡大している。
なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ ニッシン(証券コード:MONDE)である。社名に「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、日清食品との資本関係はない。MONDE発表によると、MONDEのフィリピン即席麺市場のシェアは2020年69.2%、2021年が69.5%と断トツ。また、英国の代替肉(植物性たんぱく)メーカー「クオーン」を買収、傘下に収めている。2021年6月7日にフィリピン証券取引所(PSE)メインボードに新規上場した。