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【フィリピン経済ニュース】食品・飲料企業の2023年決算、日系関連企業が堅調

2024年4月30日

サンミゲルビール16%増益、即席麺の日清URC15%増益

 

フィリピン証券取引所(PSE)上場の食品・飲料企業の2023年の年次報告書発表がほぼ出揃った。上場8社やその傘下の主要企業の動向は表のとおり。なお、4月23日時点で年次報告書未提出のエンペラドール(証券コード:EMI)は推定速報値である。また、会計期末が4月のデルモンテ パシフィック(証券コード:DELM)は今回の集計から除外している。 経済の本格再開や外出・移動制限のほぼ撤廃、マーケティング強化、値上げなどで、集計10社(上場8社、非上場2社)のうち9社が増収となった。コスト増、投資や在庫などに関する減損処理など一時的な費用等で減益(2社)、あるいは赤字(2社)となる企業もあり増益は6社であった。

 

サンミゲルグループの食品と飲料事業を2018年に大統合して発足した最大手のサンミゲルフード&ビバレッジ(証券コード:FB)の売上高は前年比6%増の3,798億ペソ。各製品の販売数量増加や値上げなどが寄与した。増収効果や効率化などにより純利益(帰属ベースではない総純利益、以下同様)は10%増の381億ペソとなった。

 

ビール製造子会社サンミゲル ブリュワリー(SMB、サンミゲルビール)の売上高は8%増の1,473億ペソ、純利益は16%増の253億ペソに達した。サンミゲルビールには、キリンホールディングス(キリン)が約48%出資している。一方、洋酒のヒネブラサンミゲル(証券コード:GSMI)の売上高は13%増の536億ペソ、純利益は55%増の70億ペソと好調であった。

 

ゴコンウェイ財閥傘下のユニバーサル ロビーナ(証券コード:URC)の売上高は6%増の1,584億ペソ、純利益は12%減の127億ペソにとどまった。ただし、一時的損益を除いたコア純利益は6%増であったと発表している。日清食品との合弁即席麺メーカーであるニッシンURCの売上高は3%増の102億ペソ、純利益は15%増の12億ペソと二桁増益。巣籠り需要の希薄化、コスト高という環境下で収益拡大基調が継続している。

 

即席麺最大手であり国際的に代替肉事業を手掛けるモンデニッシン(証券コード:MONDE)の収入は9%増の802億ペソに達した。しかし、代替肉事業(クオーン事業)投資減損処置などにより最終損益は6億ペソの赤字。ただし、赤字額は前年比で95%減少した。

 

有力持株会社アライアンス グローバル グループ(証券コード:AGI)傘下の世界最大(数量ベース)のブランデーメーカーであるエンペラドールの収入は5%増の656億ペソ。その6割をブランデー事業が占め、ウイスキー事業が4割を占めた。しかし、営業費用等が膨らみ純利益は11%減の86億ペソ(推定速報値)にとどまった。

 

このほか、ツナ缶大手であり各種食品を手掛けるセンチュリー パシフィックフード(証券コード:CNPF)、パスタ製品に強みを有するRFMグループ(証券コード:RFM)は増収増益であった。一方、ココナッツ製品大手のアクセリューム リソーシズ(証券コード:AXLM)の収入は19%減の57億ペソと二桁の減収。在庫評価損等で、最終損益は8億ペソの赤字に転落した。

 

その他の記事

観光省(DOT)の4月1日時点の統計データ(eTravel)よると、3月のフィリピン訪問者数は合計50万5,720人(うち在外フィリピン人3万0,777人)で、2023年3月の47万5,643人(同3万9,351人)を6.3%上回った。しかし、前月の58万2,332人(同3万1,115人)からは13.2%減少した。在外フィリピン人は、海外に住むフィリピンの国籍保有者(比人海外労働者を除く)である。

株式会社ニトリホールディングス(本社:札幌市北区)は3月4日、アジア地域への出店を加速すべく、フィリピン第1号店を、2024年4月にマニラの大型ショッピングセンター「MITSUKOSHI BGC」内にオープンすると正式に発表した。

2023年の収入は前年比(以下同様)4%減の1兆4,667億ペソ。石油製品販売事業や発電事業における販売単価低下、前年の60%増収の反動などにより小幅減収となったが、依然高水準でありフィリピン企業のなかで断トツである。また、新型コロナパンデミック直前の2019年の1兆0,205億ペソを約44%上回る水準である。

3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用して、世界初となる3Dプリント義足製造ソリューション事業を日本、フィリピン、インドで展開するインスタリム(本社:東京都隅田区)は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱UFJキャピタル株式会社など計8社を引受先とする第三者割当増資と、2社からの融資により、シリーズBラウンドとなる総額9億円の資金調達を完了した。

新興の太陽光発電企業SPニューエナジー(証券コード:SPNEC)は、配電最大手マニラ電力(メラルコ、証券コード:MER)の豊富なノウハウや資金力により、プロジェクト推進の加速化を図ろうとしている。

フィリピン運輸省(DOTr)は、2月16日、ニノイ・アキノ国際空港(NAIA)の修復、拡張、運営、最適化、維持に関する事業(NAIA民パートナーシップ事業、推定総事業費1,706億ペソ)の入札において、サンミゲル(証券コード:SMC)連合が落札したと発表した。

情報通信事業などを展開する株式会社アイ・ピー・エス(IPS、本社:東京都中央区)は、2月15日、マナティ市のペニンシュラ・マニラにおいて、フィリピン国内海底ケーブルシステム(PDSCN)開通記念式典を開催した。

ヤクルト本社が40%出資するヤクルト フィリピン(比ヤクルト、持分法適用会社)は、2023年10月に事業開始45周年を迎えた。比ヤクルトは1977年5月25日に設立され、翌年の1978年10月に事業を開始した。

ブラザー工業(ブラザー、本社:名古屋瑞穂区)は、2月2日、製造子会社のブラザーインダストリーズ(フィリピン)(所在地:ルソン島南部バタンガス州タナウアン市ファーストフィリピンインダストリアルパーク)において第3工場が完成したと発表した。

フィリピン統計庁(PSA)は1月31日、2023年第4四半期(10月~12月)および通年の国内総生産(GDP)など国民勘定統計を発表した。それよると、当第4四半期のフィリピンの国内総生産(GDP)実質成長率(前年同期比、以下同様)は5.6%で、前期の6.0%(改訂値)、前年同期の7.1%から鈍化した。民間エコノミストらによる直前予想コンセンサス(中間値)の5.5%に近い水準だった。

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