2024年11月11日
上半期の売上高2.3倍の54億円、営業利益6.2倍の22億円
日比等で先端技術活用の通信事業などを展開する株式会社アイ・ピー・エス(IPS、本社:東京都中央区)のフィリピンを中心とする国際通信事業基盤整備が進展、業績も好調に推移している。
フィリピンでの通信事業は、2015年に出資したInfiniVAN, Inc.(インフィニVAN、所在地:タギグ市BGC)を通して展開されている。インフィニVANは2016年に制定されたフィリピン共和国法第10898号によりフィリピン国内で通信事業を営むことができる権利(フランチャイズ)を有する通信事業者である。固定通信のほか、無線通信サービスも提供することができる。また、フィリピン国家通信委員会より5G周波数割り当ても受けている。現在の主要な事業は、ルソン島のマニラ首都圏での法人向けインターネット接続サービス(ISP)、およびミンダナオ島・パナイ島における光ファイバー通信回線の敷設による、地域通信事業者・CATV事業者へのインフラ提供などである。
IPSは過去最大の投資案件として、2022年7月よりインフィニVANを通じて、フィリピンの通信企業グローブ テレコム(証券コード:GLO)とイースタンテレコミュ二ケーションズ フィリピン(イースタンテレコム)と共同で、フィリピン国内海底ケーブルシステム(PDSCN)の建設を開始した。2023年4月に海底部分の建設が完了、全国140カ所の中継局網も2023年12月に完成した。すなわち、既存大手通信事業者と遜色のないネットワークが完成し、ハイパースケール事業者、CATV事業者、地方の通信事業者、地方の法人向け等への通信サービスの提供が全国規模で可能となった。
PDSCNは、ルソン島、ビサヤ諸島、ミンダナオ島を結ぶフィリピン国内を縦貫する回線で、その工事区間は24区間、ケーブルの長さは約2,500Km、人口カバー率は96%、総投資額は1億4,200万米ドル(原則3社均等)。別途、伝送装置やインフィニVAN単独の陸上部分の費用を合計すると、インフィニVANの投資額合計は約6,500万米ドル。これを3-5年程度で回収する予定であり、順次IRU契約を積上げている。
IPSの2025年3月期上半期(4月~9月)決算説明会資料によると、国際通信事業の同上半期の売上高は前年同期比(以下同様)130.8%増(約2.3倍)の54億2,300万円、営業利益は521.4%増(約6.2倍)の21億8,300万円に達した。フィリピンの経済成長を背景に通信需要が拡大する中、C2C回線を中心とする国際通信回線の提供が順調に拡大したほか、顧客企業の強い要請により上記PDSCN関連での通信機器などが計画より前倒しでの提供されたこともあり、大幅増収増益決算となった。
国際通信回線C2CとPDSCNによるネットワークでの提供を強みに、下期にかけても好調な事業環境が続く見通し。国際通信事業の2025年3月期通期の売上高予想は前期比38.2%増の116億6,200万円、営業利益予想は同28.1%増の37億1,500万円とそれぞれ上方修正されている。
またインフィニVANは、2024年7月15日、セブ市のJEGタワーにセブオフィスを設立した。インフィニVANのオフィスとして、マカティ市、タギッグ市(ボニファシオ・グローバル・シティ エリア)、ダバオ市に続くフィリピン国内4番目のオフィスとなった。このように、フィリピンでの通信事業基盤が更に拡充されつつある。