2025年4月11日
ASEANでベトナムとカンボジアに次ぐ第3位、インフレは両年3%に
アジア開発銀行(ADB)は、4月9日、『アジア経済見通し(ADO)2025年4月版』を発表した。その中でのアジア・太平洋地域や各国の成長率予想は、米国政府が4月2日に新たな関税措置を発表する前に確定されたため、基準となる予想には、それ以前に導入されていた関税のみが反映されている(以下同様)。
このようなベースでのアジア・太平洋地域の開発途上国のGDP成長率は、2024年実績の5.0%から、2025年4.9%、2026年4.7%へと減速と予想されている。東南アジアの成長率については、2024年実績の4.8%から、2025年、2026年ともに4.7%へ減速すると予想されている。そして、域内経済は底堅さを維持しているものの、米国の貿易・経済政策が想定を上回る規模や速度で変化していることが、先行きのリスクになると指摘されている。米国による関税の引き上げに加え、政策運営の不確実性の高まりや報復措置が、貿易、投資、および経済成長の下押し要因となる可能性がある。
フィリピンのGDP成長率に関しては、下表のとおり、2024年実績5.7%(改訂値)に対し、2025年が6.0%、2026年が6.1%と予想されている。両年ともに、フィリピン政府の成長率目標6.0%~8.0%のほぼ下限ながら達成するとの予想である。東南アジアのなかでは、両年ともにベトナムとカンボジアに次ぐ3番目に高い成長率となる。
フィリピンの総合インフレ率については、2024年実績の3.2%から、2025、2026年ともに3.0%へ減速と予想されている。世界的な食料およびエネルギー価格の低下などを背景に、両年ともに政府のインフレ目標2%~4%の中間値となり、インフレ目標達成と見られている。