帰属純利益2.6%減ながら43億ペソと高水準
大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。
これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。特に、TMPの強さが際立っており、2018年まで17年連続の3冠王(総合販売台数、乗用車販売、商用車販売いずれも首位)となっている。ただ、2018年のTMPの業績は、車両税改定(大半の車種が増税)にくわえ、インフレ率上昇による実質購買力の低下、金利上昇という業界全体へ逆風の影響を受けるかたちとなった。
8月14日発表のGTCAP事業報告書によると、2019年上半期(1月~6月)のTMPの卸売ベースの販売台数は前年同期比(以下同様)3%減の7万2,794台、小売ベースの販売台数は0.4%増の7万3,454台となった。いくつかの車種のモデルチェンジを控えての買い控えなどによりやや伸び悩んだ。市場シェアは37.6%と依然高水準ながら前年同期の38.2%から小幅低下した。
これらの結果、売上高は0.4%減の761億ペソとなった。損益面では、値上げ、高採算車種の売上比率増加、ペソ高効果などにより粗利益は6.6%増の92億ペソ、営業利益は4%増の63億ペソへと増加した。しかし、ヴィオス旧モデルに対する優遇措置期間終了などに伴う所得税増加で、帰属純利益は2.6%減の43億4,530万ペソとなった。今上半期は、微減収小幅減益となったものの、売上高や利益額は依然高水準であるし、厳しい環境下としては底堅い業績推移であったといえる。
下表の様に、年間ベースの帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で急増した。そして、15年には100億ペソの大台を突破、さらに、16年、17年と続伸し、3年連続で100億ペソの大台を突破した。2018年は車両税改定という一時的要因などで減益となり、2019年もその影響が残った感があるが、積極的な新車投入、販売ネットワーク強化などを進めており、2019年下半期以降再上昇基調となることが期待される。
なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。すなわち、昨年設立30周年を迎えたのである。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し今年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。
トヨタモーター・フィリピンの業績等の推移(単位:百万ペソ、18年までは年間値、19年上半期の伸率は前年同期比)
年 |
13年 |
14年 |
15年 |
16年 |
17年 |
18年 |
19年上半期 |
伸率 |
売上高 |
80,677 |
104,887 |
114,289 |
155,833 |
185,337 |
159,150 |
76,050 |
-0.4% |
粗利益 |
10,257 |
14,629 |
18,299 |
21,072 |
23,059 |
16,695 |
9,231 |
6.6% |
営業利益 |
5,719 |
9,859 |
13,910 |
15,669 |
16,798 |
10,378 |
6,302 |
4.0% |
帰属純利益 |
4,219 |
7,209 |
10,195 |
11,929 |
13,186 |
7,952 |
4,345 |
-2.6% |
総資産 |
23,750 |
26,681 |
32,278 |
36,003 |
42,158 |
36,428 |
37,075 |
8.7% |
株主資本 |
9,286 |
11,923 |
15,228 |
17,49 |
19,148 |
15,238 |
11,271 |
0.5% |
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)