2020年9月10日
新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う地域隔離措置で多くの企業の業績が落ち込む中で、巣籠り需要拡大を背景に、大手食品企業の業績が堅調に推移している。
サンミゲルグループの食品と飲料事業を大統合して発足したサンミゲルフーズ&ビバレッジ(SMFB)において、食品事業を担当するサンミゲルフーズは、外出・移動制限が課せられるなか純売上高は前年同期比(以下同様)1%減の651億8,000万ペソにとどまったが、家庭での食事や調理機会が増加したことで加工食品、乳製品、調理済み食品などの需要が拡大したことで営業利益は111%増の22億4,600万ペソ、純利益も199%増の13億3,800万ペソと大幅増益となった。
ゴコンウェイ財閥の大手食品企業であるユニバーサル・ロビーナ(URC)の売上高は0.5%増の674億ペソ、純利益は12.5%増の59億7,500万ペソと増収増益となった。地域隔離措置に伴う外出・移動制限という状況下で内食用の食品や調理用食材の売上が堅調に推移した。特に、カップヌードルなど即席麺事業を展開する日清食品グループとの合弁企業であるニッシン・ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション(ニッシンURC、本社:マニラ首都圏ケソン市)の売上高は23%増の37億5,500万ペソ、純利益は30%増の4億7,900万ペソで二桁増収増益であったことが注目される。
ツナ缶詰大手のセンチュリー・パシフィック・フード(CNPF)の売上高は27.5%増の251億ペソ、純利益は31%増の22億ペソに達した。CNPFは、著名な「センチュリー」ブランドのツナ缶や「555」ブランドの魚介類缶詰、「アルゼンチン」ブランドのコーンビーフ、エンジェル・エバミルク、コンデンスミルク、粉ミルクなど食品事業を幅広く手掛けている。また、シェーキ―ズ・ピザ・アジア・ベンチャーズ(シェーキ―ズを傘下に収めている。さらに、合弁企業「吉野家センチュリー・パシフィック」(YCPI)が2001年から牛丼事業を開始、マニラ首都圏などで吉野家を展開している。
また、RFMの売上高は1.9%増の71億ペソ、純利益は5.3%増の6億ペソと増収増益となった。家庭内調理頻度の増加により、牛乳(セレクタミルク)、パスタ(フィエスタ&ローヤル・パスタ&ソース)、ホワイト・キング・ホットケーキ等の需要が堅調に推移した。レストランなどの店内飲食禁止措置で、主力のセレクタアイスクリームの売上が低迷する時期もあったが、外食規制緩和が行われつつあることから、アイスクリームの需要も回復しつつある。