2021年9月21日
上院は、9月20日、小売業自由化法の改正のための両院合同委員会の調整案を批准した。
この改正法案は、外国の小売業者のフィリピン小売市場参入の資本要件を250万米ドルから50万米ドル、または約1億2,500万ペソから2,500万ペソに引き下げるとしている。一店舗当り最低投資額は1,000万ペソ(現在は83米万ドル、約4,150万ペソ)へと引き下げる。
最低資本金に関しては、上院案が5,000万ペソ、下院案が1,000万ペソ、一店舗当たり最低投資額は上院案が2,500万ペソ、下院案がゼロ(撤廃)であったが、上記のような両院合同委員会による調整案が提示された。上院は、外資誘致・競争を促進する一方で、国内の中小小売企業の存続も考慮した改正内容となっているとコメントした。
なお、フィリピンでは1954年発効の小売業国民化法により、長期間、外資企業による小売市場参入完全禁止が続いた。しかし、2000年3月25日に共和国法8762号(The Retail Trade Liberalization Act of 2000{通称:小売自由化法})が発効、条件付きで外資による小売市場参入が可能となった。
2000年小売自由化法における外資による小売市場参入条件の主なものは、(1)払込資本金が250万米ドル相当以上(ハイエンドや高級品に特化した業態では最低資本金が25万米ドル以上)、(2)一店当たり投資額が83万米ドル相当以上であることなど。
その後、2000年小売自由化法における外資による小売市場参入条件は依然ハードルが高すぎるとして、外資参入規制の追加緩和を行おうとする動きが出てきた。最大の焦点は、一店当たり投資額83万米ドル相当以上という規定の緩和である。当初の焦点は250万米ドル相当以上という全払込資本に関する緩和であったが、一店当たり投資額規定がどのようになるのかにも注目が集まるようになってきた。コンビニエンス ストアやファーストフードチェーンのような小規模店舗を多数展開するような業態では、全体の払込資本額規定遵守は困難ではないが、一店当たり投資額83万米ドル相当以上という規定が非常に高いハードルとなってきたという経緯がある。