2022年5月15日
フィリピン統計庁(PSA)発表によると、2022年第1四半期(1月~3月)のフィリピンの国内総生産(GDP)実質成長率は8.3%で、前期の7.8%から加速、前年同期のマイナス3.8%からは急改善した。
そして、民間エコノミストによる直前予想コンセンサスの6.7%を大幅に上回り、東アジア地域で最大級の伸び率となった。季節調整済み前四半期(2021年第4四半期)比では1.9%成長であった。海外からの純所得(NPI)が103.2%急増したことで、国民総所得(GNI)成長率は10.7%に達した。
セクター別成長率は、農林水産業が0.2%、鉱工業が10.4%、サービス産業が8.6%といずれもプラス成長であった。個別業種では、製造業の10.1%成長、卸小売業/自動車バイク修理業の7.3%成長、運輸・倉庫業の26.5%成長などが全体の成長を牽引した。運輸業は外出・移動制限緩和や外国人観光客受け入れ再開などで高成長となった。
支出面で見ると、家計最終消費支出(HFCE、個人消費)が10.1%増となり、前年同期のマイナス4.8%から急改善した。一方、総選挙前で政府最終消費支出(GFCE)は3.6%増にとどまった。総資本形成(GCF)は20.0%増。輸出は10.3%増、GDPのマイナス勘定となる輸入は15.6%増となった。
22年第1四半期は前年同期が不振であったことの反動という要素もあって8.3%増という高い伸びを見せたが、今後は、米国の金融引き締め加速化、中国の景気減速、ウクライナ情勢など海外に起因するリスクに警戒する必要がある。