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【フィリピン経済ニュース】サンミゲル、2022年の収入60%増の1兆5千億ペソに

2023年3月20日

コロナ直前比5割増、コスト増で44%減益、実質8%減益

 

フィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲル(証券コード:SMC)が、3月17日、2022年(1月~12月)の決算速報を発表した。

2022年の収入は前年比(以下同様)60%増の1兆5,066億ペソ。新型コロナ感染減少やそれに伴う経済本格的再開を背景に大幅増収となり、パンデミック直前の2019年の1兆0,205億ペソを約50%上回るに至った。営業利益は10%増の1,345億ペソに達した。

しかし、コスト大幅増加などにより純利益(帰属ベースではない総純利益ベース、以下同様)は44%減の268億ペソ、企業再生・企業向け税制優遇法(CREATE法)の法人所得税への影響や外為差損益を除外したコア純利益は8%減の432億ペソと発表している。すなわち、実質8%減益であったとのことである。EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は3%増の1,650億ペソであった。

SMCグループの食品と飲料事業が大統合して発足したサンミゲルフーズ&ビバレッジ(証券コード:FB)の売上高は16%増の3,589億ペソ、営業利益は11%増の487億ペソ、純利益は10%増の347億ペソであった。そのうち、食品部門の売上高は16%増の1,753億ペソ、営業利益は15%増の133億ペソ、純利益は21%増の92億ペソと二桁増収増益であった。パッケージ部門(サンミゲル山村パッケージング)の売上高は10%増の370億ペソ、営業利益は42%増の16億4,800万ペソであった。

ビール事業を担当するサンミゲル ブリュワリー(サンミゲル ビール=SMB、現在は非上場企業)の総販売数量は10%増の2億2,450万ケース、売上高は17%増の1,362億ペソ、営業利益は10%増の295億ペソ、純利益は6%増の218億ペソ。SMBにはキリン ホールディングス(キリン)が約48%出資している。洋酒担当のヒネブラ サンミゲル(証券コード:GSMI)の総販売数量は7%増の4,460万ケース、売上高は11%増の473億ペソ、営業利益は13%増の60億ペソ、純利益は9%増の45億ペソと好調を維持した。純利益は過去最高となった。

多角化事業の一つである電力事業の収入は66%増の2,214億ペソと大幅増収。販売電力量が2万7,402ギガワットと堅調であったことと販売電力料金上昇との相乗効果、蓄電システム(BESS)事業寄与などによる。しかし、燃料などコストが急上昇したことで、営業利益は22%減の289億ペソ、純利益は80%減の31億ペソへと悪化した。サンミゲルの電力事業は、持株会社SMCグローバル パワー ホールディングスのもとに集約されている。

石油製品部門(元売り最大手のペトロン、証券コード:PCOR)の総販売量は37%増の1億1,281万バレルと大幅増加。販売価格大幅上昇との相乗効果で、売上高は96%増の8,576億ペソに達した。しかし、コストも大幅増加したことで営業利益は12%増の192億ペソ、純利益は9%増の67億ペソであり、利益の伸びは増収率を下回った。

インフラ事業担当のSMCインフラストラクチャーの純収入は47%増の290億ペソ、営業利益は110%増(約2.1倍)の142億ペソ。1月はマニラ首都圏等の新型コロナ警戒レベル3への強化で苦戦したが、2月以降は警戒レベル緩和で高速道路の通行量が25%増と回復、大幅増収増益決算となった。

更なる多角化や事業基盤拡大の過程で有利子負債が膨張、2022年末時点で1兆3,560億ペソに達し、2021年末の1兆0,050億ペソから35%増加している。一方、現金残高も3,180億ペソと高水準。総資産は2兆3,920億ペソで、2021年末の2兆0,520億ペソから約17%増加している。総負債対自己資本比率は2.74倍(2021年末2.01倍)、有利子負債対自己資本比率は2.12倍(同1.47倍)、純負債対自己資本比率は1.50倍(同0.90倍)となっている。

 

その他の記事

フィリピン統計庁(PSA)発表の2023年1月の物品貿易統計速報によると、1月の物品貿易総額は前年同月比(以下、同様)2.4%減の162億米ドル。輸出額は13.5%減の52億3,000万米ドル、輸入額は3.9%増の109億7,000万米ドル。その結果、1月の貿易赤字は27.2%増の57億4,000万米ドルと前年同月比4カ月ぶりの拡大、過去最大を記録した2022年8月の60億2,100米ドル以来、5カ月ぶりの高水準となった。

3月3日にフィリピン運輸省(DOTr)と三菱商事は、南北通勤鉄道延伸事業における鉄道システム一式(軌道、信号・通信設備、受配電設備、電車線等)に関する契約に正式調印した。

2022年のフィリピン新車販売台数は2年連続で二桁増加した。先頃フィリピン自動車工業会(CAMPI)は、「2022年のフィリピン国内四輪車新車販売台数(CAMPIとトラック工業会加盟企業分:以下工業会加盟企業分と記す)は、31.3%増の35万2,596台となり、目標の33万6,000台を上回った」と発表した。

フィリピン政府、農業省、バナナ農家は、日本のバナナ市場でのフィリピン産バナナのシェア低下を防ぐことで輸出拡大を図るべく、日本のフィリピン産バナナに対する関税引き下げや撤廃を改めて要求しつつある。

情報通信事業などを展開する株式会社アイ ピー エス(IPS、本社:東京都中央区)は、フィリピンにおいて、医療・美容サービス事業も展開している。

フィリピン統計庁(PSA)は1月26日(木)午前10時より、2022年第4四半期(10月~12月)及び年間の国内総生産(GDP)など国民勘定統計を発表した。

日本政府観光局(JNTO)は1月18日、2022年12月の訪日外客数推計値を発表した。10月11日より日本政府が個人旅行の受入れや査証免除措置を実施したことで、12月の訪日外客数は137万人と、前月の93万4,500人から約1.5倍となった。

フィリピン中央銀行(BSP)対外収支データによると、2022年11月の包括的海外在住フィリピン人(OF)の本国送金額(速報値)は前年同月比5.8%増の29億3,100万米ドルとなった。

フィリピン統計庁(PSA)は1月6日、2022年11月の「特定産業月次総合調査」(MISSI)速報を発表した。調査は主要製造業949社を対象に行われたが、今回の発表数値は途中段階(回答企業615社、回答率64.8%)のものであり、後日かなり改訂される可能性があることに留意する必要がある。

2022年12月31日付けフィリピン政府通信社依然(PNA)報道によると、2022年12月31日にフィリピン入国管理局(BI)は、2022年のフィリピン訪問者(入国者)数は612万5,824人(帰省・帰国フィリピン人含む)に達したと発表した。

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