2023年10月8日
22年の販売海外第3位、コロナ直前19年比18%増で過去最高続く
ヤクルト本社が40%出資するヤクルト フィリピンが(比ヤクルト、持分法適用会社)が事業開始45周年を迎え、10月6日、マニラホテルにおいて記念式典を執り行った。この式典では、越川和彦駐フィリピン日本国特命全権大使が祝辞を述べた。
比ヤクルトは1977年5月25日に設立され、翌年の1978年10月に事業を開始、すなわち創業45周年を迎えたのである。ルソン島南部のラグナ州カランバ市に立地するカランバ工場(第1工場)にて「ヤクルト」の生産を開始し、現在は「ヤクルト」、「ヤクルトライト」の生産を行っている。2022年末の従業員数は1,434人、ヤクルトレディは4,119人、取引店は12万4,479店。
日本と同基準の厳しい品質管理の下に製造された「ヤクルト」類を1本20円台という低価格で販売してきている。「ヤクルト」は、医薬品を購入する余力のない低所得層にとって安価な栄養食品であり、庶民の強い味方として知名度も高い。健康飲料として支持を得ている「ヤクルト」の人気が一段と高まっている。したがって、販売も順調に推移している。
比ヤクルトの1日平均販売数量は、2011年から2019年まで9年連続で販売本数が増加、そのうち2014年から2018年までは5年連続の二桁増加という成長を見せた。2007年に1日当たり販売本数は100万3千本と100万本の大台突破、2015年に同213万9千本で200万本突破、2018年は同300万本台突破と順調に拡大してきている。2020年は世界的な新型コロナパンデミックで10年連続の増加はならなかったが、小幅減少にとどまり、2021年は同16.8%増の353万9千本と過去最高記録を大幅更新するに至った。
ヤクルト本社の決算資料などによると、2022年のフィリピン ヤクルトの一日当り販売数量は前年比(以下同様)6.7%増の377万7千本、2021年に続いて2年連続で年間最高記録を更新した。海外市場ではインドネシアの727万6千本、中国の625万7千本に次ぐ世界第3位であった。また、新型コロナ禍発生直前の2019年の319万6千本との比較では18.2%増加しており、主要国最大級の伸びとなっている。すなわち、新型コロナ禍前の水準を大きく上回るに至っている。また、2023年上半期も堅調に推移している。このようにフィリピンは需要が好調なうえ中東での販売分の供給も担っており、需給がタイトで供給に制約があるなかでの販売増加であり、生産能力増強が必要となってきている。
このようななか、比ヤクルトは、ミンダナオ島北部のミサミス・オリエンタル州エルサルバドール市にフィリピン第2工場を建設している。2019年6月に着工、現在、建屋は完工している。そして、年内にも生産が開始される見込みである。最大生産能力は、1日当り320万本を見込んでいる。すなわち、フル稼働時には比ヤクルト全体で同740万本(第1工場420万本、第2工場320万本)まで拡大、現在の生産能力を約76%上回る見込みである。このミンダナオ島での第2工場の稼働により、新たな飛躍が期待される。