2023年10月12日
フィルインベストのアラバン下水処理場の高度化・拡充に貢献
日立製作所は、10月17日、「フィリピンにおける事業拠点であるHitachi Asia Ltd. Philippine Branch(日立アジア フィリピン)とともに、フィリピンのゴティアヌン財閥のコングロマリットであるフィルインベスト ディベロップメント(証券コード:FDC)傘下で水インフラ設備を整備・供給するFDC Water Utilities, Inc.(FDC-WUI)より、下水処理場の高度処理化および再生水プロジェクトを受注した。完成予定は2026年3月」と発表した。
このプロジェクトは、マニラ首都圏モンテンルパ市にあるアラバン下水処理場(処理水量:8,000m3/日)を、活性汚泥処理と膜処理を組み合わせた「膜分離活性汚泥処理システム」により窒素やリンの除去を可能とする高度処理設備に改造し、かつ処理能力を15,000m3/日まで増強するとともに、その処理水を「RO(逆浸透)システム」と「紫外線殺菌システム」によりフィリピンの飲料水規準に準拠する水質レベルの再生水を製造(造水量:10,500m3/日)するものである。
日立グループは機械・電気設備の設計・納入に加え、プラント遠隔監視・運転最適化システムなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションを提供する。
急速な都市化や人口増加が進むマニラ首都圏では、水需要が増加する一方、下水道普及率が低いことが課題となっている。また、フィリピンでは、下水処理場における窒素・リン除去規制強化に伴い、従来の標準活性汚泥法では十分に取り除くことができない窒素やリンを除去する高度処理方式の導入需要が高まっている。こうした中、モンテンルパ市のアラバン街区では、FDCグループがビジネス、ショッピングモール、居住区が隣接した複合型都市フィルインベストシティの開発を進めており、その街区の水インフラ設備の整備・供給を担うFDC-WUI社において下水処理場の高度処理化と処理能力増強に加え、再生水を製造する設備の整備を計画してきた。
日立グループでは、フィリピンをはじめとするアジア各国における水処理事業拡大に向けて、2019年に、日立の子会社であるHitachi Aqua-Tech Engineering Pte. Ltd.とFDCにて合弁会社Filinvest-Hitachi Omni Waterworks, Inc.(フィルイベスト-日立 オムニ ウォーターワークス)を設立するなど、基盤強化を図ってきた。そして、今回、日立グループのこうした取り組みや高い技術力およびグローバルでの豊富な実績などが評価され、今回の受注に至った。
日立は、海外では、フィリピンをはじめとするアジアを注力エリアと位置付け、日立が有する海水淡水化システムや下水高度処理システムなどのキーテクノロジーを核とした事業展開を進めており、今回の受注を契機に、フィリピンでのさらなる事業拡大を図り、水問題の解決に貢献していく。