2017年10月31日
フィリピンのコンビニエンス・ストア(CVS)業界もマニラ首都圏中心に競争が激化しつつある。また、マニラ首都圏を中心とする店舗家賃の上昇にくわえ、年々交通渋滞が酷くなり配送に支障をきたすようになっており、店舗網拡大のネックとなっている。
現在は、業界断トツのセブン・イレブンをミニストップなどが追いかけようとする構図になっている。そして、2013年にはファミリーマートとサークルKが進出、 2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープンした。 2015年央ごろまでは、各チェーンとも店舗網を順調に拡大させてきたが、2016年は、店舗数を減らすチェーンも見られた。特に、ファミリーマートの急ピッチの店舗減少ぶりが目立つ。
2012年に、ルスタンで知られる高級小売り企業のSSIグループとアヤラ・グループ(アヤラランド)の折半合弁企業であるSIAL CVSリテイラーズ社(SIAL)は、日本の株式会社ファミリーマート、伊藤忠商事とともに、フィリピンにおけるファミリーマート店舗の展開を目的に、「フィリピンファミリーマートCVS社」(PFM)を設立した。現在のPFMへの出資比率はSIAL60%、ファミリーマート37%、伊藤忠商事3%である。SIALはSSIとアヤラグループの折半合弁企業であることから、SSIとアヤラグループのPFM出資比率は各々30%ということになる。
フィリピンファミリーマート1号店は、2013年4月にマニラ首都圏マカティ市にオープンした。店舗網は2015年前半までは順調に増加、2015年5月に100店の大台、2015年末には120店に到達した。ただし、業界の競争激化や出店政策の見直しなどにより、2015年後半以降は出店ピッチが急鈍化、2016年から減少傾向となっている。2017年8月末の店舗数は69店(日本側発表数字、以下同様))で、前年同月末の101店から32店減少、ピークの2015年末の120店からは51店、率にして42.5%減少している。
このような状況下において、SSIやアヤラグループは、競争が激化すしているコンビニエンス事業強化策を検討する一方、PFM株式売却、すなわち、比ファミリーマート事業からの撤退も検討してきた。
このような状況下、株式会社ファミリーマートは、10月30日、「フィリピンにおけるCVS運営会企業「フィリピンファミリーマートCVS社」(PFM)の事業パートナーを、石油製品販売大手フェニックス・ペトロリアム・フィリピンズ(PNX、本社:ダバオ市)に変更する」と発表した。