世界中が注目していたアメリカ大統領選。大接戦の末にドナルド・トランプ氏が次の大統領に決まりました。喜ぶ人もいれば悲嘆にくれる人もいて、この大統領選への注目度の高さがうかがえました。
(写真)アリゾナ州フェニックスで演説に臨んだトランプ氏 出典: Wikimedia Commons
さて大統領選といえば、フィリピンの人たちにとっても記憶に新しい出来事です。約半年前にロドリゴ・ドゥテルテ大統領が選ばれたわけですが、両名の類似点については、それぞれの選挙期間中から複数指摘されてきました。フィリピンでドゥテルテ氏が、アメリカでトランプ氏が選ばれたらどうなるだろうかという人々の推測が現実になったのです。
アメリカ大統領選はアメリカだけの問題ではありません。世界の大国を誰が率いるのか、フィリピンでも注目を集めました。
選挙結果について、フィリピンでの政治家たちの反応はそれぞれです。ドゥテルテ大統領は「温かい祝辞」を送った一方、アルバイ州選出の議員Salceda氏は懸念を表明しています。
下記は、トランプ大統領誕生によるフィリピンへの影響を各分野ごとに掲載したものです。
<国際関係>
現在のフィリピン-アメリカ間のと緊張関係は、ドゥテルテ氏の暴言がもたらしたものです。そのほとんどは、ドゥテルテ大統領の犯罪・テロリズムに対する政治姿勢に対してネガティブなコメントを発したオバマ政権に向けられたものでした。
大統領が代われば大使も代わる可能性が高いですが、対米関係の改善が見込めない限り、新たな駐フィリピン・アメリカ大使をフィリピン政府に対して示してこないことが考えられます。
<海外投資>
トランプ氏は選挙戦で、外国へ流失した雇用をアメリカ国内に戻すと述べてきました。「アメリカ第一」を掲げる彼の計画では、外国への投資は後回しにされるでしょう。もしトランプ氏が公約を実行すれば、例えばフィリピンで最も成長著しいビジネス・プロセス・アウトソース産業(BPO)では、これらの産業の雇用をアメリカに引き上げてしまうことが予測できます。
<退役軍人>
選挙活動中の公約の一つに、退役軍人省の改革があります。
第二次世界大戦で米軍側として日本軍との戦闘に従軍した、フィリピンの退役軍人が数年にわたり求めてきたことでもあります。ここでも「アメリカ第一主義」ポリシーが適用されない限り、フィリピンの退役軍人にとっても待遇改善につながるでしょう。
<移民政策>
トランプ氏の移民受け入れに対する強硬な姿勢は、フィリピン人にとってアメリカへの移住を難しくするでしょう。テロの温床となっているとみられる国からの移民に対して、トランプ氏は何度も言及してきました。アメリカの政治家の中にもこうしたコメントに対して不安感を持ち、アメリカの経済にも全体として影響すると指摘している人もいます。
すでに何十万人ものフィリピン人が移民としてアメリカ経済の成長に寄与しているからです。またトランプ氏のこの姿勢は、アメリカに滞在している少なくとも50万人以上のフィリピン人を脅かすことにもなりかねません。
これらはトランプ大統領が公約を実行すれば、フィリピンに対して影響を及ぼすと思われる4つの大きな分野です。経済やヘルスケア、国防などほかの分野においては、公約を取り消したり、これらの分野に関する海外雇用を引き上げたりしない限り、大きな影響はないと見られています。
とはいえ、トランプ氏はまだ就任していないため、影響は予測にすぎません。大統領就任式は2017年1月20日正午から行われる予定です。
参照: Rappler, InterAksyon, ABS-CBN News, Inquirer.net, Inquirer.net US Bureau
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