JETROフィリピンがCREATE法の優遇措置に関する情報を発表しました。フィリピン財務省は税制優遇措置の具体的な内容を規定する実施細則(IRR)を、5月の第3週ごろまでに固める意向を公表しました。
CREATE法の優遇措置に関する細則、5月第3週までに固める見通し
フィリピン財務省(DOF)は4月18日、法人向け諸税の見直しなど税制改革の第2弾「CREATE法」(4月11日発効、内容について2021年4月7日記事)に関して、税制優遇措置の具体的な内容を規定する実施細則(IRR)を、5月の第3週ごろまでに固める意向を発表した(注)。
併せてDOFは、CREATE法の下で税制優遇措置の対象となる業種・事業に関する「戦略的投資優先計画(SIPP)」の策定を進めている。同省の発表によると、SIPPが策定されるまでの移行期間は、2020年度版の「投資優先計画(Investments Priorities Plan:IPP)」に記載された業種・事業が優遇措置適用の対象となる見込み。同発表は、CREATE法において新たに設置された、財政インセンティブ審査委員会(FIRB)の初会合(4月14日開催)での内容を基に行われた。
優遇措置の運用などに関して細則公開が待たれる
CREATE法では、同法発効前の時点で、投資誘致機関の登録を受け、既に優遇措置を受けている企業に対して、経過措置を以下のとおり定めている。
・CREATE法の発効前に法人所得税免税(ITH)のみを享受している場合、登録時の条件に基づき、ITHの残存期間について同優遇措置を享受できる。
・CREATE法の発効前に法人所得税免税(ITH)を享受しており、かつ当該優遇措置においてITH適用期間終了後に、総所得に対して5%の特別優遇所得税率を享受できる場合、10年間は5%の特別優遇所得税率を享受できる。
・CREATE法の発効前に総所得に対して5%の特別優遇所得税率を享受している場合、10年間は5%の特別優遇所得税率を享受できる。
CREATE法案、および同法案に関する大統領の拒否権発動内容はそれぞれ、フィリピン内国歳入庁(BIR)のウェブページに公開されている。同法の発効内容を確認するにあたり、2つの文書をあわせて確認する必要がある。一方で、具体的な優遇措置の運用などに関しては、これら2つの文書だけでは解釈が確定できない部分もあり、実施細則の公開が待たれているところだ。
(注)同実施細則(IRR)は、CREATE法の発効から90日以内に公布されるよう定められている。
(吉田暁彦)