JETROマニラは、2023年大統領予算案に関する情報を発表しました。
2023年大統領予算案、過去最大の予算規模に
フィリピン予算管理省(DBM)は8月22日、過去最大規模となる5兆2,680億ペソ(約13兆1,700億円、1ペソ=約2.5円)の2023年大統領予算案を議会へ提示した。2023年予算案の金額は、2022年の予算5兆240億ペソに比べ4.9%増で、過去最高に達した(政府通信社2022年8月24日付)。DBMによると、2023年予算案では、「教育」「インフラ」「健康」「社会セーフティネット」「農業」が優先分野として位置付けられている。
優先分野への予算割り当て案は以下のとおり。
〇教育分野に8,528億ペソを割り当て、2022年予算比で8.2%増額(2022年の予算額は7,885億ペソ)。フェルディナンド・マルコス政権は、人的資本の開発に投資し、若年層のエンパワーメントにコミットしていくとしている。
〇インフラ分野では、公共事業道路省(DPWH)に7,184億ペソを割り当て、2022年予算比で8.7%減額(2022年の予算額:7,866億ペソ)。運輸省に1,671億ペソを割り当て、2.2倍に(758億ペソ)。同政権は、地下鉄や地方での空港、鉄道の建設、農家と市場を結ぶ道路の敷設を推進していくとしている。
〇健康分野に2,963億ペソを割り当て、2022年予算比で10.4%増額(2022年の予算額:2,684億ペソ)。予算は、新型コロナウイルスワクチン接種の拡大や医療施設・サービスの拡充を通じた、医療システムの強化などに配分される。
〇社会セーフティネット分野に1,970億ペソを割り当て、2022年予算比で3.9%減額(2022年の予算額:2,050億ペソ)。予算は、貧困層や高齢者層支援などに配分される。
〇農業分野に1,841億ペソを割り当て、2022年予算比で39.3%増額(2022年の予算額:1,322億ペソ)。マルコス政権は、世界的な食糧危機発生の可能性を見越し、長期的な目標としてフィリピン国内での食料自給を確保するため、最優先で農業分野への資源配分を行うとしている。
なお、予算成立までのプロセスとして、提示された予算案を基に議会において各種委員会による審議が行われ、一般歳出法案が作成される。その後、法案は大統領の署名を経て成立する。
(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)
(フィリピン)