在フィリピン日本国大使館は10月14日、マニラ首都圏及び近郊地域における邦人犯罪被害の傾向について注意喚起しました。
【ポイント】
●マニラ首都圏及び首都圏近郊地域において、邦人の犯罪被害の報告が増加しています。
●最近の傾向と注意点等を、報告例の多い順に、下記のとおりお伝えします。
●依然として「スリ被害」や「睡眠薬強盗被害」の報告が数多く寄せられています。
●これまでにないタクシー強盗被害に関する報告が寄せられています。Grabタクシー利用者は要注意です。
●常に狙われているという危機意識を持ち、トラブルに巻き込まれないよう(トラブルを起こさないよう)心がけながら安全対策を講じてください。また、仮に何らかの事件に巻き込まれ、危険を感じた場合には抵抗せず、安全確保を最優先してください。
【本文】
1 スリ、置き引き被害
(1)気づいたらバックパックのジッパーを開けられ、旅券や財布等の貴重品を取られていた、といった報告が頻繁に寄せられています。
(2)歩行中、子供たちや浮浪者に取り囲まれ、小銭等をせがまれて困惑しているうちにバッグやウエストポーチの中から財布や携帯電話(スマホ)を抜き取られるといった「集団スリ」の被害報告も多く寄せられています。最近は携帯電話の盗難が顕著です。
(3)飲食店やショッピングモール等において、バッグ等の置き引き被害が相変わらず多発しています。「話しかけられたので、つい気を取られて…」という報告の多さも特徴のひとつです。
【注意1】貴重品はバックパックなどにまとめて収納せず、できるだけ分散して身につけるなどの対策を講じてください。
【注意2】外出の際は、できる限り必要最小限の現金のみを持ち歩くようにする(財布を複数用意し、持ち歩き用のものを分けるなどの工夫する)、「歩きスマホ」をしない、見知らぬ人物から声をかけられても不用意に立ち止まらないといった行動を心がけ、また恐怖を感じた場合は近くにいる第三者に大声で助けを求めるようにしてください。
【注意3】会食の機会が増えてきています。バッグ類は、常に目に見える場所で確実に管理するよう心がけ、また席を外す際には必ず持ち歩くようにしてください。
【注意4】最近、携帯電話(スマホ)の盗難被害報告とともに、「スマホがないと家族や関係者の連絡先がわからない。」、「データ化してあった書類が見られず、事態に窮している。」といった相談件数も増加しています。特に旅行中の方は、連絡先や必要な書類をスマホで一括管理している方が少なくないようです。スマホを紛失した場合、あるいは盗難に遭った場合を常に想定し、必要なバックアップ対策を講じておくことが肝要です。
2 睡眠薬(昏睡)強盗被害
何度もお知らせしてきていますが、マニラ首都圏に滞在される方、特に短期渡航者からの被害報告があとを絶ちません。手口、被害例、注意点等を以下のとおりお伝えします。
(1)睡眠薬(昏睡)強盗とは
犯人が狙いをつけたターゲット(被害者)に近づき、同行を促し、その移動中又は移動先の飲食店等において、即効性のある睡眠薬(向精神薬)等を混入させた飲食物を勧め、被害者を眠らせて金品を強奪するもの、またその手口を言います。(精神安定剤(向精神薬)の一種である「Ativan(アティバン:登録商標名)」を用いることが多い犯人らの手口から、フィリピンでは、警察をはじめ、一般的に「アティバン・ギャングによる被害」と称されます。)
(2)手口、被害例
ア ショッピング・モールや繁華街等の路上を散策中、見知らぬ人物から、「道を教えて欲しい」、「日本人? 日本にいる親類のことで相談があるんだけど」、「私たちも旅行者なんだけど、一緒に○○に行かない?」、などと声をかけられます。
イ これに応ずると、「実はそこで友達が待っている。」、「一緒にご飯を食べよう。」などと言われ、徒歩、タクシー等で移動することになります。その後の被害例は実に様々ですが、次のような例が挙げられます。
(ア)徒歩で飲食店に移動し、提供された飲食物を口にして意識を失った。気がつくとホテルの自室で寝ており、ポケットの財布と携帯電話がなくなっていた。ホテルの場所は伝えてあったが、ホテルの従業員に聞いても、誰が送ってきたかはわからないと言われた。
(イ)タクシーに乗ったが、どこにいるかわからなくなり、また友達と称する女性が2人便乗してきて、自分を取り囲んだ。その車内で渡されたスナックとジュースを口にしたあとの記憶がない。気づくと路上で寝ており、旅券や財布等が入ったバッグがなくなっていた。
【注意1】 被害者の多くは、「裕福そうな現地人風の年輩の女性だったのでつい気を許した。」、「年配の女性と若い女性2名だった。」、「とても人を騙すような人物には見えなかった。」、また一様に、「事例はなんとなく承知していたが、まさか自分が巻き込まれているとは思わなかった。」、「一度行動を共にしてしまうとどこにいるかもわからず、雰囲気的にそこから抜けると言い出せなかった。」、「自分だけ食べない飲まないというわけにはいかなかった。」などと述べていますので、かなり巧みに被害者の心理を突いてくるものと考えられます。
【注意2】睡眠薬、精神安定剤等の向精神薬は、量や体調によっては身体に重大な影響を及ぼすおそれのある怖い物質です。見知らぬ人物から誘われても、簡単に同行したり提供を受けた飲食物に口をつけたりしないよう、十分注意し、警戒してください。
3 タクシー強盗被害
専用アプリで「Grabタクシー」を利用される方が増えています。車番や料金、乗車場所への到着見込み時間等が視認できることから、流しのタクシー等に比べれば安心して利用できる移動手段ではありますが、最近、旅行中の女性から次のような被害事例報告が寄せられました。十分ご注意ください。
(1)夜半、出先で用事を済ませ、Grabアプリで一番安い車両(タクシー)を選び、まもなく車両が到着することを確認した上で建物を出たが、しばらくすると子供たちが手を出しながら群がってきたので怖くなり、アプリの地図上でタクシーが来るはずの方角に向かって歩き出した。
(2)前方から一台のタクシーが近づき、停車したので、運転手にスマホを提示しながら行き先を告げたところ、「Okay!」と言われた。焦っていたこともあり、車番を確認せずに乗車した。
(3)ドアが閉まると急にスピードを上げて走り出した。車番を確認しなかったことを後悔しながら、念のため運転手に行き先を確認したところ、ひと気のない場所で急停車し、「行き先は? 携帯見せて。」と言われた。
(4)不審に思いつつスマホをかざしたところ、運転手が、振り向きざまに手にしたカッター・ナイフをこちらに突きつけながら、「バッグを寄越せ」と脅してきた。この際、スマホを取り上げられた。
(5)このとき、ナイフは首に当てられており、ドアを開けようとノブに手をかけたがロックされていて開かなかった。貴重品を小分けにして入れてあったポーチを差し出しながら代わりにスマホを返してと訴えたところ、運転手はスマホを放り投げて寄越しながらこのポーチを取り上げ、「降りろ。」と言った。ロックは解除されていた。車を降りるとタクシーはドアを開けたまま走り去った。(頸部と上腕部に小さな切り傷を負っていた。)
【注意1】本件はいわゆる「流し」のタクシー運転手による犯行とみられます。タクシーを利用する場合は、「Grab」か否かを問わず、どんなに急いでいても、車番等は乗車前に必ず確認するようにしましょう。
【注意2】「タクシー強盗」というと、以前は、ひと気のない場所に連れ込まれ、停車した場所で複数人が乗り込んできて…というパターンが一般的でしたが、最近そうした事例報告がなくなりました。その一方でこのようなタクシー運転手もいますので、特に夜間は、単独での流しのタクシーの利用はできる限り避けるようにしましょう。
犯罪被害例や防犯対策等、詳しくは「安全対策基礎データ(下記URL)」にも記載されていますので、併せ御参照ください。
安全対策基礎データ:https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_013.html
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※本文は在フィリピン日本国大使館からのメールを引用しています。
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