特定非営利活動法人アクション(ACTION;代表横田宗氏)の30周年を祝うレセプションが、去る2024年1月31日(水曜日)国際協力機構(JICA)フィリピン事務所主催、在フィリピン日本国大使館の協力のもと、日本国大使公邸で開催されました。
写真)左から、坂本威午(さかもとたけま)・JICAフィリピン所長、Peter Kell・在フィリピン・ニュージーランド大使館特命全権大使、越川和彦・在フィリピン日本国特命全権大使、横田宗・特定非営利活動法人アクション代表、三木孝司・グリコフィリピンカントリーヘッド・江崎グリコグローバルブランドマネージャー、佐藤一元・日本電計フィリピン 社長、Lani Llanes・アクション エグゼクティブマネージャー
アクションは1994年に設立、【フィリピンのこども達が生まれた環境に左右されることなく、自分の夢に向かって思い切りチャレンジできる社会を作る!】というゴールを目指し活動を繰り広げており、現在はJICA支援による「マニラ首都圏を含む 11 地域の児童福祉施設及び自治体における子ども達の支援体制強化プロジェクト」をはじめ、フィリピンの貧困層の子どもたちの健全な成長、法を犯してしまった子どもたちの更生と社会復帰、交通安全意識の啓蒙活動など、様々な重要な社会課題に、長年正面から向き合うプロジェクトを展開してきました。
現在、アクションは、フィリピン社会福祉開発省( Department of Social Walfare and Development : DSWD)から社会福祉開発団体として、また内国歳入庁(Bureau of Internal. Revenue)からは日本の団体としては初めて寄附金控除認定と認定され、2017年にはJICAに続き日本の団体として2団体目となる「 社会福祉開発省 大臣賞( SALAMAT PO 賞)」を、また2023年には 最も優れた社会福祉開発団体に与えられる賞である「全国10団体社会福祉開発省 Most Outstanding SWADA Award」を受賞し、その貢献がフィリピンでも高く評価されています。
レセプションの冒頭、開会の挨拶に立った越川・在フィリピン日本国大使は、30年にわたる関係者の労をねぎらうとともに、「日本の国際協力は顔が見えないと言われてきましたが、アクションのように草の根での活動を長年継続する日本のNGOの働きで、日本の顔がしっかりと見えています」とアクションとNGOの活動の意義を強調し、さらに「アクションの活動の更なる飛躍、そして同様により多くのNGOが活動を展開、開始してくれることを強く期待しています」と述べました。
また乾杯の挨拶に立った主催者・JICAフィリピンの坂本所長は、アクションが中心となって作成したハウスペアレント研修やライフスキル 向上プログラムが DSWDや JJWC(少年福祉法審議会)の公認プロ グラムになっていること、そしてアクション自身が日系 NGO としては唯一、JJWC の一員になる等、 フィリピンの持続可能な仕組みづくりに多大な影響を及ぼす役割を果たしている、とその成果を称えるとともに、「JICA としても、今後フィリピンでの NGO 活動を支援するに当たり、これまで以上に日系企業や団体との連携を強化していただきたく、本日の場をそのきっかけとしていただけたら、望外の喜びです」と、今後の日系企業・団体の連携の重要性を強調しました。
「フィリピンでの30年を振り返って」と題した基調講演に立ったアクション代表の横田氏は、現在取組中の子どもたちの身体、精神の育成に寄与し、スキルを学んでもらうことを目的とした「チカラプロジェクト(CHIKARA PROJECT)」やJICAと進めている「草の根技術協力の取り組み」、交通安全教育、食品破棄削減、募金箱の設置などを紹介しました(アクションの取組に関する詳細はこちらから)。
基調講演で30年の振り返りと現在の取り組みについて話す横田氏
そして、アクションを創設の経緯について、1994年、初めて訪れたフィリピンでの経験を紹介しました。当時17歳だった横田氏は、友人に感化されてフィリピンの地を訪れ、空港からバス、MRT、ジプニーやトライシクルを乗り継いでボランティアに参加。「フィリピンの皆さんに仕事の仕方を教えてもらい、出かける時も一緒に行ってくれて大変お世話になりました。その恩返しがしたく活動を始めたのです」。当時はインターネットもない時代で共同してくれる人を集めるのも一苦労だったとか。横田氏は、まず手元にあった電話帳を活用し、マスコミにアクセスを重ね、その甲斐あってNHKの番組に出演して16名の学生、社会人が集まって、フィリピンの孤児院の壁の修復作業から開始したのだそうです。
横田氏は、30年という長きにわたる活動と成果の秘訣を、「できることをできる範囲で行うこと。しかし常にできる範囲を広げる努力は忘れずに、また様々なパートナーシップを組むことで、貢献できる範囲が広がっていくこと」と述べ、さらに活動の中で大切にしているのは「恩返し、お裾分け、お互い様、思いやり」だと語ります。
そしてさらに今後30年間の目標として、「受益者10,000人・雇用創出500名(Aiming 10,000 beneficiaries and employ 500people」を掲げ、すでに開始しているアクションの卒業生によるスパやシングルマザーの方の雇用の創出となっているTシャツショップの運営、そしてフィリピン料理のファーストフード店・Himay Himayの運営などを紹介。Himay Himayはすでに3点オープンしていますが、この2月3月にSMとロビンソンモールでのオープンが予定されています。
アクションと企業がパートナーシップを組んだ取組では、Glico Philippineの三木孝司さんとNihon Denkei Philippineの佐藤一元氏がサポーターコメントを寄せてくださいました。三木氏は「パンデミックの間、製品の賞味期限が近づいている中で、食品メーカーとしてはフードロスの課題に直面しました。その時横田さんにお会いして製品をドネーションさせていただきました。これをきっかけに社内にポスターを貼ったり古本回収箱をおくなど社内でも活動の啓蒙を始めました。Child Well-Beingということが近年叫ばれていますが、食品メーカーとして、皆さんと一緒に子どもの幸せのために小さな活動を続けていきたいと考えています」と述べ、また佐藤氏は「Denkeiが得意とする計測器だが、その利益を還元しようと、昨年からデザインのチカラプロジェクトに参画しました。これは貧困層のみなさんにWEBデザインを学んでいただきスキルを習得してもらうものです。異動などで人員が変わってもぜひ継続して参画していきたい」と抱負を述べました。
アクションの活動にはこのほかにも多くの企業が参画していますが、活動に興味を持たれた企業、団体、また個人の皆さまはアクションのHPをご覧いただき、ぜひご連絡ください!
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