けたたましいエンジン音とともに、真っ黒な排気ガスを巻き上げながら走るトライシクル。それを見て顔をしかめたり、口元をハンカチで覆ったりする人々......。フィリピンではお馴染みの光景ですね。
しかしこの光景も、数年後にはあまり見られなくなるかもしれません。
フィリピンエネルギー省は、排気ガスによる大気汚染の改善と、エネルギー保全を目的とした「E-Trike プロジェクト」を実施することを発表しました。
「E-Trike 」って何?
「E-Trike」とは、従来のガソリンで動くトライシクルに代わる、「リチウムイオン電池」を動力としたトライシクルのことです。エコカーならぬ、「エコトライシクル」ですね。また、エコであるだけでなく、性能も格段に良くなっています。主な特徴は以下の通り。
・振動や騒音が大幅に軽減されている
・座席数は5つあり、スペースは広々
・定期的なメンテナンスを頻繁に行う必要がない
・最高時速は60km/h
(写真) エコトライシクル、「E-Trike」( mb.com.ph より)
フィリピンには現在、およそ350万台のトライシクルとオートバイが利用されており、これによって、毎年数百万トンのCO2が排出されています。これがフィリピンにおける深刻な大気汚染や、気候変動の原因となっていることは疑いようがありません。この状況に待ったをかけるべく考案されたのが、今回の「E-Trike プロジェクト」。2018年までに、10万台の「E-Trike」を導入し、ガソリンを使用する車に代えて、国内に広めていくとのこと。実現すれば、ガソリンの消費量は年間2.8%減、Co2の排出量も大幅に削減できるとしています。
プロジェクト規模が大きく、国内経済にも良い影響が
今回のプロジェクトに対して、マニラに本拠を置く国際金融機関「アジア開発銀行」をはじめ、多くのファンドが投資を行っており、なんと5億400万ドルもの資金を投入する予定となっています。これだけ大きな事業になると、国内経済に与える影響も少なくありません。一般的に賃金が低いドライバーの給与水準が上がるとともに、国内の工業分野にも大きな経済効果が見込まれています。
電気で走るトライシクルが街中を静かに走り抜けていく、なんて光景が近々見られるようになるのでしょうか。2018年までに、ということで先は長いですが、普及を楽しみに待ちたいですね!
参考:doe.gov.ph
- 「ニックネーム」 Hokuto
- 「自己紹介」 プライマーの巨人。背が高いけど気は小さめ。
- フィリピンの魅力にとりつかれ、
- セブからマニラへ。