「規律があり、情報に通じた、協調性あるフィリピン人へ告ぐ!」
ドゥテルテ大統領は、就任後初の施政方針演説にて、国を改善するためにフィリピン国民へ呼びかけました。
(写真)1時間32分にも及んだ施政方針演説。「我々は助け合わなければならない。それからだ、良い国になったと言えるのは。」と語りました。 画像出典:PTV
ドゥテルテ大統領の施政方針演説は、過去の大統領の演説とは少し異なりました。
年に1回行われる大統領の施政方針演説では、毎回出席者が豪華に着飾ることからまるでファッションショーだと皮肉られていました。
しかし、今回はドゥテルテ氏がビジネスライクで質素な服装で出席するよう呼びかけ、本人はシンプルな白シャツ姿で演説。
(写真)責任追及はやめよう.
画像出典:Presidential Communications Operations Office (PCOO) Facebook page
また、彼は演説で前政権の過ちを非難しませんでした。
「過去の責任追及をしていては、前に進むことは出来ないし立派な人間の行うことではない。だから私は、貴重な時間を過去の非難に無駄に費やすことはしない。」
彼の主な演説内容は、犯罪、麻薬撲滅対策、平和へのプロセス(内戦に対する)、連邦制の導入についてなど国内問題に関するもの。
注目されていた中国との南シナ海問題については、「仲裁裁判の判決を強く支持し、尊重する。」等と述べましたが、この問題に触れたのは約1分間のみでした。
犯罪、麻薬、撲滅対策
演説の中で大統領は再度、犯罪、麻薬撲滅に対し、真剣に取り組むことを強調しました。「この対策が衰えることはない。麻薬密売組織のボス、投資家、密売人一人残らず刑務所に入れるまで続ける! それとも墓場の方がお好みかい?」とユニークを交えながらも相変わらずの過激発言。
また、警察官に対してはこう語りました。「仕事をきちんとやれ。そうすれば政府のサポートを受けられる。 が、もし権力を乱用するようなことがあれば、地獄行きだ。」
(写真)「私の名誉、人生、大統領職がかかっている!」 画像出典:PCOO Facebook page
平和を求めて
フィリピンでは数十年に及び、内戦問題が続いています。
特に、以下のグループです。
ミンダナオ島のモロ、そしてフィリピン共産党・新人民軍・民族民主戦線 (CPP-NPA-NDF)。
このグループに対し大統領は、
「我々は平和を求めている。死人に対してではない、生きている人々の話だ。交渉する準備があることを強調する。それでもなお、銃を撃つ。皮肉だ、悲劇だ、終わりがない。」
大統領は特に、CPP-NPA-NDFに対し、長年続いている争いをやめるように訴えました。
「私は残された家族の痛みを見てきた。倒れた兵士の痛みではない。」と付け加えました。
(写真)CPP/NPAと、一方的に停戦すると宣言する。 画像出典:PCOO Facebook page
「政府は、CPP-NPA-NDFとの一方的な停戦を宣言し、直ちに効力を発揮する。」
今回の演説で最も大きな宣言です。大統領は、彼らに返答を求め、すぐにでも平和交渉を開始したいとしています。
連邦主義へ向かって
大統領は、フィリピンの政治体制を連邦制に移行させる方針で、これによって平和を保とうとしています。すぐに実現しないかもしれませんが、上院、下院ともに協力し政治体制を変えていきたい考えです。
ドゥテルテ大統領は、連邦制こそがイスラム教徒武装組織モロイスラム解放戦線(MNLF)と政府がうまくやっていく方法であり、ミンダナオに平和をもたらす唯一の方法だと述べました。(議長はヌル・ミスアリ氏で、ミンダナオを代表する政治グループ)
大統領はまた、議員に対し、フランスの政体を模倣するようにと述べました。これは「大統領を置くが、彼の権限は主に儀式的なものとする。」と言うものです。もし、連邦制がドゥテルテ氏在任中に実現すれば、彼は直ちに辞任し、大統領選挙を行うとも述べています。
今回の演説は、フィリピンの歴史において最もユニークな施政方針演説だったことに間違いありません。演説時間は1時間32分と、初の施政方針演説としても異例の長さ。
さらに今回、彼はただの一度も、前政権を非難することがなく、これも今回初めての出来事です。(問題指摘はしています。)
(写真)力強いメッセージで締めくくられたスピーチ。「フィリピン人よ、悲しみと痛みの瓦礫から立ち上がれ!」 画像出典:PCOO Facebook page
また、慢性化している渋滞問題の解決に向けたインフラ改善、インターネット、wi-fiの速度不足の解消、国民保健制度の構築も約束しています。
彼の公約は果たされるのでしょうか? 就任後、最初の1か月は順調に進んでいるようです。
ですが、その全貌を見るにはまだ時間が必要です。彼の演説の締めくくりは、国民たちの心をとらえるものでした。
「我々は助け合わなければならない。それからだ、良い国になったと言えるのは。」
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- 初めてマニラに上陸しました。